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魔法野菜キャビッチ3 キャビッチと伝説の魔女

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ポピーは魔法の世界に住む少女。その世界では「キャビッチ」という、神から与えられた野菜で魔法を使う――「食べる」「投げる」「煮る」「融合」など。 13歳になったポピーは、新たに「シ…
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2020年7月の記事一覧

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 83

「キャビッチ」ユエホワが私の方に手をのばしてさけぶ。
 私は大急ぎで渡す。
 それを受けとると同時に薬をかけつつ「ピトゥイ」とユエホワがさけび、
「エアリイ」私もさけんで投げる。
 私のキャビッチは子どものにぎりこぶしぐらいの大きさで何十個かに分散し、また姿をあらわしたアポピス類たちに、つぎつぎにぶつかっていった。
 けれどアポピス類の盾に当たって消えるものが大半で、ダメージにはつながらなかった。

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 82

「やっぱり二人がけだ」ユエホワがうなずく。「俺にもマハドゥがきいてる」
「いや、なんで?」私は思わずユエホワを見てさけんだ。「なんでユエホワがピトゥイを使えるの?」
「俺が性格のいい鬼魔だからだ」ユエホワはにこりともせず答えた。「あとついでにシルクイザシの効能と。くるぞ!」さけぶ。
 はっと前を見ると同時に箒がぎゅんっと高く飛び上がり、私がいた位置になにかきらきら光る粒のかたまりのようなものが飛び

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 81

「あのう」飛びながら私はユエホワにたずねた。「イボイノシシ界ってもしかして、地母神界のこと?」
「たぶんな」ユエホワはまっすぐ前を見て飛びながら答えた。「あいつらがさらに新しい世界とか国とかをつくってるんでなければな」
 私はそれ以上なにもいわなかった。
「それにしても、あいつら陛下の目を盗んで好き勝手やってくれてるってことだな」ユエホワはにがにがしげに言った。「まさかとは思うが、あいつらに寝返る

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 80

「え」私は一歩しりぞいた。「なにが?」
 となりで片ひざついているユエホワはなにも言わず、こうべをたれたままちらりと私を横目で見た。
「このたび貴様は我が鬼魔界精鋭のユエホワを危機から救い、あまつさえ鬼魔同士のいさかいを食い止めたとのこと」鬼魔の陛下はそう説明した。「人間にしてはよい行いであった。ほめてつかわす」
「――」私はなんと答えればいいのかわからず、陛下ととなりのユエホワをかわるがわる見た

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