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小説・バニラアイス

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新幹線の販売員をしているわたし。 いつも同じ時間の同じ車両に乗る、スーツの彼は、バニラアイスがお気に入り。でも彼が、どこの誰かもわからない。 どこの誰かもわからないネットの世界は…
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#ドキドキ

バニラアイス・4・ちいさな彼女

バニラアイス・4・ちいさな彼女

「お客様、お席の確認をお願いしたいのですが…。」

怯えるような声が耳に響く。
あの子の声だと反射的にわかった。

「疲れてんの。眠いの。わかる?」

威圧的な声が聞こえる。
さっきから、大いびきをかいて寝ていた乗客だろう。

仕事で疲れているのも、酒を飲むのも自由だけど、人に迷惑をかけていいとか、八つ当たりをしていいってことにはならない。

「申し訳ございません。お席の確認をしていただけませんか

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