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下北沢のBONUS TRACKで、TENTがお店を始める理由。

2021年の6月ごろから。
下北沢のBONUS TRACKという場所にて

TENTが小さなお店を始めます。


まだまだ準備中の店舗


僕たちTENTは「プロダクトデザイナー」として10年間活動してきました。
(結成以前から数えると、アオキは16年、ハルタさんは25年くらいですね)

プロダクトデザイナーとは一般的に、様々な企業から依頼を受けてデザイン図面を納品するという職業です。

そんな職業の僕たちが、なぜ「リアル店舗」を始めることになったのか。

今回は、BONUS TRACKのプロデューサーである内沼さん、小野さんにお話を伺いつつ、そのあたりの経緯を紐解いていきたいと思います。


BONUS TRACKのこと、プロデューサーのお二人のことは、この記事に詳しく書いてあります。


「新しい商店街」にあって欲しいもの

TENTアオキ
(写真左)

今日はよろしくお願いします。


小野裕之さん
(以下"小野さん"と表記:写真中央)

よろしくお願いします。


内沼晋太郎さん
(以下"内沼さん"と表記:写真右)

よろしくお願いします。

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アオキ
実は僕は2011年くらいの頃に、numabooksという当時の内沼さんの会社にいきなりメールしたんです。

当時は停滞しきっていたBOOK on BOOK を「見てもらえませんか?一度お会いして話せませんか?」って。

どこの馬の骨ともわからない僕に内沼さんは会ってくれて。意見も言ってくれたんですよね。

↑この7年間のうちの隠れたヒトコマです



それ以来、SNS上では緩くつながってまして。
とはいえもう8年くらい会ってなかったんじゃないかな。

今年に入ってすぐくらいに内沼さんから
「BONUS TRACKに空き店舗物件が出るんです。こんど公募を始めるんですけど、よかったらTENTさん出してみませんか?」
って突然の連絡があって。


内沼さん
そうですね。声をかけさせていただきました。


アオキ
「BONUS TRACKっていう素敵なスポットが下北沢にできている」という噂は、すでに様々な方面から聞いてはいて。

もともと気になっていた場所だったので、すぐに現地を見に行ったんです。

すごく気持ちの良い場所ではあるものの、素敵な飲食店が立ち並ぶスポットっていう印象を受けました。


なので
「なんでプロダクトデザイナーの僕たちに声をかけたんだろう?」
っていう疑問が頭に浮かびました。

なんでTENTに声をかけたんですか?

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内沼さん
そうですね。
BONUS TRACKは「新しい商店街」を作ろうって言うのが大前提としてあって。

商店街には様々な店があった方が良いと思っているんですけど、今のBONUS TRACKは、ちょっと飲食の力が強すぎるという気がしていて。

僕らとしては飲食と物販の割合が同じくらいにしたいっていう思いが心のどこかにあったんだと思います。



また同時に、BONUS TRACKっていう場所自体が「新しいチャレンジをしてもらうための場所」でもあるので。

やったことのない業態をやるとか、はじめてお店をやるとか、そういう人たちを応援する場所なんです。

もちろん公募で出会える可能性も期待しつつ、誰か思い当たる人にも一応声をかけてみようかなって思った時に、TENTさんがいたな、と。


アオキ
なるほど、なるほど。


内沼さん
アオキさん自身もよく発信されてましたけど、旧来のよくある職能としてのプロダクトデザイナーに囚われていないですよね。

大手メーカーさんと組んで大量にも作るし、自分たちも在庫を持って作ったり、いろんな座組みでプロダクトを作っていたり。

そんなTENTさんがもしBONUS TRACKに入ったら面白いなあって妄想して連絡したって感じですね。


アオキ
小野さんはどうですか?

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小野さん
僕は内沼さんに言われて初めてTENTさんのことを調べたんです。いろんなインタビューとか読んでスタンスが面白いなって。

ヒゲじいランプの記事とか、ほんと面白いですよね。

そうやって調べていくうちに必然性が思い浮かんできたって感じでしたね。



この場所でモノを買いたくなるか

アオキ
いったんオンライン打ち合わせをすることになった最初の時に、僕は
「すごく素敵な場所だけど、正直モノが売れる気がしない」
って言ったんです。

実際に僕自身はBONUS TRACKですごく心地よい時間を家族と過ごしたんですけど、それはランチを食べに訪れたので。



「あの心地よい飲食空間で、一体誰がTENTのプロダクトを買いたくなるんだろう?」って。


内沼さん
うーん、僕は買ってもらえるんじゃないかなって思ってるんですけどね。

例えばTENTさんのプロダクトって、家電のお店だったりインテリアのお店みたいな、そういうところにあったりしますよね。

あとは雑貨店さんとか。そういうところの方が、たしかに、それを探しに来ているお客さんはいるのかもなとは思うんですけど

BONUS TRACKには「何か面白いものないかな」っていう感じで来ている人は結構いるんです。「発酵ってなにそれ?」とか「日記屋って?」とか。

内沼さん
そういう場所で、TENTさんが作るものっていうのは、興味を持って買う人もいるだろうなあって思ってます。

もちろん、これまでBONUS TRACKに来たことがなかったという人がTENTさんきっかけで来てくれたら面白いなという気持ちも当然あるんですけど。

なんとなく来た人が「え!こんな突っ張り棒あるんですか」みたいに買っていく。そういうこともあるんじゃないかなと。

アオキ
たしかにわかる気がします。僕がBONUS TRACKに初めて行った時も、飲食で満足はしつつ、お土産というか、なんかモノを買いたくなったけど、そういうお店がないなとは思いました。


内沼さん
なんかギフトっぽいものが実際足りない気がしているので。

あとは、ちょっと「生活っぽいピースが足りない」っていうのが僕らの中にはあって。

モノでいうと、レコードや本はある。でもそれって、モノではあるけれども情報であって。情報に対する欲求というか、音楽が好き、本が好きっていうのがないと、なかなか難しい。

だからもうちょっと純粋に「モノをモノとして買っていく」みたいなお店があるといいなとは思ってました。


アオキ
小野さんはどうですか?


小野さん
たしかにBONUS TRACKは「モノが売りやすい場所かどうか?」っていうと、そうではないですね。

たとえるなら「売り方を試せる場所」として優秀なんだろうなって思っています。

B&Bって、本を売るための方法論を実験しているし

発酵デパートメントって発酵食品を新しい文脈で売るための方法論を実験している場所だなって思うんです。

そういった意味での、実験的な売り方をしているものに対して、試しに買ってみたいって思う人がすごく多い場所だなって。


アオキ
なるほど〜。僕の中でだんだんミッションが明確になってきました。

今の時代に、僕たちの作るようなモノ(プロダクト)を実験的に販売する店舗って、今のところ、あんまりないですもんね。

そういったお店のあり方を探って、何か面白いことができるといいな。


結果的に、地元に根差すスタート

アオキ
BONUS TRACKのオープン前は、海外からのインバウンド需要が盛り上がっていたり、国内旅行もさかんだったじゃないですか。

だからやっぱり、観光地としての期待があったんじゃないかな?と想像するんですけど

今の状況下で、結果的にめちゃくちゃ地元に根差すことを宿命づけられたと思うんですけど、そのあたり、思うところありますか?


内沼さん
おっしゃる通り、僕らも開業の準備している時は、それぞれの店舗の濃いファンが遠方からやってくることを想像していたんですけど、やっぱり「移動しちゃダメ」ってことになり、近隣の人に向けてオープンしたんですけど。

それは、結果的にめちゃくちゃ良かったなと思ってます。


アオキ
そうなんですね!


内沼さん
住宅地に建っているって言うこともあって、近隣にお住まいの方に喜ばれる馴染みの場所になっていかないと長くは続かないし。

これがあるから近くに引っ越してくれるっていう方もいてほしい。

それなのに、オープンと同時にバーンって花火みたいに盛り上がっちゃって遠方から大勢の人が押し掛けてしまったら、やっぱり近隣の人からしたら面白くなかったと思うんですよね。

商店街って、やっぱり地元の人たちのものだと思うんです。僕たちがそこまでうまくいっているかはわからないんですけど。

うっかりすると他所の人の場所になりかねなかったこの場所が、幸いにして最初に地元の人と繋がることができたという感じは、あります。


小野さん
普通に地元の人に愛されていて、そこに遠くから来た人もワンデイ住民みたいな感じで入れる。そういうのが素直な観光のあり方だなって僕も思っていて。

おそらくBONUS TRACKのオーナーみんなが、そういうことが格好良いと思ってくれてると思いますよ。

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良い意味で潔癖なところ

アオキ
最後に、僕たちTENTに対して「これやっちゃいなよ!」って思ってることとかあればお願いします。


小野さん
プロダクトデザイナー気質のその、前向きな意味で「潔癖症」な感じというか「ちゃんと決めたい」みたいなことって、たぶん飲食店のカルチャーにはない部分だと思うんです。


アオキ
潔癖症!笑
僕はデザイナーの中では、そうとう「ちゃんとしない」方だと思ってるんですけど、確かにわからなくはないです。

「もっと"ちゃんとしない人"が沢山いそう」って雰囲気は感じてます。


小野さん
そのあたり、施設全体に対してでもなんでも「ここ気になるんですけど」って部分を遠慮なく指摘してもらえると、耳の痛い話であっても長期的には成長につながるんじゃないかなって思ってます。


アオキ
いやー、TENTはそんなに厳しい人たちでは無いんで。
でもそうですね、遠慮なく言っていきたいとは思います。

内沼さんは、TENTに期待することとかありますか?


内沼さん
隣の保育園さんと一緒によくイベントをやっているんですけど、やっぱりアオキさんの、お子さんとの工作のこととか、そういった部分でイベントとかご一緒できると嬉しいなあって思いますね。

アオキ
いいですね。


内沼さん
子どもに限らず、大人も含めて、モノづくりのイベントだったり。そういったことを色々と、広場やギャラリーを使ってのイベントなど、相談していくことになると思うんです。

その辺りも含めて、楽しみです。よろしくお願いします。


アオキ
ありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。



2021年6月ごろ

下北沢のBONUS TRACKにて

TENTが小さなリアル店舗を始めます

乞うご期待です!


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