800字日記/20221127sun/141「シンギュラリティに驚く」
目覚める。部屋は温かい。が寒気がある。寝返る。日向でネコが寝ている。起きあがる。冷蔵庫を開ける。空だ。でも今日は外出しない。机はメモの山なのだ。そうじを始める。
そうじを終え、机に座る。ため息をつく。まる三日こねくりまわして、段落ひとつしか書いていないが接着剤としてはいい着想だ。書き進めよう。
一服だ。気晴らしにYouTubeを見る。度肝を抜かれた。「シンギュラリティ」という言葉を初めて知った。「絵を描くのは好きだが絵を描くのに一時間かかる。その時間がない。だからいまはすばらしい時代だ」たしかにぼくも同意見だ。が、違和感を感じて首を傾げた。
現在は人間の処理能力をすでに環境(コンピューター)が超えている。これには驚いた。いまの環境は90秒の音楽を13秒で作る。これどういうことか? 昔は曲ができるまで作曲家と作詞家が数ヶ月かけた。それがいまでは13秒だ。人間は作曲など創作する気力はなくなってしまうにちがいない。それは論文も小説も彫刻も絵もおなじだ。近い将来、ホワイトカラーはコンピューターに仕事を奪われる。
ぼくが三日間をかけてひねりだしたアイデアは、環境はすでにもっている。環境に小説のテーマと筆者(が書いた1,800字程度の作文や音楽やブログのURLなど)のデータを入力すれば、小説(に限らず音楽も絵もなんでも)が「秒」でできる。そんな世界がいまの現実の世の中だ。目の前に立ちはだかる真っ黒い大きな壁に押しつぶされそうである。
机に山となるメモ紙を、みる。一枚一枚、確認をして取捨選択をしてゴミ箱に捨てる。ネコが鳴く。風邪薬をのむ。頭はぼうっとする。時計を見る。夜中だった。
「今日はもう寝ようか」
といって布団をしくとネコは喜んで布団にかけていく。
「ごはんあげたっけ? 」フェイントを入れるとネコは餌場へと向かう。その隙にぼくは布団にもぐりこむ。
「あのアイデアは、環境には思いつかんと思うんだけどな」
ぼやいて掛け布団をかぶる。
(798文字)
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