命を拒絶する医師邸宅(妄想散歩)。20230407fri291
440文字・10min
妄想がかき立てられる邸宅を見つけて、いく日か経つ。
その壁に囲まれた邸宅ではなにが行われているのか? 大きなけやきの木の横に見えるのはギロチン台ではないのか? 水滴がひたひたと落ちる地下室にはだれが飼われているのか? かつては少女だっただれかが鎖で繋がれているのか? 地下牢のドアの下はスライドされて残飯が盛られた皿が滑りでる音が聞こえる。きっと自分の子を医療事故で亡くして心が病んだ地元の医師が住んでいるに違いない。男の想像は膨らむばかりである。
男はポッケからスマホを抜いて、壁づいたにあるく。
裏手にまわる。木が朽ちて壁に穴がのぞく裏門を発見した。スマホを片手にのぞいてみる。枯れた水路が見える。腰を折った老婆に見えるのは朽ちた柿の木だ。
今晩、あそこの梯子から侵入してみるか。
ズキュン!
「ぎゃっ」
男は飛び退いた。足元にネズミがひっくり返って死んでいる。腹に穴が空いて血を吹いている。
男は恐るおそる、二階の窓を振りかえる。
ライフルを持った人影が消えるのが見えた。
人影は笑ったドラえもんのお面を付けていた。
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