アイデアが邪魔
「新しいアイデアとかいらない。普通でいいと思うんだよね。」
「アイデアがあること自体が邪魔だなーって感じることもあるんだよね」
あるグラフィックデザイナーさんとアイデア出しをしていたら、突然そんなことを言われました。
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僕は、アイデア出しが大好きです。
モノが溢れてる現代。
ちょっとだけ見た目を変えた製品なんて作ってもゴミになるだけ。
なにかしら、暮らしに革新が起きるような、圧倒的に良いと思える製品を作りたいと、常々思っています。
だからこそ「アイデアが邪魔」と言われたときは、本当にショックでした。
でも、わからなくもないんです。
世の中を見渡せば、昨日も今日も
「こんな新しい機能ですよ!」
「今までとはここが違う!」という売り文句が立ち並ぶばかり。
「うるさいなあ、もっと普通のものが欲しいんだよ!」
そう言いたい気持ち、僕たちにもあるんです。
そして意外かもしれませんが、僕たちは、そういうモノも作ってたりします。
TENTが作った"普通"
僕たちTENTは、ありがたいことに
「よくそんなアイデア思いつきますね!」
と言ってもらえることがとっても多いです。
でも実は、すごく普通のモノもデザインしてます。
たとえば、KINTOさんのPLACE MAT
いまでは、どう見ても"普通"にしか見えないこのトレイ。
(沢山の会社に真似されちゃってます)
「フチを少し持ち上げただけ」というシンプルなトレイは当時存在してなくて、実はちょっとした革新でもありました。
<PLACEMAT の詳しい開発エピソードはこちらからどうぞ>
たとえば、TOMOSさんのコートかけ、トイレットペーパーホルダー、タオルハンガー。
こちらはまだ、"どうみても普通"とまでは言えないかもしれません。
でも、TOMOSのお部屋で暮らす人にとっての"普通"になることを目指してデザインしました。(TOMOSの床材と良く馴染むという意図があります。)
しっかり作り込まれた"普通"
アイデアを出す、というと「目新しくて注目を集めるセンセーショナルな案を出す」と思いがちなのかもしれません。
「これまでにない新しい機能や用途を考える」と思いがちなのかもしれません。
でも、僕たちの暮らしの中には、目新しさセンセーショナルさや、新しい機能や用途ばかりじゃなく、今までよりももっと普通のモノも必要なのかもしれません。
もっと普通のモノとは何か。
そのためにアイデアを出す、そんなやり方もあると思うんです。
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さて、では最後に
もう1つだけ、紹介させてください。
ハンガーは服をかけるためのもの。
でも、
服が掛かっていない時間も意外と長い。
服を掛けていない時も安心して眺めていられるような「一本の線で描いた」ようなミニマルなハンガーが欲しい。
そう考えてマットな鉄ハンガーを作りました。
定番の構造を採用した上で、無駄な曲線をなくし、直線と円でシンプルにまとめて。「こういう普通のものが欲しかったんだ!」をカタチにしました。
そして実はこのハンガー、S字フックと一緒に使うと最高なんです。
S字フックに鞄をかけたり、帽子をかけたり、パンツのベルトループをひっかける。
お洒落なお店でよく見かけますよね。あれをお家でできちゃうわけです
しかも、ハンガーとピッタリ揃います。
(あっ!つい、アイデアを盛り込んでしまった。)
目新しさ、センセーショナルさや、新しい機能や用途は無いかもしれない。
でも、僕たちの暮らしには、こんな感じの
しっかり作り込まれた普通が、まだまだ足りないんじゃ無いかなあと思います。
よかったら、使ってみてください。
このハンガーは、DRAW A LINE というシリーズのために考えました。
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