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『ホワイトデーのお返しを悩む前にバレンタインが存在していなかった過去』

何を返したらいいか3月14日の日に悩んでいた人もいると思うが、そもそもそのスタートラインにすら立っていない人の存在を忘れてはならない。

私が学生の頃のバレンタインといえば、毎年女子からチョコレートを5個くらい貰っていた…男子生徒を遠目に羨ましそうに見ているだけの日々だった。
2月14日になる度に貰えないのは分かっていながらもソワソワしながらその日を過ごしていたのを今でも覚えている。
「チョコレート?貰える訳ないじゃん!」
と友人と話しておきながら、いやいや俺にならワンチャンあるんじゃないか!?とどこにその可能性を秘めていたのか10代の自分を咎めたい。
安心しろ。
チロルチョコさえ貰えないから。
しかし、そんな私にもうかれた話がある。
高校2年生の部活終わりの下校時、いつもながらソワソワした1日だったがおかげさまで鞄の中身はスカスカのままだった。
1人で勝手に落ち込みながら下駄箱のロッカーの扉を開けると、靴の上に白い封筒が入っていることに気付く。
…。
ここで分かったのが人は動揺すると一旦扉を閉めてしまうことだ。
取り敢えずロッカーを間違えてないか名前を3回確認をする。
見飽きている安定の"青木"のままだった。
深呼吸をしてもう一度扉を開けると間違いなく白い封筒が置いてある。
ここから青春が始まるんだなと当時放送されていたオレンジデイズ主題歌のSignが脳内に流れ出した。

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気持ちは妻夫木聡。
♫届いてくれるといいな〜♫
ロッカーから取り出すと白無地封筒にシンプルに"青木様"と手書きで名前が書かれていた。
携帯があるこの時代に珍しく古風な女性のようだ。
黒髪ロングに口数少ないおとなしめな女の子なのかもしれない…と、この少ない情報量でよくここまで想像出来たもんだと思春期というのはとても恐ろしい。
♫ありがとうとごめんねを繰り返して僕ら〜♫
ドキドキしながら封筒を開けるとシンプルな白い手紙が入っていた。
震えた手で手紙を広げると…、
♫ありふれた時間が愛しく思えたら〜♫
「進路希望用紙の提出が遅れています。17日までに提出するように。担任より」
♫それは愛の仕業と小さく笑った〜♫
…。
それは担任の仕業と小さく苦笑いした。
直接教室で言えーーー!!!
周りを気にしながら私の下駄箱に手紙を置くと慌てて去っていく柴咲コウの後ろ姿を想像していたわ。
どうやら部活中に邪魔出来ないし、しかも連休になるので帰りに分かるよう担任が気を利かせて下駄箱に入れたようだ。
こうして私のオレンジデイズは第1話のあらすじで最終回を迎えた。
担任のありがた迷惑な気遣いで帰り道はとても寂しく感じる。
今日に関しては自分宛にチョコレートをプレゼントしても良いよね?と、
♫そんなこと考えている〜♫

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