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願った先に

――初夏。
君に愛されたいと願った季節だ。

今、行き場を失っている。
あの頃はどうして生きていられたのだろうと疑問に思う。
過ぎ去ってしまえばすべては輝かしい記憶として残る。

水で溢れて潤っていた心は、乾ききって干からびてしまった。

 誰よりも愛を欲していた心はどこに行ったのだろう。
むしろ渇いていたのはあの頃だったのではと今になって思う。

願うことはつらい。
ただ、願う先がないこともつらい。

果のない道を歩き続けているのは人生そのものであろう。
泥のなかに光を探すようにして、今日も生きている。

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