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800文字日記/20220308tue/004


腹に猫が乗る。起きる。10時03分。カーテンを開ける。眩しい。晴れだ。猫はベランダの洗濯機の上で日向ぼっこ。また布団に。足に陽が射して温かい。寝る。12時の時報で起きる。猫と箒(ほうき)で遊んで散歩に出る。

道路をすり足で散歩する老人を横目に畦(あぜ)へ曲がる。今日は暖かく風もない。思ったが遠くで鳥よけの黒ビニールが風に靡(なび)いていた。畦(あぜ)をのぼるとアームを伸ばした車両が土手を塞(ふさ)いで配線工事をしていた。近づく。NTT光回線だという。野良のような汚い犬を連れた女とすれ違う。キャップに手を添えて頭を下げたが無視された。

団地の手前で風が西に吹いていると気づく。立ち止まる。河に流れる紋が海から逆流しているように見える。

下流に鴨(かも)が大群でいた。水面を抜き足で歩く五位鷺(ごいさぎ)の周りにいる五十羽までは数えたが二百はいるだろう。白鷺(しらさぎ)の子が団地に架かる橋まで力強く羽ばたいて橋桁(はしげた)でUターンし、それから水面すれすれに滑空して親鷺(おやさぎ)の元へ戻っていく。飛行練習か。

スーパーで弁当を買って、荒屋(あばらや)が並ぶ、日陰が多く日向には笊(ざる)に大根が晒(さら)された曲がりくねった路地を抜けると梨直売所の脇。国道を跨(また)いで浜に。


防波堤に座って弁当を食べた。腹ごなしにまた歩く。浜には人、犬、蛇行した自転車などのいろんな形の跡が。本州へ飛ぶジャンボ機の手前で南風に乗った鴎(かもめ)がジャンボ機を追い越していく。黒く固くなった波際(なみぎわ)を歩いて帰る。西へランニングしている人とすれ違う。顔が汗でキラキラしている。ぼくも汗ばんでくる。

団地まで戻った先の、ツツジや梅や椿(つばき)の生垣に囲まれた、葉牡丹(はぼたん)やガーベラやパンジーが咲く家の玄関先にペットボトルで作った風車がカラカラと回っていた。母家と納屋に張られたロープに繋(つな)がれた寸胴(ずんどう)で毛むくじゃらの小型犬がこっちを向いて異様(いよう)に短い尻尾(しっぽ)を振っていた。ぎょっとなって立ち止まった。飼い主に尻尾を切られたのか、虐待(ぎゃくたい)されているのかと思う。五分くらい撫(な)で、虐待(ぎゃくたい)じゃないと思い帰路(きろ)につく。(800文字)

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