見出し画像

ウクライナの鉱山労働組合は訴える

2022/08/31
Ukraine Solidarity Campaign

 ウクライナ独立鉱山労働者組合(NGPU)副議長ナターリヤ・レヴィツカ氏(上の写真左)へのインタビューです。インタビュアーはロンドンを拠点に活動するウクライナ連帯キャンペーンのクリストファー・フォード氏。

鉱山を稼働させ続け、市民を保護するために、ウクライナの労働組合は訴える

NGPU、鉄道員自由労働組合などウクライナの労働組合のデモ

Q.  NGPUとあなた自身の立場についてうかがいます。何人の労働者を代表し、どこで働いているのでしょうか?

 ウクライナ独立鉱山労働者組合(NGPU)は、石炭、鉄・ウラン鉱石、非鉄金属、泥炭、エネルギーの鉱山労働者を代表しています。ドネツク、ルハンスク、ドニプロペトロウシク、キロヴォフラド、チェルニヒフ、ジトーミル、リヴネ、ヴォリン、イワノフランキフスク、リヴィウの各地域に代表を置き、2022年1月1日現在で合計43,500人の組合員がいます。2021年5月27日の第9回NGPU大会で、私は第一副議長に選出されました。私は20年以上、独立系労働組合で活動してきました。NGPUは、鉱山労働者の権利、雇用の維持、労働法制の改悪防止、鉱山労働者とその家族の社会的保護のために闘っています。

Q. ロシアのウクライナ戦争について、NGPUはどのように見ていますか?

 NGPUと私たちの上部組織は、ロシアの攻撃は、ウクライナとウクライナ人を滅ぼそうとする卑劣な企てだと考えています。本格的な侵攻が始まった当初から、多くの鉱山労働者はウクライナの領土を防衛するために、自主的に領土防衛隊やウクライナ軍に参加しました。組合員のほとんどはボランティアで、民間人、軍隊、医療関係者を助けています。私たちは、ロシアによるウクライナ侵略は、ヨーロッパ、そして全世界の民主主義に対する戦争であり、ウクライナ人に対するジェノサイドだと考えています。

Q. ドンバスでは2014年からすでに戦争が起きていましたが、2月にロシアが本格的に侵攻したことで、現地の状況はどう変化したのでしょうか。

 2014年にロシアがウクライナに攻め込み、ドンバスの領土の一部を占領しました。一部の鉱山は占領され操業を停止してしまいました。そのため、危険な状態に陥った鉱山労働者とその家族は、家を捨てて逃げざるを得なくなりました。NGPUの活動は、いわゆる「DNR」や「LNR」の占領当局によって禁止され、2014年5月にはノボグロディフカの私たちのリーダーが誘拐され、拷問を受けました。
 同時に、ウクライナ領内の鉱山はまだ稼働していたので、そこの鉱山労働者は仕事を続け、家族を養っていました。ウクライナ政府が支配するドンバス地域では、地方と中央の当局が地域社会に投資して学校や病院が再建されました。新たな雇用が生まれ、子供たちの遊び場や運動場、新しい公園や広場が建設され、病院や学校には最新の設備が導入されました。しかし、2月24日、すべてが変わりました。
 リシチャンスク、セベロドネツク、ポパスナ、ルビジュネなどルハンスク州の都市がロシア軍によって破壊されたのです。ルハンスク州のほぼすべてが占領されました。この地域の住民のほとんどは難民となり、残った住民はロシアの選別収容所に入ることになりました。すべての工場は破壊され、ほとんどの住宅は破壊され使用不可能です。都市部では電気、ガス、水道の供給が止まっています。戦闘は続いており、敵は空爆、ロケット弾、禁止されている種類の兵器を使用しています。
 ドネツク州でも激しい戦闘が続いており、我々の組合員は勇敢に戦っています。ドネツク州のほとんどの都市は、毎日爆撃やロケット弾の攻撃を受けており、市民が亡くなっています。都市は廃墟と化し、鉱山は砲撃にさらされて、操業停止を余儀なくされています。学校、病院、幼稚園、教会、文化施設など、地域のインフラがロシアの侵略者によって破壊されています。寒さへの備えが不可能になり、当局はドネツク州の住民の避難を発表しましたが、鉱夫たちは砲撃による生命の危機にもかかわらず、今も鉱山で英雄的に働き続けています。

NGPUの組合員たち

Q. 侵攻前の鉱山労働者の状況、鉱山や工業は機能していたのでしょうか?

 ウクライナの領土であるドネツク州、ルハンスク州の鉱山や工場は機能していました。労働者には仕事と給料がありました。鉱山労働者への給与の支払いに遅れはありましたが。

Q. 侵攻が始まって鉱山は動かなくなったのですか?

 ルハンスク州では7つの鉱山がすべて稼働を停止しました。砲撃で被害を受けたり浸水したところもありますが、ロシアに占領されている地域なので全容は不明です。この地域の生態系にどのような影響があったかも不明です。
 ドネツク州では、ブグレダールの2つの鉱山が砲撃で破壊されたため、稼働を停止しました。他の鉱山は稼働していますが戦場に近い場所にあります。

Q. 戦争は、特に東ウクライナや南ウクライナの鉱山地帯の生活状況にどのような影響を及ぼしましたか?

 戦争は、ウクライナの市民一人ひとりの生活を変えました。毎日毎晩、警告のサイレンが鳴り、ロシアがいつどこで私たちを攻撃するかわかりません。ロシアは子どもを含む住民を殺すだけでなく、抵抗して民主的権利を守ろうとするウクライナ国民を心理的に打ちのめそうとしているのです。

Q. ロシア軍によって、民間人や民間地域が意図的に攻撃されているのでしょうか?

 私は、ロシアが意図的に民間人をターゲットとして攻撃し、すべてのインフラと生活支援施設を破壊していると確信しています。さらに、医療機器や学校備品、産業機器、穀物など、残っているものはすべて占領地から持ち出されます。例えば、マリウポリからは遊具まで持ち去られました。
 NGPUが加盟しているKVPU(ウクライナ自由労働組合総連盟)は、ロシア軍によって被害を受けたり略奪されたりした病院への支援を行っています。これには他の労働組合やパートナーの兄弟姉妹が協力してくれています。また、ドネツク州やドニプロペトロフスク州の地元組織も、ベビーフードから機器や発電機まで、病院への支援を行っています。

Q. ロシアは住民を恐怖に陥れようとしているようですが、ロシアの戦術はウクライナ人の抵抗の意志にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?

 ウクライナ人は団結して全力で抵抗しています。テロは抵抗と敵への憎しみを増大させるだけです。国民は軍隊を助け、資金を集め、義勇軍を組織し、わずかな機会も利用して敵に抵抗しているのです。子供たちでさえも、ボランティア活動に積極的に参加しています。
 7ヶ月間、絶え間ない警報信号、都市の破壊、核災害の脅威の中で生活していることを想像してみてください。組合員の中には、空爆や砲撃で大切な人を失う人もいれば、兵士となり、戦闘で命を落とす人もいます。それでもウクライナ人は戦い続けています。国際的な支援は、全世界が私たちとともにあることを示すものであり、私たちを支えています。

ウクライナを守るために志願した労働組合員たち

Q. 侵攻以来、鉱山のコミュニティでは互いに助け合うような動きがあったのでしょうか?

 もちろん、誰もが互いに助け合っています。ドネツクとルハンスク地方から来た鉱夫の家族は、リヴィウとヴォリン地方で保護を受けました。ドニプロペトロフスク地方の鉱山では、ドンバス地方の鉱山労働者が雇用されています。
 すでに述べたように、私たちは医療機関も支援しています。さらに、私たちは組合員だけでなく、人道支援を必要とするすべての人の支援を行います。NGPUのミハイロ・ヴォリネツ代表は、ドンバス、ハルキフ、チェルニヒフ地方に必要なものを自ら持っていきました。

Q. ウクライナ軍と並んで、鉱山や工業地帯に展開する領土防衛隊などは、ほとんどが労働者で構成されているのでしょうか?

 NGPUのメンバーは、敵との戦いに身を投じています。ある者はウクライナ軍で戦い、ある者は領土防衛隊に加わり、残りの者は領土防衛のためのボランティア団体に参加しています。2月24日まで、これらの人々は鉱山で働き石炭を採掘して生活していました。そして今日、彼らは国を守っているのです。残念ながら、動員された鉱山労働者の中にも犠牲者が出ています。リヴィウ・コール国営企業DCの鉱夫が20人以上、他の国営炭鉱の鉱夫も亡くなっています。
 また、NGPUのメンバーは、ウクライナのエネルギー自給を確保するためにも活動しています。

Q. 防衛のための組織的な動員には、男性と並んで女性の参加も多いのでしょうか?

 女性も男性とともに国を守っています。国防省によると、5,000人の女性が防衛の最前線にいるそうです。また、ボランティア活動においても女性は大きな役割を担っています。ドンバス、ドニプロペトロフスク、キーロボフラド地域でボランティア活動をしている女性たちもいます。現在ヨーロッパで難民となっている女性たちでさえ、支援活動に取り組んでいます。資金を集め、軍用の医薬品や物資を買って送り、ヨーロッパの都市でウクライナへの支援を組織しているのです。

Q. 侵略が始まってからのNGPUの役割は?

 本格的な侵略が始まった当初から、NGPUのメンバーは積極的に国土の防衛に参加しています。また、国が必要とする石炭を採掘する作業も行っています。また、NGPUはすぐにそのリソースを使って、被災したコミュニティや領土防衛隊員の支援に乗り出しました。なぜなら、経済が破壊され失業者が増加したため、私たちの仕事の機会が減少したからです。

支援物資を運ぶNGPUの組合員

Q. NGPUは鉱山地帯の家族に対する援助や支援を組織していますか?

NPGUは、鉱山労働者とその家族に人道的支援を行い、安全な都市への避難を助け、その他の必要な援助を提供しています。

Q. すべての労働組合は、ウクライナを侵略から守るために組織化されているのでしょうか?

 今日、すべての労働組合員を含むウクライナのすべての市民が、敵と戦い、勝利に近づくために最大の努力を払っています。

Q. 以前はウクライナの労働組合の間に分裂がありました。この戦争によって、ウクライナ全土の労働組合の連帯は強まったのでしょうか?

 組合間での違いはあるかもしれませんが、今は敵との戦いのために団結しています。

Q. ロシアはドンバスやその他の地域を「ナチス」から「解放」するために戦っていると主張していますが?これをどう思いますか?

 ウクライナにナチスは存在したことはないし、今も存在しません。ウクライナ国会に右翼過激派政党の議員はいません。世界の政治家も有名人もウクライナに来て、自分の目で見ています。私たちには誰からの保護も解放も必要ありません。ロシアはプロパガンダのために、攻撃の口実として「ナチズム」を利用しているのです。
 ウクライナ人は友好的で勤勉で自由な国民です。私たちは誰も攻撃したことはありません。そして、政府が何か間違ったことをしていれば、マイダンに出かけていってすべての問題を解決するのです。(2014年のマイダン革命のことを指している・訳者注)。いかなる侵略も、われわれのヨーロッパと民主主義への希望を止めることはできません。

Q. ロシア軍の中には極右ファシスト集団がいるようです。いわゆるドネツク人民共和国も含めて、ロシア勢力の実情はどうなっているのでしょうか。

 我々の領土でウクライナと戦っているロシア軍はすべてファシストであり、我々はレイシストと呼んでいます。彼らが我々の土地で行っていることは、第二次世界大戦中に起こったことよりもひどいことなのです。第二次世界大戦を生き延びた人たちは、現在のレイシストの残虐行為に驚いています。

Q. ロシアはまた、ウクライナではロシア語に対する脅威があり、ロシア人とロシア語話者に対する「大虐殺」があると示唆しているのですが?

 これは純然たる妄想です。ウクライナでは、人々は常に自分が使いやすい言語を話すことができます。ロシア語を話す市民への弾圧はありませんでした。私はドンバスで生まれ育ち、ロシア語話者ですが、自分の言語に対して抑圧されたと感じたことはありません。しかし、今はロシア語を話す市民もウクライナ語に切り替えようとしています。

Q. 戦争は、ウクライナ語や国民性についての考え方にどのような影響を与えたのでしょうか?

 私たちはウクライナ人であることを誇りに思っていますし、みんなウクライナ語を話そうと努力しています。

Q. ウクライナの占領地での現状はどうですか?

 占領地に残っている組合員の情報によると、状況は厳しいようです。ドンバスでは、ロシア軍に強制的に徴兵されるため、男性は外に出るのを恐れています。親ウクライナの立場の人を捕まえて、ロシアのパスポートを強制的に取得させ、拒否する者は拷問を受けています。全員が選別過収容所に通されています。また、占領地ではウクライナ語やウクライナのカリキュラムに沿った学校での教育が禁止されています。占領地の住民はウクライナ軍を待ち望んでいますが、彼らはそれを公然と話すことはありません。また、これらの地域ではレジスタンス活動が行われています。

Q. 占領地では自由な労働組合運動が行われているのですか?

ありません!!

Q. 経済不況が深刻化するなか、英国では「今こそ停戦・和平を」と主張する人もいますが、そのような立場をどう思いますか?

 私たちは平和を望んでいますが、領土を手放すことはできません。2014年、当時ドンバスの一部だったクリミアをウクライナは一発も撃つことなく割譲しましたが、これは平和につながらないばかりか、ウクライナ全土への侵略戦争に発展してしまいました。ロシアがいかなる合意も守らないことを、すでに皆が知っています。ですから、私たちは勝利のために戦い、全世界が私たちをサポートしてくれることを心から願っています。私たちは自分たちのためだけでなく、ヨーロッパのすべての国のために戦っているのですから。

Q. ウクライナの分割を伴う和平は受け入れられると思いますか?

 ウクライナは自由で独立した国です。私たちは誰にも国土を分断して欲しくありませんし、私たちはそれを許しません。

Q. 戦後のウクライナの復興については、すでに議論されています。民族解放のための闘いは、社会的な目的も持つべきだとお考えですか?

 社会的なヨーロッパ的なウクライナを再建しなければなりません。ウクライナの社会的再建の目的は、まともな給与、質の高い仕事、安全な労働条件、社会正義であるべきです。そして、労働組合は常に従業員の権利を守るための効果的な手段でなければなりません。

Q. ウクライナ議会は、法律案5371など、雇用の権利と労働者の条件を大きく損なう法律を審議中です。これらの新しい法律について、どのようにお考えですか?

 新しい法律は、国際基準や欧州基準を満たし、労働者を保護し、新たな雇用を創出するものでなければなりません。私たちは現在、法律案5371やその他の労働者の権利を侵害する法案に反対して闘っています。

Q. これらの法律が提出された動機は何だと思われますか?

 おそらく当局は、労使関係の規制を緩和すれば、国内への投資が増えると考えているのでしょう。しかし、そうではありません。労働法制の悪化は、戦後のウクライナ経済にマイナスの影響を与えるでしょう。

Q. こうした変化を覆せるとお考えですか?

 そうなるよう全力を尽くします。

Q. イギリスの労働組合にはどのような連帯が可能でしょうか?

 あらゆるかたちでの連帯、支援、協力に感謝します。

全国炭鉱労組、鉄道運転士労組がウクライナの炭鉱を訪問

Q. 英国政府に対して、ウクライナにもっと武器を送るようキャンペーンを行うべきでしょうか?

 そうしなければなりません。なぜなら、私たちの防衛と勝利は武器の数によって左右されるからです。

Q. 私たちは皆さんの援助要請を支持しています。鉱山労働者の抵抗運動を助けるために、具体的にはどのような援助が必要なのか説明してもらえますか?

 鉱山労働者を含むウクライナ人は、人道的・軍事的援助を必要としています。どんな援助でも大いに結構です。例えば、国を守るNPGUのメンバーには、車両、ドローン、赤外線カメラ、医療機器、長期保存用機器、クイッククッキング用機器などが必要です。また、他の地域に移住を余儀なくされた鉱山労働者の家族には、防寒着、ヒーター、発電機、食料が必要です。労働組合の兄弟姉妹の支援を受けて、私たちは必ず勝利します。

【原文】
https://ukrainesolidaritycampaign.org/2022/08/31/unions-strive-to-keep-ukraines-mines-running-protect-civilians-and-appeal-for-solidarity/


【作業者より】 DeepL によって機械翻訳したものを修正しました。作業者はほとんど英語を読めないため、誤訳、不都合な個所などがある可能性があります。そのような個所がありましたらコメントしてください。(久下)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?