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【不登校漫画原作】phaseA #約束

SIDE: 実香子

凜花が約束を何一つ守らない。
スマホに関する約束は、とうの昔に一方的に破棄された。
使用時間とか、寝る時間とか、あの約束って一体何だったのか。

明日は学校に行く、と言いながら夜更かしをして、明け方寝るから起きられるはずも無い。
案の定起きることはできず、遅刻して行くと言いながら二度寝して、そのまま行かない。

塾も何度もすっぽかした。
毎回ドタキャンだ。
眠いだの、だるいだの、忘れていただのと言う。
塾から何度も電話がかかってきた。
塾代が一体いくらかかっていると思っているのか。

凛花は何一つ約束を守らない。
やるやる絶対やると口では言って、やらない。
私が、凛花から頼まれたことを何か一つでもやらなかったり、少しでも遅れたら烈火の如く怒るのに。

もう我慢の限界を超えた。
諸悪の根源はこのスマホやゲームなのだ。
何度も取り上げると脅して、今まで一度も取り上げたことはなかった。

そして今日もまた約束を守らずこんな時間までスマホを見ている。
スマホを見て笑う凛花を見て、実香子は何かがプツンとキレる感覚を感じた。

実香子はリビングでスマホをみながら笑っている凛花に、突然に無性に腹が立った。

いい加減にして!!!

と大声で言い、凛花のスマホを強制的に取り上げた。

凛花は驚いて私を見た。

「もういい」
 
と吐き捨てるように言って、凜花はそのまま自室に篭った。

SIDE:凛花

ママからスマホを取り上げられた。
そりゃそうだよね。
私は何一つ約束を守ってなかった。

ママは私に怒鳴りたい気持ちをずっと我慢してた。
私はそれをわかってやってた。
自分が同じ事をされたら怒るに決まってる。
むしろママはなんでこんな私に我慢できるんだろうって思ってた。

私は何も約束を守ってない。
学校に行くって言って行かないし、勉強だって何もしてない。
スマホの約束も一つも守って無い。
そりゃママが怒るのも当然。

自分が悪い。
そんな事わかってる。
わかってるけど出来ない。
出来ない自分がダメだって、誰よりも自分がわかってるよ。

部屋に戻っても、手持ち無沙汰だ。
スマホが無いって、何もする事が無い。
TikTokとか、YouTubeとか、TwitterとかInstagramとか、別に面白いわけじゃない。
それを見てたら、知らないうちに時間が過ぎる。

時々面白いから笑う。
笑えると、ちょっと苦しい気持ちから解放される。
スマホが好きで堪らないから見てるんじゃ無い。
それを見ていないと、苦しい気持ちとずっと向き合わないといけないのが苦しすぎる。

学校も行かないで、勉強もしないで、家事もしないで、グータラしてる私って本当にダメだな。
何で生きてるんだろ。

何も楽しく無い。
何で生きなきゃいけないんだろ,
生きてる意味って何だろう。

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