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陸上経験なし36歳の社会人芸人がウルトラマラソン100km初挑戦でサブ9.5を達成した話(その2 レース編)
1 はじめに
私は、普段は公務員として働きながら、社会人お笑い芸人として休みの日に舞台に立つなど活動をしています。また、私の趣味の一つにランニングがあるのですが、2023年10月15日(日)に行われた四万十川ウルトラマラソンに出場し、100㎞初挑戦でグロスタイム9時間22分29秒で完走して「サブ9.5」を達成することができました。
前提として、私の走力はフルマラソンサブ3(長野マラソン2023:2時間58分57秒)で、本格的に練習を始めてからのランニング歴は、ウルトラマラソンの時点で2年でした。
現在は、フルマラソンサブ3、ウルトラマラソン100kmサブ10、富士登山競争完走の市民ランナーのグランドスラム達成を目指しています。詳しいプロフィールはこちらの記事から↓
ツアー編も別に書いております。トイレに並んでいたら最後尾からスタートしたというところまで書きましたが、今回はレース編です。100㎞マラソンでサブ10(10時間切り)を目指している方は多いと思いますので、どのようなレース展開になったか、少しでも参考になれば幸いです。
※記事の公開が遅くなってしまいました。長野マラソン2023サブ3達成記事(レース編)と四万十川ウルトラマラソン100㎞サブ9.5達成記事(ツアー編)、つくばマラソン2023連続サブ3達成記事も同時期に公開しましたので、是非ご覧ください。
2 ウルトラマラソンの装備
当日の装備は、シューズがNIKE ZOOM FLY 5、ウェアがNIKEのエアロスイフト上下、CWXのカーフレイズ、サングラス、キャップでした。また、テーピングは新品のキネシオテープ4mを使い切りました。
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フルマラソンと違うのが、シューズをズームフライ5にしたのとキャップを被ったところです。フルマラソンでは、シューズはNIKEのアルファかヴェイパーでキャップは被りません。
シューズを選ぶときには、脚が最後まで持つように(攣らないように)、まずは安定感を重視しました。加えて、少ない力でスピードが出るように反発力も欲しいと考えました。その結果、ズームフライ5をレースシューズにすることにしました。
長距離の練習でも良い感覚で走れました。結果として60㎞走や分割30㎞走2本をズームフライ5で走っていたところ、レース前に走行距離が300㎞を超えてしまったので、レース用に2足目を購入しました。
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また、フルマラソンの時はキャップは飛ばされないか気にしているうちにスピードが落ちそうなので被っていないのですが、100kmは流石に日に当たる時間が長いなと思って被りました。
テーピングはフルマラソンの時は、母指球と踵の靴擦れ防止だけですが、それに加えて足首、膝、太ももにテーピングをしました。膝から下の関節が途中で痛くなることを予防するためです。
3 ウルトラマラソンの補給
次に補給食ですが、エナジージェル5本をエアロスイフトの後ろのポケットに、塩タブレット4個、ロキソニン2錠を前のポケットに詰め込みました。
また、61.5㎞地点のレストステーションに送るドロップバッグには、エナジーゼリー1個、エナジージェル5個、塩タブレットたくさん、ロキソニン2錠を入れました。
身体をできるだけ軽くしたかったので、リュックやポーチは身に着けないようにし、水分もコース中の給水から取ることにしました。
4 レースプラン
目標は「あわよくばサブ9、死んでもサブ10」です。ちなみに四万十川ウルトラマラソンのコースは、序盤に標高差600mくらいのアップダウンがあり、その後は平坦です。このアップダウンのイメージが、正直分かりませんでした。
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100㎞は初挑戦ですし、細かいレースプランは考えていなかったのですが、前半50㎞を5分15秒/kmで入って、後半50㎞を5分33秒/kmでサブ9できるんだなと思っていました。
レースプランどおりだと20㎞毎のラップタイムが、前半は1時間45分、後半が1時間51分です。通過タイムの目安が、20㎞=1時間45分、40㎞=3時間30分、60㎞=5時間18分、80㎞=7時間9分、100㎞=9時間という感じです。
結果から言うとレースプランどおりにはいかなかったのですが、どのようなレース展開になったか振り返ってみます。
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5 レース展開
(1) スタートから20㎞まで
ツアー編でも書きましたが、トイレに並んでいたら最後尾からのスタートになりました。結果としてスタートゲートをくぐるのに2分10秒かかりました。最初の1㎞は人混みをかき分けながら進むので、全然スピードが出せません。
スタート時点でサブ9は諦めました。
それでも手元のGPSで5分~5分30秒/㎞くらいで進みます。もしかすると、ずっとこのペースをキープできれば、サブ9を達成できるかもしれない、と心を強く持つことにしました。
しかし序盤からゆったりとした上り坂で、17㎞くらいから最大の難所の上り坂を迎えます。4㎞で400mくらい上ります。ただただきつかったです。
一応、前を走っている人の後ろに付かせてもらって、引っ張ってもらいます。また、コースの真ん中は苔が生えていて滑りやすいので、タイヤ痕の上を走るようにしていました。それでも17㎞~20㎞の3㎞は6分10秒/㎞くらいまで落ちてしまいました。
ということで20㎞の通過タイムはグロスで1時間52分43秒、レースプランのサブ9目安が1時間45分だったので、7分43秒遅れています。イーブンペースだと目安が1時間48分なので、4分43秒遅れています。
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(2) 20㎞から40㎞まで
上り坂は22㎞くらいで終了です。そこから同じくらいの傾斜の下り坂になるのですが、ここでお腹が痛くなります。
脱水になるといけないと思い、概ね2.5㎞間隔にある給水はすべて取っていました。ただ、日も出ていない中で走っていたので、汗もあまりかかず、お腹はタポタポでした。
ということで、給水の隣に設置されているトイレにダッシュです。運よく、待ち時間なく入ることができました。コース上には、給水に併設されていないトイレもあるのですが、次のトイレといつ出会えるか分からないので、思い立ったらすぐに行った方が良いです。
トイレで4分ほどロスした後は、下り坂を下ります。ここの下りで飛ばしてしまうと、膝にダメージが残り、後半辛くなるという噂でしたが、脚の回転は止まりませんでした。
手元のGPSで4分30秒くらいまでスピードが上がります。いずれにせよ膝は痛くなるので、そんなに気にせずに下り坂の力は使ってもいいんじゃないかと思いました。
32㎞くらいから傾斜が緩やかになります。100㎞マラソンの特徴としては、心拍数がそんなに上がらないので、周りの人と喋ることができます。私の前に、同じチームシャツを着た2人の方がずっと喋りながら走っていました。私も後ろを付かせていただいて、会話の輪に加わらせていただきました。
フルマラソンはサブ3、100㎞の目標はサブ10などちょうど同じくらいのレベルの方でした。その方たちと話している中で、「このペースでいけばサブ9.5(9時間30分切り)が狙える」という話になったので、初めてそこでサブ9.5の存在を認識しました。市民ランナーは細かく記録を刻みたくなる生き物です。
ということで40㎞の通過タイムはグロスで3時間38分、ラップタイムが1時間45分17秒でした。レースプランのサブ9目安が3時間30分だったので、8分遅れています。イーブンペースだと目安が1時間36分なので、2分遅れています。トイレの4分ロスを下り坂で取り返した感じです。
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(3) 40㎞から60㎞まで
一緒に走っていた方々が給水でトイレに行くということで、40㎞くらいで分かれます。
40㎞走ってもまだ半分にも満たないのですが、「ここから普段練習で走っている60㎞走のつもりで行きましょう!」と別れ際に言っていたので、市民ランナーのメンタルの強さがうかがえます。
私も、折角エントリーしたんだから、脚が動かなくなるまでは、サブ9にチャレンジしてみようと考えていました。ペースを5分~5分10秒/kmくらいまで上げて、限界まで走ることにしました。
ここからコースは平坦になり、四万十川の脇を通ります。山道を抜けるので日差し強くなり、風が吹いている個所もありました。フルマラソンほどランナーの密度は高くないので、単独走になってしまいます。沿道の応援と給水ボランティアの方の声援を力に脚を進めます。
沈下橋も数回通らせていただきましたが、公式カメラがあったので、その時だけ笑顔を作ります。
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56㎞くらいにまた上り坂が現れるので注意です。心が折れます。さすがに歩いてしまいました。
ということで60㎞の通過タイムはグロスで5時間23分59秒、ラップタイムが1時間45分59秒でした。レースプランのサブ9目安が5時間18分だったので、約6分遅れています。イーブンペースだと目安が5時間24分なのでピッタリです。
レースプランどおりではないものの、60㎞地点でなんとかサブ9のイーブンペースまで上げることができました。スタートの出遅れたとトイレのロスを、追い上げた形になります。練習でも60㎞までしか走っていなかったので、ここからは未知の領域です。
(4) 60㎞から80㎞まで
61.5㎞地点にレストステーションがあります。それまで10㎞毎にエナジージェルを補給していたので、ポケットに入れていた分はなくなりました。レストステーションで、エナジーゼリーを補給し、エナジージェル5個をポケットに入れます。
そして、トイレにダッシュします。いつもより多くジェルを摂取していたからなのか、とにかくガスでお腹が張っていました。
レストステーションでロスした時間は3分半くらいでした。終盤に向けて、レストステーションでの休息の仕方はもっと工夫できるのだろうなと反省しました。
さて、何とかサブ9のイーブンペースまで追い上げることができましたが、それでも65㎞くらいまでが限界でした。ここからペースが落ちて、5分40秒~6分/kmくらいになってしまいます。
また、これまでの給水ポイントでは走りながら給水ができたのですが、膝が痛み始め、給水ポイントでは立ち止まり、ストレッチをするようになりました。脚の限界が近づいてきました。
ということで80㎞の通過タイムはグロスで7時間26分39秒、この20㎞のラップタイムが2時間2分40秒まで落ちました。レースプランのサブ9目安が7時間9分だったので、約17分以上遅れています。イーブンペースだと目安が7時間12分なので、14分以上遅れています。
ここで、完全にサブ9は諦めました。しかし、まだレースは終わっていません。死んでもサブ10は達成すると自分に言い聞かせながら、最後の20㎞に臨みます。
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(5) 80㎞からゴールまで
ゴールまで残り20㎞です。20㎞なんて、普段の練習で何回も走っている距離なのですが、この時はかなり辛かったです。
辛過ぎて「本当にあと20㎞も走るのか?実はもう少し短いんじゃないのか?」と現実逃避をするようになりました。ただし、ゴールが四万十市の市街地にあるのですが、道路標識が「四万十市街地まで20㎞」となっていたので、現実を受け止めました。20㎞走らなきゃホテルに帰れません。なお、この辺りになると、沿道の応援が「頑張れ〜」から「おかえり〜」に変わります。まだ20kmあるのに!
そんな限界が近づいていた私でも、ウルトラマラソン攻略のポイントを一つだけ見つけました。それは「給水ポイントまでは歩かない」ということです。
コースの途中で歩いてしまうと、誰も見てないし、サボっても良いかなと繰り返してしまいます。しかし、給水ポイントにはボランティアの方がいます。歩いていても、その方々は応援してくれます。応援してもらえると、力が湧いてきます。「応援の待っている給水ポイントまでは絶対に走る!」を繰り返して、ゴールまで繋ぐことがウルトラマラソン攻略のポイントだと思いました。
出場者一覧の折込チラシを持って応援してくれるおばあちゃんたちがいました。ランナーのゼッケンを見て、出場者一覧から瞬時に名前を見つけ出し、「1219番、東京のアオキさんよ!せーの、東京のアオキさん頑張れ~!」と応援してくれました。めっちゃ楽しんでるじゃん!と、今回のレースの中で一番元気をもらいました。
80㎞の通過タイムが7時間26分だったので、残り20㎞を2時間30分でもサブ10できます。給水ポイントでは止まっていましたが、脚は動いていたので、サブ10は間違いありませんでした。
そこで、途中一緒に走った方が言っていたサブ9.5を目指すことにしました。残り20㎞を6分/kmで走っても2時間なので、達成することができます。
約2.5㎞ごとに給水ポイントがありましたが、そこでは給水とストレッチをするので30秒~1分くらいのロスがあります。それでもGPSでペースを確認しながら、一歩一歩ゴールへ向かいます。
頭の中では、どれくらいペースが落ちても良いのかというネガティブなことばかり考えていました。それでも、スタートから9時間経過したときに95㎞地点くらいまで来ていたと思いますが、そこでサブ9.5を確信しました。
県立中村高校・中学校のグラウンドがゴールになっているのですが、最後にも上り坂が待っています。ただし、これはアドレナリンが出まくっているので簡単に登れます。
そしてゴールの瞬間を迎えます。フルマラソンと違い、ランナーがゴールになだれ込むわけではないので、アナウンサーが一人ひとりゴールの瞬間を実況してくれます。
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ということで、最後の20㎞のラップタイムが1時間55分50秒(60~80㎞より7分近く上げました)、グロスタイムが9時間22分29秒でゴールすることができました。サブ9.5達成です。
(6) レース後
レース後もボランティアの方が、丁寧にケアをしてくれました。完走メダルと水、スポドリ、パンをいただきました。体はガタガタでしたが、クールダウンとストレッチをします。
結果速報が紙で印刷されているのを発見しました。総合49位で1枚目に収まっていることが分かった時は、めっちゃ嬉しかったです。ランネットだと総合49位/900人となっていましたが、本当に最後尾からスタートしているので、抜いた人の数では今大会No.1だったんじゃないかと思っています。
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着替えて、シャトルバスに乗り、ホテルに戻ります。ボランティアの皆さま長時間ありがとうございました。レース前後のツアー編は別の記事で書いていますので、そちらも是非ご覧ください。
6 レース雑感
100㎞初挑戦で、練習でも60㎞までしか走ったことがなかったので、正しいかどうか分からないのですが、サブ9達成のためには、前半はもっと突っ込んでも良かったなと思いました。
60㎞まで5分24秒/kmのサブ9イーブンペースで来ていましたが、5分/kmまでペースを上げられていたら、24分貯金ができるので、残り40㎞を6分/kmまで落として良いことになります。60㎞までの5分24秒/kmと5分/kmは、身体へのダメージはそんなに変わらないんじゃないかと思いました。
それでも、序盤の標高差600mのアップダウンがあるので、簡単ではないだろうなとは思います。このアップダウンを想定した練習をするためには、もっと工夫が必要でした。
コースにはその他にも若干のアップダウンがありましたが、基本的には平坦なコースです。舗装されていますが、山道や沈下橋はフラフラしていると脚を踏み外してしまいそうで、逆に集中して走ることができました。
また、トイレで時間をロスしてしまったので、食事、補給、レストステーションについては、もっと工夫できるなとは思いました。
あとは、本当に地元の方やボランティアの方に支えられているレースだと感じました。朝早くから応援してくれている方、参加者一覧を見て応援してくれている方がいました。2.5kmごとに給水ポイントがあり、1kmごとくらいに安全を見守っている方がいました。レースの制限時間が14時間なので、時間差はあれど長時間レースを支えてくださっています。本当にありがとうございました。
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最後に、何回もウルトラマラソンに挑戦している方には、攻略のポイントは「給水ポイントまでは歩かない」ということをお伝えしたいと思います。
7 おわりに
以上が、四万十川ウルトラマラソン100kmでサブ9.5を達成した記録です。ツアーとレースを通じて、四万十川ウルトラマラソンは地元の方に愛されている大会なんだなと実感しました。
フルマラソンと違って心肺機能的には余裕があり、サブ10くらいなら喋りながら走ることができますし、タイムロスをしてもペースを上げて取り戻すことができたので楽しかったですね。ただし、同じくらい辛かったので、再度ウルトラマラソンに挑戦する可能性は限りなく低いです。
市民ランナーのグランドスラム達成を目指す身としては、ウルトラマラソン100kmを一発でサブ10達成できたのはとても良かったです。
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さて、グランドスラム達成まで残すところ富士登山競争完走だけになりました。2024年は五合目コースにエントリーできたので、それに向けて練習を積んでいこうと思います。
それでは、次回もよろしくお願いします。
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