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旅行に行く人はメンタルが良い?【論文紹介】

みなさんは旅行はお好きですか?どんなところに行きたいと思いますか?

COVID-19パンデミックで、旅行することが大幅に制限されてしまいましたよね。わたしは旅行が好きなので、なかなかしんどい生活を送っていました。

わたしは研究者なのですが、最近になって学会も現地開催が増えてきていて、その土地に行くことが楽しみです。

旅行が趣味のひとにとっては、旅行ができないことがメンタルヘルスに影響しそうだなと思ったのですが、そんな研究ってあるんでしょうかね?

今回の研究では韓国で行われた「旅行とうつがどのように関連しているか?」を調べた研究をご紹介します。

Korean Longitudinal Study of Ageing研究という複数回調査を行う研究のデータを利用し、2008年から2016年に得られた45歳以上の成人8524人のデータを利用しました。旅行したどうかを問う項目や抑うつ症状の有無を確認する自己記入式評価尺度への回答が求められました。

統計解析の結果から、「1年間旅行をしなかったひとは、旅行をしたひとにくらべて、1年後に抑うつ症状を持つ可能性が71%高くなる」ことがわかりました。

さらに抑うつ症状を持つひとは、そうではないひとと比べて、その後も旅行をしないことで、抑うつ症状を抱え続けるリスクが2倍以上増加することもわかりました。

さらに、「旅行に行く機会が多い人ほど抑うつ症状が弱くなりやすく、抑うつ症状が強い人ほど旅行をしない」ということもわかりました。

旅行することは、日常のルーチンから離れることでリフレッシュにつながり、ポジティブな気持ちになることにもつながります。

旅行の目的が友人や家族、知人と会うことであれば、孤独感の軽減につながる場合もあるでしょう。

なぜ旅行がメンタルヘルスにポジティブな効果をもたらすか?という経路までは研究されてはいませんが、旅行によるメンタルヘルスへのプラスの効果はあるのかもしれません。

抑うつ症状を抱える場合、倦怠感や身体的不調が生じるので、旅行に行きにくくなるという方向性も考えられます。また、韓国で、45歳以上の成人を対象にした研究ですので、それ以外の人たちにも当てはまるかどうかを厳密に知るには今後も研究が必要です。

もし、旅行があなたにとってポジティブな気持ちを生んでくれるものであれば、情勢のことは気にかけながらも、楽しむ時間を持つことも重要なことのように思います。

それでは最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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