個人雑誌(ZINE)メイキング【コローレが出来上がるまで】
今月8月に、「あなたの色がめばえる」がコンセプトの雑誌コローレが完成しました。
コローレは約半年という時間をかけて、10〜15人のライターさんとで制作を進めています。
どのようのな工程を通して、コローレは完成していくのか、デザイナーからみた一部の工程を紹介します。
①マニュアルの制作 : 柱を立てる
コローレはとても自由な制作を行なっています。記事を書く際も厳密な制約はなく、ほとんどの記事は、ライターさんが考えたそのままで雑誌に収録されています。
自由な制作はとても魅力的ですが、やり方によってはまとまりを失ってしまう節があります。そうならないようにコローレではアンカーを降ろしておく、ということをしっかりと行います。
僕からはそのために制作マニュアルを毎回、みなさんに共有させていただいています。(それ以外にもさまざまなアプローチがありますが。)
マニュアルとはいいますが具体的な項目はなく、大体は「コローレとはこういうものである」という定義づけだけになってしまいますね。
特に文章の型とか、NGワードとかがまとめられているものではありません。
ここまでが、毎回の制作マニュアルだったのですが、今回は少し違う施策も行いました。
ヒヤリングフォームの導入です。
Googleフォームを使って、記事にこめる思いや狙いをを綴っていただくフォームを用意し、こちらをライターのみなさんに入力していただきました。
デザイナーに記事の意図を伝えるためのフォームですが。
それ以上に、記事に対する思いや考えをライター自身が言語化するツールとして、一つ役に立ったように思いました。
そうすることで、より記事の方向性がかたまっていき、結局フォームに入力した内容こそが、1番の制作マニュアルになっていきます。
コローレ制作の中で一番大変なのはチームマネジメントです。
技術的な部分も大切ですが、モチベーションなどもそれぞれの状況や性格によってムラが出ます。
メンバーの中にある「雑誌を作りたい」という思いと、「実際に作る」という労力が見合わなくなるかもしれない、そういうもろさも常にあるのです。
なので、制作過程で、そこのギャップが生まれないようにしっかりとバランスをとっていく必要がります。
先程のヒヤリングフォーム以外にも定期的な会議や声かけにて、さまざまなアプローチがかけられています。
今回特徴的だったのは、「コローレへの思いインタビュー」です。
これもまた新しい施策で、みなさんにコローレをなぜ作りたいのか?といった、「そもそも」の思いを言語化してもらいました。みなさんのコローレに繋がるまでの文脈を知れてデザインにもとても役立ちました。
以上のように今回は制作にあたっての言語化が、いままでよりも多かったように感じますね。そうするほど、明確なゴールを見据えての制作がチーム全体でできるようになったと感じました。
こういった一つ一つのアプローチがコローレの柱になっていき、個人制作にありがちな不安定さが解消されていくのだと思います。
②デザイン制作:ライターの思いを視覚化していく
そうして、言語化や記事制作が始まるころ、僕は提出された原稿を熟読して、デザインを考えていくことになります。
僕がまずデザインで最初に始めることはリサーチです。他の雑誌の研究などもありますが、大変なのは物事の知識についてリサーチすること。
コローレは特に調べることが多いです。
知らなければ作ることはできません。
例えば「遊び(3号のテーマ)」というテーマ1つとっても、「遊び」を理解しないことには作れません。
調べるといろんなことがわかってきます。
語源を調べれば「遊」という字は「ゆっくり進む」という意味の、しんにょう、と「ゆれ動く」という意味を持つ「斿(ゆう)」という字で構成されているのか、とか
科学では「適度な覚醒状態を求めて人は遊ぶ」のだと結論づけられてるのかとか(諸説あり)
工業では、歯車と歯車は窮屈すぎると動かないために意図的なスキマが作られていて、その隙間のことを「遊び」と呼ぶのか、など
「遊び」という事象一つでもかなり立体的で奥深い知識や解釈があり、それらを知ることで今後の制作にとても役立ってきます。
そうしてリサーチを終えればとうとうデザイン、まずは手書きラフを制作します。
手書きを書き込まず、そのままソフト上でデザインする記事もあったりで、制作手順は記事によって様々です。
制作手順はさまざまでも、全てに一貫して気をつけているのは、記事の個性を邪魔しないこと。デザインするというのは、注文者の子どもを預かって、スタイリングしてあげるようなものだと僕はよく感じます。
みなさんがお腹を痛めて、生み出した子供を預かるわけですが。
そんな中で、おとなしい子に派手すぎる服を着せたり、大人っぽい子に幼稚な服を着せたり、といったように、デザインすることで、せっかくの良さが消えてしまうということが往々にしてあります。(場合によっては、まだ見つかってない良さが見つかることもありますが。)
まずは邪魔しない、そして良さを引き出す。
特にコローレは「記事」と「執筆者」の距離がとても近いので、ライターさん自身のキャラクターもデザインに反映させなければいけません。
「この人っぽい!」というデザインを制作しないといけないのは大変難しい工程になっていて、僕自身いまだ、試行錯誤中の作業です。
そんな中で時折、ライターさんから、デザインに対しての要望が出ることもあります。
僕はそれらの意見を比較的、積極的に取り入れるようにしています。その方が本人のエッセンスを読者にも感じてもらえると思っているからです。
③校正:細部に神は宿る
そしてデザインを一通り終えると、最後のブラッシュアップ、校正の段階に入ります。デザインや文章にミスがないか、チェックしていく段階です。
48ページにもわたる印刷物なので、ミスはたくさん出てきます。
校正にあたって、手を抜かず、みなさんとても細かいところまでチェックしてくれます。
誤字だったり、句読点がなかったり、変なとこで改行していたり。本当に様々なミスが発見されます。
僕はこういった作業が苦手なので、この観察力、注意力についてはいつも、すごいなと思います。
例えばこちらの画像を見てみましょう。こちらの画像は1件だけ校正箇所が発見されました。
どこかわかりますか?
正解は・・
右から6行目、「そもそもこの雑誌コローレ自体も....」の部分です。
上に半角分スペースが入っている、とご指摘をいただきました。
こういった些細なミスを48ページにわたって何十件と見つけ出し、ご指摘いただき修正する。毎回、見つける側も、修正する側もキリがないくらいの作業に追われますが、これでやっと完成へと差し掛かっていきます。
④反省と改善:コローレをよりよくするために
そうして、コローレが完成し印刷され、読者の元に届くとき。
チームコローレではその完成品と制作過程を振り返りながら、コローレがより良くなるために何ができるのか、意見交換、反省会などを行います。
デザインでも毎回、たくさんの反省点が出てきます。それらも今後に活かせれば良いなとそう感じています。
読者アンケートの結果などもここでとても役に立ちます。実際に読んで、どのように感じてもらえるのか、読者さんの声を聞いて、それを元に次回のコローレを制作します。
どこのコンテンツでもそうですが、コローレは決してライター、デザイナー、などの15人だけで作っているわけではないということですね。
以下、コローレのロードマップになっています。
コローレは作るたびにブラッシュアップされ、現在の形に進化していきました、とはいえ、まだまだ多くの人に楽しんでもらう雑誌としては、たくさんのハードルがあります。
今回のコローレvol3では、みなさん今までよりもたくさん意見を出しながら、作っていただいて、かなり実験的な企画もいくつか仕掛けられています。そんななかでこれからも、コローレがどんどん進化していけるようにと、次回に向けても、現在進行形で準備しております。
読んでいただいた方は是非、読者アンケートにもご協力をお願いいたします。いつでも受け付けております。
まだ購入してないよ、という方も是非よければ、コローレの購入をよろしくお願いいたします。
※下記にURLを貼っておきます。
まだまだ成長できるコンテンツだと思うので、これからどんな方と関わって、どんなコンテンツができるのか、以降も楽しみにしようと思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
よろしければ記事にも"いいね"など"シェア"などしていただけると励みになります。
これからもコローレをよろしくお願いいたします。
【コローレアンケートはこちら▼】
https://forms.gle/DNVivjA66Bx3G87a9
◎販売案内
【コローレ販売フォーム(あおいろデザイン工房専用)】
https://forms.gle/sJeSKYunBimMBFfMA
銀行振り込み・paypayにてお支払いいただけます。
【コローレ販売案内】
https://ao-site.wixsite.com/colore
おまけ:これからのコローレ
ここまで色々と書きましたが、デザインについては、色々とまだまだ試行錯誤しております。紙面の色合いが微妙になったり。文字サイズが適していなかったり、完成品を見てそういう部分ばかり集めてしまい、自分の未熟さに落ち込むこともあります。
特にコローレを作る際は世界観をしっかりと演出することの重要性を感じています。そのためにはビジュアルやテイストになにか一貫性をつくる必要があるのですが、そこもまだ掴みきれていません。
今後、そう何度も作るものではないと思いますが、限られた時間の中でコローレにそういう、大きな魅力を持たせることができたならば、僕自身はとても満足です。
そのためにはいろんな意見も取り入れながら、さまざまな角度からコローレを吟味してく必要がありそうです。
僕の中では、いくつかコローレテーマソングがあるのですが、僕の中で一番しっくりきてるのはclammbonさんの「タイムライン」です。
みなさんはどうでしょうか。
わからなくなった時はこういうのを聞いたりして、自分の中でイメージを広げていきます。
音楽だけではなく、アンケートとか、ライターさんとの関わりだったり、他の雑誌を読んでみたり、限られた時間の中で得た刺激を通して、更なるコローレワールドが広げることができれば良いなと感じます。
次号は今回の反省点を受け止めながら、もっと良いvol4を制作していこうと思います。
と意思表明をしたところで記事を終わりたいと思います。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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