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【不登校漫画原作】Phase C #お散歩とお喋りと

SIDE: 凛花

ママが朝のジョギングを始めた。
「ママ、若いころ全然運動してなかったから、走れないのよね。だから、殆ど歩いてるけどね。」と言っていた。
私はずっと昼夜逆転をしていて、朝の寝る時間はだんだんずれる。
明け方は暇になってくる。
ママがジョギングのために起きてきたら、「私も散歩に行く」と言って一緒に行く。

私の生活リズムはめちゃくちゃで、起きる時間と寝る時間はどんどんずれるから、朝の散歩に行かない日もある。
昼過ぎに起きると、夜にはなんだか暇になってくる。
そんな時は夜のお散歩に行く。
仕事から遅くに帰宅したママに、「ちょっと外に出たい。」と言うと、ママは「じゃあ買い物ついでに散歩に行こう。」と言って、離れた場所にある深夜営業のスーパーに一緒に行く。

散歩に行くと、ママと沢山喋る。
家に居る時にはママは忙しそうだし、私もいつも画面を見ているからそんなに話さない。
歩きながらだと、色々お喋りしたくなる。
私が気に入っているYouTuberのグループのこととか、面白かったアニメの話とか、昔のお笑い番組のこととか、ゲームのことを話す。

ママは私がおすすめしたYouTubeをちゃんと見てくれて、私のお気に入りのYouTuberの顔と名前を全部覚えてくれた。
一緒にYouTubeを見て、一緒に笑った。
私が好きなアニメのシリーズを全話一緒に見た。
アニメの登場人物の話ができるようになった。

好きな漫画を勧めたら、ママはそれも全部読んだから、漫画の話もできるようになった。
好きな漫画の新刊が出たらしいと言ったら、それはすぐに買いに行こう!と言って一緒に本屋に行った。

私がハマった音ゲーに、ママは何度もチャレンジしてくれたけど、
「ごめん、これだけはママどうしてもハマれない、、、。」
と挫折していた。
ママはすごく一生懸命に取り組んでくれていた。
レベルをどんなに落としても、ママは全然クリアできなくて、毎回へとへとになっていた。

夜のゲーセンにも一緒に行った。
音ゲーはできないママだけど、コンビでやるシューティングゲームは楽しそうにやっていた。
お散歩ついでに早朝のゲーセンに行ってボーリングをやったこともある。
2人とも下手すぎて、底辺の争いだったけどすごく楽しかった。
人がまだまばらな街中では、普段は混んでいる人気のカフェがガラガラだった。
カフェに入って朝ごはんを食べた。

私は歌を歌うのが好きで、ママが居ない時に一人で歌の練習をしている。
ママにカラオケに行きたいと言ったら一緒に行ってくれて、私の歌をすごくほめてくれた。
時々絵も描く。
ちょっと上手く描けた絵をママに見せたら、喜んでリビングに飾っていた。

ママの仕事は相変わらず忙しそうで、残業が多くなった。
「凜花ちゃんの世話をしなくていいから、残業しやすくなって楽になったのよ。」
とママは言った。
ママは毎日規則正しく生活していて、私と散歩に行かない朝はジョギングをしている。
週末の朝は寝坊している。
今日は寝坊したい日かもしれないなと分かっていながら、私はママを朝早く起こす。

ママは何私に何も言わない。
私が何かを求めると、それはちゃんとやってくれる。
いっぱい話を聞いてくれるし、行きたい場所に一緒に行ってくれるし、私の趣味にも付き合ってくれる。
でも必要以上に私に構わない。
寝る時間とか、歯磨きとか、お風呂とか、そういうことも何も言わない。
ただ、私があまりに部屋を散らかすので、
「凜花ちゃん、食べ残しだけは部屋に置きっぱなしにしないでね。」
と言うくらいだ。

ママが時々私の顔をじっと見ている。
「何?」と聞くと決まって、
「凜花ちゃんが可愛いなあと思って。」
と嬉しそうに言う。
私はそっけなく
「知ってる。」
と返す。

ママは週末は時々友達とランチに行ったり、やり残した仕事をしに職場に行ったりしている。
ママがなんだか楽しそうにしていると、私はとても安心できる。
私の生活は何も変わっていないけど、怖いことを考えなくても良い感じがする。

学校の友達とは最近全く連絡を取っていなかった。
グループLINEからは抜けていないから、LINEはどんどん来るけど、全部スルーしていた。
久しぶりに幼馴染とLINEでやりとりをした。
幼馴染の家に久しぶりに遊びに行ってみようかな。


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