できる限り現実に即した研究をして、誰かの役に立ちたい【研究者日記】
私は心理学の大学の学部を出て、当時、今もそうですけど臨床心理士になるにはその後修士課程2年間行く必要性が基本的にはありました。
今も公認心理師になるためには修士課程まで出ることが必要で。その2年間修士課程に行って、そこから私は博士課程4年間在籍しました。
修士課程を出ると、臨床心理学の人は、臨床に出るか?研究・教育職を目ざして博士課程に進学します。
わたしは博士課程に進学しましたが、臨床心理学で一人一人の方を支援する仕事も面白いなと思っていて、修士を出てすぐ病院に就職しようかなとも思ってたんです。
臨床経験をいろいろ積んで、臨床メインでカウンセリングメインでやる人になろうかなとちょっと思ってたんですけど、私はどちらかというとそれよりも、より多くの人の予防をしたいなと思ったようです。
特にうつ病の研究をずっとしてたので、うつ病になる人を少しでも減らせたり、効果的に治療できるようにしたいなという風に思っていました。
私がそれをやることで、より多くの人に貢献できるようなことをしたいなと思っていました。それでうつ病の有病率を1%ぐらい下げられるような活動をしてみたいと思ってたんですよね。
それで、ボスから「次どうするんや?」と言われた時に、私はその時「博士課程に行きます」と言っていたんです。
臨床に出ようかなと思ってたんですけど、その時にそういう感じで言っていので、自分はやっぱりそっちに行くんだなと思いました。
ただ、博士に入ってからはずっと悩んでたというか、くすぶっていたというかでした。
1つが、うつ病の研究をしたかったんですけど、研究で連続性という発想がありまして、うつ病の症状って気分の落ち込みとか睡眠の不調が出るものですけど、それって誰にでも起こるじゃないですか。
一定の基準を超えた先にあるのがうつ病の診断だという発想が連続体理論というか、スペクトラム理論というものなんです。これを考えると、臨床の研究をする時に大学生の方に協力してもらって、精神疾患を仮定して研究をすることが多いんです。
ただ、それって自分的にどうなのかなと思ってまして、やっぱり私はカウンセリングで修士課程の時からカウンセリングのバイトをさせてもらってて、そこで臨床の患者さんを見てたんですよね。
そういう風に修士課程からカウンセリングさせてもらえるってなかなかないんですけど、それでやってたらやっぱり患者さんといわれる人は違うなと思うわけですね。実際のうつ病の人と大学生のうつは違うなと思いました。
それを考えた時に、やっぱり臨床の患者さんを相手に研究する必要性があるなと思いました。
幸いにして、私はそのクリニックでバイトさせてもらってたということがあったので、そこの院長先生が心よく引き受けてくれて調査させてもらったり、患者さんたちも心よくアンケートに回答していただいたりしていました。
それに加えて、最初にパンダ先生と出会った時に、パンダ先生が行ってる集団療法のクリニックがありまして、そこで私は絶対行きたいと思って行かせてもらって、そこでの縁があって、そこの院長先生にデイケアとかプログラムをやらせてもらったんです。
うつ病の患者さんがたくさんいるクリニックだったので、そこでデータを取らせてもらってプログラムを提供するということをやっていました。
そういう風に臨床研究をやろうと思ったのも、やっぱりうつ病の患者さんはうつ病の患者さんだなと思ったことが大きかったんです。社会課題を解決できるようなことに少しでも取り組みたいなと思ったからです。
私がそういうのがあって、元々臨床でやってたというのもあるので、実験研究というのはあんまりやったことがなくて、実際に社会の中で取り組んでいる事象に対してこれってどんな意味があるのかなということに興味があったりするんですよね。
自分でデイケアのプログラムをやらせてもらって、実際に運営して、患者さんたちにどのような効果があったかを見たり、良くないことが起こる可能性がないわけでもないので、そういうのがあるかを見たりとか、実際に患者さんたちから聞いた話を踏まえつつ効果を取るみたいな、実践と研究をうまくブリッジングしたようなデザインの研究が私は結構好きなんです。
だから、量的・質的混合研究法みたいな感じでやることが多いし、実践的な臨床研究をすることが多いですね。
本当は無作為比較試験と言って、効果をしっかりと検証するデザインで行うことが研究として望ましいというのは知っていますが、現実世界で何が起こってるのかということを研究的に明らかにするのが私は好きだなと思います。
今では授業をやって、その授業の効果を検証するにはどうしたらいいかと考えています。
私はコミュニケーション論の授業を持っているので、その授業をやることで学生さんにどのような変化があったかを研究しています。
AIも絡めてやったりしています。自分の発想の根には、利便性とか本当に解決したいこと、うつ病の人を良くしたいとか、学生のコミュニケーションを良くしたいとか、そういう元でやっていることが多くて、それがたまたま研究できたりしている。
世の中で少なくとも私が見ている世界内でのことがどのように起こってるのかを知れたりするので、そういう発想でやってることが多いかなと思います。
わたしを育ててくれた大学院は科学者ー実践家モデルっていうのが多分そんな感じで、リサーチをしつつロジカルで科学的な視点を持ちつつも、実践家としての目も持ちながらやっていくということです。
リサーチをしつつ実践家としての目も持ちながらやっていくということが、自分にはフィットしてて楽しかったなと思います。
これからも、リサーチもするし、実践もする、そしてそれをつなげられるような人間でありたいなって思います。
それでは、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
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