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不登校漫画原作を書く私の想い

最初に結論から述べておくと、この不登校漫画原作は、再登校や、子が自らの進路を見つけて歩き始める、という段階までに至らずに終わる。

なぜなら、うちの子がまだそこまで達していないからだ。

私と娘の本物のエピソードを小説風に書いているので、多少の創作やアレンジはあるけれど、私には今の私と娘の状況までしか書けないからだ。

なので、この話を読んでも、うちはこうやって不登校を乗り越えて、自立できました、という成功エピソードは出てこない。

不登校は、こうやって改善する。
私はこうやって不登校を乗り越えた。
というような成功談は無数にある。
私もたくさん読んだ。

しかしそれはあくまで他人のエピソードだ。
苦しかった不登校時代を乗り越えて、今はこんなに活躍しています。
という話は、私が最も苦しいと感じていた時には、読みたい話ではなかった。

親子間でどんなやり取りがあり、親はどんな風に悩み、子はどんな風に苦しみ、そして少しずつ親が子を受け入れ、関係が改善していく、その過程をもっともっとじっくり読みたいと思った。

多くの本で、嵐のように、地獄のように辛かった、という数行や、数ページで書かれているその過程こそ、私が最も知りたいことだった。
そこが詳細に書かれていて、その部分こそメインとなっているような本や漫画を、私は見つけることができなかった。

以前読んだ本に、絶望を味わっている時に、他人の成功談や明るい話は読めない。
むしろ自分よりもっと苦しみ、絶望的な状況になっている人の話(主には小説)こそ、自身の苦しみに寄り添い、自分を癒してくれた。
というような事が書かれていた。

本当にそうだと思う。
今まさに不登校のことで絶望感すら感じている親子は、人の成功談を読みたいとは思わないのではないか。
状況によっては、他人の成功談に勇気づけられるし、成功談だけ読みたいと思う人もたくさん居ると思うが、最も辛い時期には他人の輝かしい話は辛い。
この話は、あくまでこの人だから上手く行ったのだとしか思えないのではないか。
少なくとも、私はそうだった。

不登校の子の受け入れを、苦も無くできる人もたくさん居るだろうが、固定観念に囚われている私のような親は、そこに至るまでにかなりの時間と努力を要した。
長年刷り込まれた常識と、自分の過ごしてきた人生を一旦取り払う作業は困難を極めた。

今、私と娘は日々穏やかに過ごしている。
娘はまだ14歳で、学校に行かず、学校の勉強は一切やらない。
もちろん、フリースクールなどにも通っていない。
今は娘の不登校をほぼ完全に受け入れているけれど、私の不安と心配はゼロになることはない。

しかし、精神的に最もキツイ時期は乗り越えた。
とても遠回りをしたし、時間もかかったけれど。

この不登校漫画原作は、不登校の受け入れに至るまでを書く。
今とても辛い思いをしている人でも、その境地までの話なら、それほど辛く無く読めるのではないか。
自分も、不登校を受け入れる境地までなら行けるかもしれないと思ってくれる可能性はある。

私と娘の葛藤から、同じ思いをしているのは自分だけではないと共感が得られると嬉しい。
私のように、子の苦しみになかなか気づけないでいた親に、子は表面的に荒れているので極めてわかりにくいけれども、子の悩みは想像よりはるかに深い、という事が少しでも伝わればいい。

私は文章を書くことについては、完全なる素人だ。
なので、この原作自体がそれほど価値があるとは全く思えない。
このnoteは完全公開しているけれども、積極的に広めたいと思ってはいない。

かなり個人的な、しかも辛かった記憶を手繰り寄せながら書いている。
今なら書ける。
その渦中では書けなかった。
今書いているようなエピソードは、もっと時間がたってしまったら書けなくなるかもしれない。
私の中に不安が残っており、未来が不確定だからこそ書けるのだと思う。

辛い記憶を呼び覚まし言語化する作業自体は、私の心の整理にもなっているから、これは私自身のためにも書いている。
後に語られた娘の言葉から、そして、Twitterで書かれている元不登校、現不登校の方々の声から学んで娘パートを書くことも、娘への理解に繋がっている。

私にとって、この不登校漫画原作を書く事は、新たなチャレンジでもある。
子に何かを要求する前に、私自身が今までやってこなかったことに飛び込んでみても良いのでは無いかと思ったのだ。

私と娘のエピソードが、プロの漫画家さんの手で、人に読まれるのに値する作品となり、不登校に悩む親子に届くと嬉しい。

文章は読まなくても、漫画なら読むという人は居る。
特に、無料で公開されている漫画なら読む。
という人は多いと思う。
一番困っている人は、漫画もわざわざ買って読まないと思う。
私は、この不登校漫画原作が、そういう人達の一瞬の安らぎとなる漫画になれば本望だ。

この原作を好きなようにアレンジした上で漫画にしてもらい、描いてくれるプロの漫画家さんには正当な報酬を支払い、かつ、無料で公開できる方法を模索している。

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★お知らせ★
2023年4月9日(日)より、月に1回、西日本新聞の教育面で不登校親子の漫画の連載をスタートすることになりました。
(1年間予定)

作:あおい、画:おがたちえ
です。

誌面は小さいので、ダイジェスト版のような内容です。私のnoteに書いている、凛花の話と差別化して、新聞では別の親子の話になります。

新聞誌面での連載とまた別に、noteに原作を公開している凛花と実香子の話はインターネットで無料公開漫画となるように準備を進めています。

ネットでの無料公開漫画については、クラウドファンディングをやってみようかなとも考えています。

おがたちえさんは、プロの漫画家さんです。
HSP関連など、多数の書籍を出版されています。

私の思いを汲んでくれ、その繊細な感性で素晴らしい漫画にして下さることになりました。
                       (2023年3月7日追記)

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