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明日こそは、よりも、明日だけは

「明日こそは」と毎日のように唱えている、フリーライターのaoikaraです。

最近過食をしてしまって、でもなんとか穏やかに過ごす方法を考えて前向きに、なんてnoteを昨日書いたばかりで、昨日また、そして今日もまた過食してしまった。

心は複雑で、本当にそう思っていても、次の瞬間にはもう全然違う顔をしているからこわい。自分自身であるから、なんとかなると余計に思っているからこそ、なおさらこわい。

だから、「明日こそは」「明日からは」と唱えてしまう。次の日になれば「今日こそは」と、そしてつまづいて、またダメかと、「明日こそは」と唱えて……雪だるまのように膨れ上がったダメな自分のできあがり。膨れ上がっているのは脂肪にまみれそうなお腹と顔と体なのだけど。


とまあ絶不調な気分で入り浸るのはインターネットの世界と昔から決まってる、私の世界では。いろいろ見ながら、歌舞伎役者・坂東玉三郎さんのとある言葉にたどり着いた。

遠くを見ない。明日だけを見る。

NHK プロフェッショナルにて語られていた言葉。

https://www.nhk.or.jp/professional/2008/0115/index.html

HPを読み、さらに詳しく内容を調べてみると、玉三郎さんは歌舞伎役者としてデビューしてブレイクしてから、それはもう忙しく仕事をしていたようで、1日5公演なんてとんでもなくタイトなスケジュールをこなしていたそうで。

でも、あるとき倒れて、立ち上がれなくなってしまった。うつ病だった。30ヶ月も休みなしで働いていたという。


倒れてしまったという話の前に、玉三郎さんが語られていたことがあった。「明日だけを見る」という言葉の中に、役者という仕事について「明日からもうできないかもしれない」という思いがあると。

てっきり役者は水商売だからとか、年齢を重ねて来る老いなど体力的な“できない”という意味だと思っていたら、「役者の精神性としてね」と続けて話してらして、メンタルという意味で“できない”と語っていたのだと気づく。

この言葉選び、考え方に、共鳴するものを感じて、無理をして心が風邪を引いてしまった話を聞いて、ああと納得をした。恐れ多いことだけれど。

今日までずっとやっていたのに突然明日には心が折れて「できない」となってしまうかもしれないという不安は、もう立ち上がれないと心も体も力尽きた瞬間があったからこそ思うことで。

心がぽきっと折れた経験がある、なんなら今ボキボキに心が折れている私からすると、まさにメンタルという意味での「明日できない」状態はとても共感してしまう。


だからこそ、玉三郎さんはとにかく体を気遣う。仕事終わりはどこにも寄らずまっすぐ家に帰り、トレーナーにメンテナンスをしてもらう。そのまま眠る。明日に向けて。遠くを見るとできないかもしれないけれど、明日だけなら頑張れる。そんな明日のために、今日の終わりに整える。

そんな「明日だけ」という気持ちで続けてきて、気づけば今がある。その今は、とても美しく、強い、今。


私は、つい欲張ってしまう。うまくできている、こうありたいと思う姿になれているならば、できればずっと、永遠に続けたいと思ってしまう。遠く遠くを見てしまう。

もちろん続けていくことはできるけど、いつだって遠くを見ていると終わりがなくて、いつまで続けていればいいと心が折れてしまう。それが今の私で。

じゃあ、玉三郎さんを見習って、「明日こそは」じゃなくて「明日だけ」と思ってみたらどうだろう。あるいは「今日だけ」。その先はわからない。でも、とにかく「明日だけ」、そのために今日の終わりを整えようという気持ちではどうだろう。

よく考えてみると、過食するのはいつも「今日だけ」と思っている。「今日だけダメで、明日からはずっと頑張ろう」って。その「今日だけ」が積み重なって、ずっとダメな自分になってしまっている。

ダメなことだとしても「今日だけ」を続けてこられているのだから、それは自分が思う良いことでも「今日だけ」「明日だけ」を続けていけるんじゃないか。というのは楽観的すぎるだろうか。

でもね、仕事もそうなの。もちろん先を見据えて、遠くを見て、こうなれたらという気持ちはあるけど、全然具体的ではない。大きな理想や目標は正直わからない。

とにかく、「今日のタスクをこなす」という意識が強い。そして、続けてきたじゃないか。続けてこられたじゃないか。

きっと、私は「明日だけ」なら頑張れる。「今日だけ頑張らない」ができるなら、「今日だけ頑張る」もできる。


これからはずっと良い自分でいようと本当は思いたいけど、それは自分自身へのプレッシャーにもなってしまうから、とりあえずは「明日だけを見る」気持ちでいようと思う。

と書きながら、また「ダメでしたー」なんて言ってそう。これは保険なんだよね。ダメだったとしても、「わかっていたよ」と自分のショックを和らげるための。とりあえず、じゃあ明日一日だけは頑張ってみる。明日だけ。

善く生きよう。自分が思う善い生き方がしたい。欲張らず、明日だけ。

2021年1月26日(火)

No.765

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