ステップファザー・ステップ/宮部みゆき 読書記録#33

ユーモアミステリーの大傑作!あの宮部みゆきが青い鳥文庫に初登場!

プロの泥棒が「お父さん」に!?
ふたりきりで暮らすボクたちの家に、ある日、泥棒が屋根から落ちてきた!6つの謎解きに3人が挑みます。

哲(さとし)と直(ただし)は中学生の双子の兄弟。両親はそれぞれに駈け落ちして家出中。なかよくふたりで暮らす家に、ある日、プロの泥棒が落っこちてきた!いやいやながらも、双子の父親がわりをさせられる泥棒。そんな3人を巻きこんで、不思議な事件やできごとがつぎつぎにおこります。ドキドキ、ワクワク、笑って泣いて、最後はほろり。ユーモアミステリーのロングセラーにして大傑作!

青い鳥文庫版 内容紹介より

 私が初めて読んだ『ステップファザー・ステップ』は、児童文学レーベルの青い鳥文庫から発刊されたものでした。その当時からお気に入りで、定期的に読み返している一作です。
 今回読んだ講談社文庫版は、青い鳥文庫版未収録の「ワンナイト・スタンド」を含む全7編構成となっています。

 本作の好きなポイントは、第一にユーモラスな語り口。語り手である泥棒の「俺」の軽妙な台詞回しがクセになります。
 登場人物たちもまた個性的で、双子(哲と直)は “気のふれたお神酒どっくりみたい” にそっくりで、発する言葉まで二人で交互に分担するほど。

 「俺」と双子たちの奇妙な疑似父子生活は、微笑ましくも痛快です。この三人組をいつまでも見ていたくなる。
 それに、謎解きの面白さもあります。読み味はライトながらもしっかりミステリーです。連作短編なので手軽に読める点も魅力的。

 天真爛漫な双子に振り回されながら、「俺」という “父親” (ステップファザー)は安楽な生活を守るため、ぎこちなくも奔走(ステップ)します。
 かれら擬似家族がどんな結末を迎えるのか、気になる方は是非読んでみてください。おススメです。


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