ひとりよがり

あの坂をのぼると、
いつもの散歩道に出る
今日は晴れ、見慣れた街

大きいおうち、いつも大きい
お庭、大きな門で見えないんです。
大人だけど子どもなので

久しぶりに話しかけられた
知らないおじさんに「こんにちは」
そういえば、挨拶もなかった

雑然とした中に
きっちりした生活をみるお庭
ひとつ干されたマスク

ねえ、今になって届いた
「きみは大器晩成だから」
そのときはムッとしたけど

まちがえてジャンパー着た
隣人に「暑いね」と言われ
余計な汗、「暑いですね」

あの人、でかでかと貼られて
「生きてるだけで楽しい日本に」
口ばかり、ってそんなにだめかな

こめじるし描かれた日よけ
つけられたままの玄関先
私の知らない時代のにおい

ひざ丈のスカート、
気にしないで一心不乱に走る
そのまま、そのまま、

私たちが希望
若いことが希望
年老いても希望だけど、
年老いたら若い人に
いい景色みえるとこ譲れる
そんなお年寄りになりたい

私たちが希望、誰になんと言われようと
私たちが希望、少ないけど、希望なんだから
胸張ってこう、胸張っていよう
明日、また会おう、友よ