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疲れと認知行動療法

昨日の話の続きです。

私が最近思い出していたのは疲れについてです。疲れに認知行動療法は使えるのではないかと思っています。

昔、私は後輩のさめちゃんと共に慢性疲労に関する認知行動療法の研究を行いました。

実際にはプログラムまで作成はしていませんが、自覚される疲労、つまり、脳が感じる疲れについて考えていました。

この疲れは実際の体の疲れとは異なり、自覚することで「疲れた」と感じるものを疲労感と呼んでいます。この疲労感に対しても認知行動療法が使えるのではないかということを探求していました。

当時の研究では、疲れに過剰に反応する傾向がありました。痛みや不眠に対しても、過度に注目することでその症状が増強されることが分かっています。

この原理は疲労感にも適用されるのではないかと考えて研究していました。実際に、疲れに過剰に注目することで疲労感が増えやすくなることが確認されました。

また、疲れそうな場面を避ける行動、例えば「今日はだるいからやめておこう」と動かなくなることで、一時的には体の疲れは取れますが、楽しいことの確率が減少し、結果として疲れやすくなるモデルも提案し、研究していました。

そうなんですよ、意外と疲れている、または疲れそうな状況を避ければ避けるほど、結果的に疲労が増してしまうことがあります。

身体疲労の場合は休息した方がいいのですが、心の疲れや疲労を感じている感覚については、動いたり、楽しいことをしたりした方が疲労が取れやすいという現象があります。

このようなメカニズムを応用してプログラムを作るのも面白そうだと思っております。

疲れや倦怠感、疲労感は実はうつ病の症状の1つです。ICDという国際的な精神疾患の基準が載っているリストにも、うつ病の診断基準として疲労感の有無が入っています。

だから、だるさや倦怠感、疲れている感じなどは、うつ病の症状の一種として現れる可能性があるということもあります。これも、メンタル的な部分に関連しているのだろうと考えています。

そして、結構重要になってきそうなのが、生活様式や人生の生き方、何を重要視するか?という点も重要になってくると思います。

仕事に熱中していると、他のところからの刺激が受けにくくなったり、休養を取りにくくなったりといったこともあり、そういうのも疲れに影響しているのではないかと思います。

どう作用するかは人によって違いますが、忙しさに対して良いことだと考えやすい人は疲れを感じやすくなるか、仕事が落ち着いた瞬間に非常に疲れを感じる、「燃え尽き」という状態になる可能性もあるのではないかと思います。

そういうところを統合して研究を進めると面白そうだと思っていますが、私がそこまで実際に取り組めるかは分からないので、取り組んでみられる方がいるといいなと思います(他力本願)。

私が次に心理療法の研究をするとしたら、そういうことに取り組んでみるのがいいかと考えています。もし「あおきが疲れのことを言い出した」と思った方は、私が以前そんなことを研究していたと思い出していただけると嬉しいです。

それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!


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