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美しい時間
美しい時間とは何故あんなにも早く、短く過ぎ去っていくのか。
その一つの答え、村上龍の「半島を出よ」の終盤でカネシロという少年が言う。
「美しい時間は短いに決まってるじゃないか」
短い事それ自体が時間に美しさを与える。短くなければそれは瞬時に美しさを失う。長さに汚された時間の中に何かを見出すことは出来ないのかもしれない。
でも、それでもその美しさに魅入られてしまう。どうかこの美しさが、ずっと続いてくれないものかと、どうしても思ってしまう。でもそれは、原理的に不可能であることがわかっている。美しい時間の定義と逸れてしまうから。わかっているのに、この美しい時間を、ずっと自分の中に閉じ込めておけないかと、そう思ってしまう。これは誰しもが抱えるジレンマなのでしょうか?それとも、美しい時間の本質を知らなければこんな問題に陥る必要はなかったのでしょうか?私が本質をその核心を知っているというには傲慢かもしれませんが、これは私の中では答えそのものなのです。
美しい時間は短いに決まってる
何故そう決まっているのか、カネシロは語らない。ただ断定的に、決まっているのだという。彼はその美しい時間を自分で壊す勇気があった。私にはそれが無い。楽しいことをしている時、この今現在が美しい時間だと感じている時、私はそれを食い止めようとしてしまう無粋さしか持ち合わせていない。
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