見出し画像

八月の風

1.

八月の終わりには
思い出してしまう
温度が下がり始めた空気に
触れた傷が

歌声のように
流れ込んでくる
切ないけど 心地よくて

私とあなたの間には
透明な壁があって
もし、それに色があったなら
こんな苦しくなかったかな


2.

身勝手な心が
未だ期待している
いつか、いつかはと、
変わらない日々の中で

私からはもう動けないよ、と
諦めているくせに

私とあなたの間には
透明なラインがあって
互いに顔を伺い
目が合うことなく離れたの

涙はでないよ
悲しいわけじゃないから

私とあなたの間には
本当は何もなくて
それに気づかないフリをした
いつか、いつかはと
期待して息を吸い込んだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?