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【研究者日記】専門家が語っていい範疇ってあるよね?という話。例えば、私は心理学者だけど精神分析の話は語れない。

専門の幅って人によって違うから、心理学をしてる人にも色々いるよねって話をします。

ありがたいことに、今年に産婦人科の心理学の研修の機会をいただきました。けど、講演すると何かあまり反応良くないなぁと。これって、わたしは心理学は専門にしてるけど、産婦人科を専門にしてるわけではないという、知識や経験のミスマッチによるものかなと思いました。

それっぽく話はしたのですが、その経験(この場合は産婦人科領域の経験)をしてないってことが雰囲気として出て、結果的に話の思いにのるよってことなんじゃないかな?と僕は思います。

たとえば、ばっちこい心理学の岩野さんならは、依存症の話とか産業の話とか、本当の専門分野に特化しておくと、流ちょうに話せるし面白い。そして話し手側のインプットのコスト(情報収集する時間)もかからないよってところだと思うんですね。

ただ、意外なところで何かがつながるというのもあるようなので、余白の部分、つまり、専門分野以外のことについても取り組んでみることは大事かもしれません。その辺りのさじ加減って難しいけど。

遊佐安一郎先生は、患者さんと話すときにピボットが大事という話をしてくれます。患者さんに話してもらった内容から逸脱しすぎずに、その後の会話を発展させていきます。

話す内容を引き受ける基準も多分それだと思うんですね。ピボットできる領域って僕だったら、専門が行動活性化の話なんで、行動活性化を軸足に公園なども展開していくとたいていうまくいきます。研究にしてもそうで、もともとはうつ病の行動活性化の話を疼痛にピボットしていくとか、そういう展開が無難な線なのかもしれません。

ただ、話をして欲しいと振ってきてくれる方々は、心理士=心理学やメンタルヘルスの専門家だと思ってくれているわけなので、ピンポイントで得意分野に振られるってことはまぁ、ないですよね。幅広く心理学の話ができると思われているのですが、実際は行動活性化は専門で、精神分析については知りません、ってのはあまりわかられていません。

自分の心理学の枠の円をどこまで広げるか?に、なってきます。近いうち精神分析の話もnoteに書く予定ですが、さすがに、わたしは精神分析は語れません。認知行動療法の枠です。

その認知行動療法の枠というのを、どこまで拡張して話せるのかな?といったあたりが勝負になってきそうです。もちろん知らないことでも勉強して講演できるといいですが、経験がないことは外から見てバレてしまうし、時間的なコストがかかってしまうというところとのせめぎ合いかなと思います。

冒頭の産婦人科の話の場合、得意分野行動活性化を転用させるとかだったら多分いいんです。ですが、カリキュラムの関係もあって、産後精神病の話も話す必要がありました。さすがにちょっと私専門外だからちゃんとした事言えないだろうっていうのが伝わったのだと思います。

心理学って枠の中ではあるけれど、この枠をどこら辺までは拡張していいのか?についてはじぶんでも考えないといけないなと思いました。うーむ、どこら辺が対応できる線なのかという葛藤でした。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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