HiroAOKI

北海道・札幌出身、映像作家、文筆家 【最新作】ボブサム 奈良裕之ドキュメンタリー『天鹿…

HiroAOKI

北海道・札幌出身、映像作家、文筆家 【最新作】ボブサム 奈良裕之ドキュメンタリー『天鹿渡鴉巡礼-森に還ったワタリガラス』 https://aoki.com/

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  • 映画『天鹿・渡鴉巡礼 - 森に還ったワタリガラス』

    ボブ・サム 奈良裕之ドキュメンタリー映画『天鹿・渡鴉巡礼 - 森に還ったワタリガラス』の制作秘話、映画では語られなかったエピソード、星野道夫さんへの想いなど。これを読むと映画が10倍楽しくなる、、、かも

最近の記事

「銀の心」に「金の心」

 星野道夫さんの書籍を初めて手に取ったのは今から20年程前。『オーロラの彼方へ』という未公開の写真と、星野さんの様々な著書の引用文からなる90ページほどの単行本でした。  皆が強く思いながらも、それをいざ言葉にしようとすると難しい心の形。それを星野さんは簡素でわかりやすい文章の中に、多くの人が「そうそう、それそれ」と共感できる表現を用いて綴っていました。  写真以上に星野さんの書く文章に感動し、僕は「一度星野さんに会ったみたい」と連絡先を探しました。そして、同書の最後のペ

    • 白いワタリガラス

       映画『天鹿・渡鴉巡礼 - 森に還ったワタリガラス』の中で、ボブ・サムさんは白いワタリガラスの物語を語っています。  「かつてワタリガラスは白かった」!?  そして、白いワタリガラスが、なぜ黒くなってしまったのか。  その驚くべき言い伝えは、実はアラスカ先住民クリンギット族だけのものではなく、シベリア民話の中にも登場することを知り、さらに驚きました。 シベリア民話「大地の大きさを計ったワタリガラス」  星野道夫さんの『森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて』のあとが

      • ボブ・サムの語った物語 - クリンギットの人々にとって「森に還る」とは

         ボブ・サムさんはアラスカ先住民クリンギット族長老、墓守、語り部。アラスカの自然写真家故・星野道夫さんと親交が深かったことでも知られています。  2019年夏にボブさんは来日し、巡礼した各地で『森に還ったワタリガラス Raven Walks Into The Forest』という物語を語りました。  「森に還る」「森に歩み入る」(walks into the forest)とは、クリンギットの人々にとって死を意味するとのこと。日本語の「土に還る」とか「夜空の星になる」など

        • 風の神話と星野道夫が綴るアンカレッジ時代のボブ・サム

          『風はこうして家を見つけた - How wind found a home』 2019年夏、ボブ・サムさんが来日した際に語った物語のひとつです。 貝がらを耳にあてると、風の音が聴こえるのはなぜだろう・・・ 子どもの頃、誰もが抱くこんな疑問や、自然への好奇心を思い出させてくれるこのお話は、先祖代々受け継がれる神話を語り続けてきたボブ・サムさんが、はじめて自分で創作した物語だそうです。 (※この物語は、詩人・谷川俊太郎氏の訳で『かぜがおうちをみつけるまで』(スイッチ・パブ

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        • 映画『天鹿・渡鴉巡礼 - 森に還ったワタリガラス』
          6本

        記事

          ワタリガラスがこの世界にどのようにして光をもたらしたのか

          2019年にボブ・サムさんが来日した際に語った神話『森に還ったワタリガラス』(Raven walks into the forest)は、こんな風に始まります。 ワタリガラスがこの世界にどのようにして光をもたらしたのか。これはクリンギット族の創世神話とも言われる物語『The box of daylight』(太陽の箱)の中で語られています。 神話の中でワタリガラスは、しばしば「トリックスター」と表現されます。 「トリックスター」とは「神話や物語の中で、神や自然界の秩序を

          ワタリガラスがこの世界にどのようにして光をもたらしたのか

          目標達成!ネクストゴールにむけて!! ボブサム&奈良裕之ドキュメンタリー映画『天鹿渡鴉巡礼 - 森に還ったワタリガラス』クラウドファンディング

          ボブサム&奈良裕之ドキュメンタリー映画『天鹿渡鴉巡礼 - 森に還ったワタリガラス』クラウドファンディング、おかげさまで目標金額を達成しました。ご支援いただきました皆様本当ありがとうございます!只今ネクストゴールに挑戦中です。明日5日締め切り!完成披露オンライン試写会へのご招待特典もあります。ぜひご支援ください。 https://aoki-geki.com/weblog/1500/ 2019年夏、熊野の滝の撮影に行く途中、僕は足を滑らせカメラバックごと川に落ちて、胸まで水につ

          目標達成!ネクストゴールにむけて!! ボブサム&奈良裕之ドキュメンタリー映画『天鹿渡鴉巡礼 - 森に還ったワタリガラス』クラウドファンディング

          ボブ・サム&奈良裕之ドキュメンタリー映画『天鹿・渡鴉巡礼 森に還ったワタリガラス』製作支援サポーター募集!

          ボブ・サムさん、奈良裕之さんの巡礼の旅の映像を編集しています。 https://aoki-geki.com/weblog/1500/ 語りを行った翌日のボブさんは、いつもぐったりと憔悴しきっていました。 クリンギットのローブを羽織ると、複数の先祖の魂が憑依し、その魂がボブさんに物語を語らせるのだそうです。しかし、その魂たちはしばしば朝方まで帰ることなしに、ボブさんを眠らせてくれないないのだと言います。 東京、静岡、富山、熊野、天河、生駒、名古屋、神奈川、会津、札幌と巡

          ボブ・サム&奈良裕之ドキュメンタリー映画『天鹿・渡鴉巡礼 森に還ったワタリガラス』製作支援サポーター募集!

          ヤコブ・ヴォン・ウクスクル JAKOB VON UEXKULL - もう一つのノーベル賞の創始者

          ※この記事は2008年12月13日にETC英会話の関連サイトのために書かれたものを、一部編集して掲載しています。 VON UEXKULL - もう一つのノーベル賞の創始者 ヤコブ・ヴォン・ウクスクル JAKOB VON UEXKULLライト・ライブラリフッド賞(Right Livelihood Award)の創始者、ヤコブ・ヴォン・ウクスクル氏は切手収集家。同賞の資金も、最初の五年間はこの切手ビジネスから得た利益を充当したそうです。 ヤコブが、切手収集を始めたのは、彼が

          ヤコブ・ヴォン・ウクスクル JAKOB VON UEXKULL - もう一つのノーベル賞の創始者

          もう一つのノーベル賞、ライト・ライブラリフッド賞

          ※この記事は2008年12月11日にETC英会話の関連サイトのために書かれたものを、一部編集して掲載しています。 もう一つのノーベル賞、ライト・ライブラリフッド賞 今年ノーベル物理学賞を受賞された日本人の先生方の受賞理由は、  ・原子核物理学における自発的対称性の破れの発見  ・自然界に少なくとも3つのクォークファミリーが存在することを予言する対称性の破れの起源の発見 とのこと。 しかし、皆さんが発見されたこの"破れ"がいったいどんな破れなのか、 そして、この破れの

          もう一つのノーベル賞、ライト・ライブラリフッド賞

          ノーベルに多大なる影響を与えた女性 ベルタ・ズットナー

          ※この記事は2008年12月11日にETC英会話の関連サイトのために書かれたものを、一部編集して掲載しています。 ノーベルに多大なる影響を与えた女性 ベルタ・ズットナー  かつてビジネススクールに通っていた頃、組織行動学の先生がこんな表現を教えてくれました。 Behind every successful man, there is a woman.  以下は、先生の解説 「成功の影に女あり。ほら、皆さんにも、いつも側にいて、あーでもない、こーでもないと、がみがみ、う

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          ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルとノーベル賞

          ※この記事は2008年12月10日にETC英会話の関連サイトのために書かれたものを、一部編集して掲載しています。  インターネットのおかげで世界中の出来事を簡単に動画で見ることができるようになりました。  カトリーナ被害について、涙まじりに解説する女性キャスター、  広大な牧草地をバックに、自らの自由について静かに語るチベット人、  家族を亡くし、住む土地からも追われたことを繰り返し訴えるコンゴ人女性。  どれもみな、とても大切なことを伝えてくれようとしている。  でも

          ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルとノーベル賞