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製品発表前の怖さと、その活かし方。

新しい製品を作って、無事に量産目処も立って、価格も確定して。
さあ、あとは世の中に発表するだけだ!という段階。

できた製品を撮影して、伝える言葉を考えて、Webサイトなど発表に向けてあれこれ準備している段階。

何度やっても、この時ばかりは、本当に怖いんです。怖くて仕方ない。

今ではたくさんの人に
愛用いただけている
フライパンジュウだって
発表前は怖かった


僕たちはこれまでに数多くの製品を世に送り出しましたし、それなりに成功して現在も好評のまま継続しているプロジェクトがいくつもあるんですけど

やっぱり発表直前になると怖くて怖くて仕方ない。
なんなら「発表なんかやめてお蔵入りにしようかな」って思うくらい。

なんで怖いんだろう?一体いつになったら怖くなくなるんだろう?
そんなことを思っていたある日のこと。

Twitterを眺めていたら、小学館の編集者である畑中雅美さんという方のこんな問答を見かけました。

全然違う考えを分かってもらう


すみません、スクショを貼らせていただきました
ぜひこちらから原文を読んでください

この質問への回答が本当に素晴らしくて。ぜひ原文を読んでいただきたいのですが

一部引用させていただきます。

つまり、「共感」というのは、読者が「自分と似たような人間に抱く感情」を説明した言葉ではないということです。

大事なとこなんで執拗に書き募りますが、「読者に共感されるような漫画を描こう」というのは「読者の同情をひくような漫画を描け」という意味では断じてない!!!ということです。

読者にとって他人である全く違う人間性の感情を、読者に理解させろ、感情移入させろって言ってるんです。

全く違う人間性を、理解させる。

全然違う人達に対して、全然違うあなたの考えを、どうしたら解って貰えるか?

理解して貰えるか?
共感してもらえるか?

そう思って、「絶対他人には理解されない感情」を共感されるように描いてみてください。

これを読んで思い出しました。

たとえばHINGE(ヒンジ)のとき。

HINGEについては
こちら


今では3万人以上の方にご愛用いただけている製品ですけど、発表当時は「A4コピー用紙をお仕事に使いたい」なんて人、自分たち以外にはそんなにいないと思ってました。

共感してもらえないと思っていたからこそ、かつてないほど長文の記事で、A4用紙の良さ、それをどう活かすか、どう開発したかを伝えました。

お金が儲かるからとか、売りたいからとか、そういうモチベーションじゃなくて。「多くの人には分かってもらえないであろう、僕たちが感じているこの良さを、買ってもらえなくても良いから、どうにか伝えたい!」

そんな熱意だけで、まだ一円のお金にもならないのに!恐ろしい時間をかけて写真を撮ったり記事を書いたりしました。

その結果として、HINGEは上述した通りの大ヒット&ロングセラー製品となりました。



安心して出せるものではなく


「世の中をあっと言わせるようなヒット製品を作りたい!」
モノづくりする人なら、誰だって一度は考える事だと思います。

ヒット製品=たくさんの人が買ってくれる製品。
ということは
「今ヒットしている製品に似たものなら間違いない」
「アンケート調査して人気のあるものを作れば安心」
そんなふうに思っちゃうかもしれない。

でも、たぶんそれでは到達できない、もっと目指すべき地点があるんです。

上に引用させていただいた畑中さんの回答にもあるような。今はまだ自分にしか理解できないけど、自分にとっては切実な何かをしっかり見つけて

それを伝える。理解してもらうための努力をする。そうすることで、それまで世の中になかったような「あっと驚く&ヒット」が出来上がるのかもしれません。

ヒットすることが間違いない(と思えるような)安心して世に出せる製品を作っても、そこそこで止まっちゃうんです。たぶん。

誰にも理解されないかもしれない。発表するのが怖くて仕方ない製品を作る。

怖いからこそ、どうやったら理解してもらえるのか、あらゆる手を尽くして努力する。伝えたい!分かってもらいたい!その切実さが、特別な製品を産むんじゃないか、と思いました。

怖いものこそ発表しよう

「うまく行かないかもしれない。怖くて仕方がない。」
僕みたいに、製品発表前にそんな気持ちになる人は他にもいると思います。

そんな時つい
「売れてるものにちょっと似せちゃおうか」
「製品の仕様を変えてしまった方が良いんじゃないか」
「リサーチやアンケートをとって売れる確信を得たい」
なんて言葉たちが頭をよぎります。

それってつまり安心しようと思ってるだけなんです。
まだ伝えるための”架け橋”ができてないのに、足したり変えたり聞いてみたりしても意味無いんです。

不安や怖さはそのまま受け入れて、むしろそれをエネルギーにして。きっと理解されないであろう(けど自分はすごく良いと思っている)その製品の魅力を、どうやったら理解してもらえるのか。どう伝えたら良いのか。

写真一枚、テキスト一文字、製品名、、、

怖いからこそ、創意工夫しまくる。"架け橋"をしっかり作る。その先に、到達したいゴールがあるんじゃないかなあ、なんて思いました。


というわけで
近々いくつもの製品を発表予定です!お楽しみに。


Podcast『知らんがなラジオ』でもこのテーマについて話し合いました。



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