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食卓の会話でわかるAO・推薦合格の可能性:後編【アイデンティティ教育の重要性】

こんにちは。青木唯有(あおき ゆう)です。
日本アクティブラーニング協会理事およびAO・推薦入試オンラインサロンナビゲーターを務めています。

日本の教育においては、「自分が何者であるか?」よりも、知識を大量にインプットし正確にアウトプットするトレーニングに、学習の多くの時間が割かれる設計になっています。

決して、知識の定着を軽んじても良いと主張するつもりはありませんが、「知識を身につけること」と「自分とは何者かについて考えること」が、現行の日本の教育システムの中ではほぼ接続されず、無関係のまま人材を社会に送り出していくことは、やっぱり問題だと思います。

志望理由書で初めて向き合う現実

私は今まで、小学校・中学校・高校にかけてそうした教育環境にどっぷりと浸っている状態からAO・推薦入試に向かう受験生たちを多く見てきました。

彼らは、自己のアイデンティティについて、ほぼ無防備な状態で、志望理由書や活動報告書を目の当たりにします。

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そこで初めて、

「自分という人間は、何が好きで、何が嫌いか?」
「どんなことに喜びを感じ、どんな領域に関心を持っているのか?」
「将来やりたいことは、一体どのようなことなのか?」

という問いに、本気で向き合うことになるのです。

もちろん、このような、自らのアイデンティティに対する答えは、誰かに教えてもらうものではありません。
参考書も解答集も存在しません。
行動と挑戦を重ねながら、自分の力で見出していくものです。言語化する粘り強さも必要です。
当然、簡単に答えを出せるものではありませんから、結果として、「自分とは何者かについて語り合える相手」を自らが欲するようになります。

ただし、アイデンティティ教育にほぼ触れたことのない中高生にとって、自分についての情報を他者に開示することは、とてもデリケートで繊細な領域です。

ゆえに、自らについて、安心して語ることのできる安全な場所を探します。その最初のステージが、多くの場合、自分のことをよく知っていて信頼できる保護者の方になるのです。そうした一連が、本記事の中編でお伝えした「AO・推薦入試によって親子の対話が変化した」という保護者の方の実感に繋がっているのだと思います。

多くの保護者の方は、こうした親子によるコミュニケーションの質的変化に対して、我が子の自立のプロセスに親の立場でダイレクトに立ち合える充足感を覚えていらっしゃいます。

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そして、このような感覚になることは、「とても想定外だった」とおっしゃる方が多いようです。

なぜ、想定外かというと、受験における充足感や達成感を得られるタイミングは、通常は「合格発表後」であるはずなのに、「受験準備中」に得られるからなのでしょう。

お分りいただけますでしょうか?
まさに、AO・推薦入試は、その受験自体が「親子関係の前向きな変化」をもたらす大きなきっかけになり得るのです。

それは、単なる大学合格とは別格の、家族にとっての大きな価値となるはずです。

親子の食卓でわかる色々なこと

別の見方をすれば、
「AO・推薦入試に向けて塾・予備校などに通って準備しているのに、あまり自分自身について深めたりする様子を感じないな?何か別のことに囚われているな?」
と保護者の方が感じたり、
「そもそも子供本人から対話を欲していないのかな?」
という状況なら、それはちょっと注意すべき兆候かもしれません。

健全なAO・推薦入試のプロセスをたどっていない可能性があるからです。

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残念なことですが、「●●大学●●学部に合格するためには、こういう研究テーマでなければいけない」だとか、「志望理由書はこの順番で書かなければいけない」といった、本人のアイデンティティを全く無視した指導が、実際にあります

また、「自分の受験体験のみに依存するような、属人的かつ体系の整っていないマンパワー指導に、何十万円も払ってしまった」という話も耳にします。

そうしたリスクに気が付けたり、親と子の「自立と共同の関係」を構築したりするための重要な環境が、実は「親子の食卓」にあると、私は思っています。

ぜひ、AO・推薦受験生の保護者の方は、食卓での会話に代表される子供との対話の場をより大切にしていただければ幸いです。

次回は、「親子軸(おやこじく)を定めるメンタリング術」をお伝えしたいと思います。「メンタリング」は、私がナビゲーターを担当するAO・推薦入試オンラインサロンでも、とても重要なキーワードですが、「親子軸」形成のためにも、とても参考になると思います。
ぜひ、お楽しみに。

※メンタリング・・・指示や命令によらず、育成者(メンター)の対話と助言によって、被育成者(メンティー)の自立的・自発的な発達を促す指導法の一つ。

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青木唯有【AO・推薦合格は親子軸で決まる】

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