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『石の花』記事②          青騎士コミックス『石の花』装丁と造本について

青騎士コミックス『石の花』はこだわりの詰まった本です。

これまで幾度も復刊されてきた名作『石の花』。過去の復刊はどれもが魅力的な装丁、様々な造本をしています。なのでこれまでの復刊本を持っている方々にも新たな魅力を今回のKADOKAWAからの復刊本からどうやって感じていただくかはテーマの1つでした。

青騎士コミックス『石の花』の装丁・造本の特徴は主に下記の3つです。

①青騎士判型(天地240ミリ×左右170ミリ)

過去の単行本のどれよりも大きなサイズです。特に文庫サイズで『石の花』を読んできた方には、このサイズで読む『石の花』には驚きと新たな喜びがあるかと思います。担当編集である私も、これまで『石の花』は文庫版で読むことが多かったので編集をしながら、とても新鮮な喜びを絵から感じることができました。絵が、線が、とても生き生きと感じることができるのです。

そもそも青騎士判型とはなにかという話ですが、2021年4月に創刊した漫画誌『青騎士』の判型です。これはフランスの書籍をもとに、新雑誌用に設定したサイズ。通常の漫画雑誌のB5(天地257ミリ×左右182ミリ)よりもほんの少しこぶりです。

創刊の際に、雑誌よりも小さい分読みやすさがあり、同時に可能な限り絵や線を堪能できるような大きさを模索して、このサイズを採用しました。電子で読む漫画が隆盛を極めるなか、紙の漫画誌として創刊しました『青騎士』は、紙で読む漫画の面白さを追い求めているのです。『石の花』もやはり紙で、大きなサイズで、堪能していただきたい作品ですので、青騎士判型を採用しました。(もちろん電子版には電子版のよさがあります)

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②カバーには漫画(モノクロ)を抜粋してデザイン

坂口尚さんの描き出す線はとても魅力的です。詩情を感じさせる、洗練された唯一無二の描線を持っています。ゆえに人間の想像力の可能性や戦争の残酷さ、自然の美しさetc...形のあるものも形のないものも見事に描きだすことができるのでしょう。

この線の魅力を既に『石の花』読んだことのある方々には再度、読んだことのない方々には新たに感じてもらいたい。そういう思いで漫画からの抜粋でデザインすることにしました。

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そして漫画の抜粋のほかに随所にあしらわれた文字はセルビア語です。こちらの翻訳にはセルビア大使館にご協力いただきました。

もちろん坂口尚さんはカラーも本当に素晴らしいので、巻頭に別丁として入れることにしました。原画の持つ豊かな色彩を感じていただけますように、可能な限り原画に忠実であることを目指して色味を調整をして印刷を行いました。

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③紙へのこだわり

特にカバーと本文用紙にこだわりがあります。

カバーの紙は風合いのある紙を選んでいます。これは舞台である当時のユーゴスラビアの民家の白壁をイメージしています。作品描き出す時代と地域の空気感を読んでいる際の手触りでも感じてみてください。

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本文用紙はとても白色度の高い紙です。インクの黒が際立つはず。線を堪能してもらうための選択です。通常より分厚く、透けにくいので絵に集中しやすいです。

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以上のほかにもこだわりは随所にございますが、このぐらいで記事を締めくくります。気になったかたはぜひとも手に取って確認していただきたいです!

次回の記事では帯コメントについて書こうと思います。よろしくお願いいたします。

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