八日目の蟬/角田光代 読書記録#32
元恋人の赤ちゃんを誘拐してしまった希和子。そこから長い逃避行が始まります。「薫」と名づけられた少女は、「母」希和子からの決死の愛情を受けながら、すくすくと成長していく。東京から名古屋、小豆島へ。島で束の間の平穏な日々を過ごした後、ふたりの暮らしは突然終わりを迎えました。
物語後半では、成人した「薫」(=恵理菜)のその後が描かれます。彼女が過去と向き合い、思いを清算していった先には、思いがけない「光」がありました。
恵理菜という「八日目の蟬」は、疎外され、孤独を味わい、明日のことさえ分からないまま。しかし「他の蟬には見られなかったものを見る」こととなります。
息もつかせずラストまで走り抜ける展開。切ないながらも希望を感じさせる「母と子」の物語です。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?