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【不登校漫画原作】PhaseB #試行錯誤

SIDE: 実香子

凛花が学校に行かない事、勉強を一切しない事で、私はなぜこんなに不安と苛立ちを感じるのだろう。

不登校に関する本をたくさん読んだ。
インターネットで、不登校に関することが書いてあるサイトを読んだ。
担任の先生に相談した。
スクールカウンセラーさんと面談をした。
不登校の親の会に行き、話を聞いた。
自分自身のカウンセリングを受けた。
心療内科に凛花を受診させようとして結局凛花は行かず、自分だけ受診した。

子供が学校に行きたくないと言い出したら、それは子供が、様々なことを試行錯誤した末の最後のSOSだ。
不登校の理由は多くの場合明確でない。
子に理由を聞けば聞くほど、無理矢理理由を作ろうとしてくる。

子供は悩み、不安を感じ、苦しんでいる。
ただのサボりで学校に行かない子は居ない。
なぜなら学校に行った方が圧倒的に楽だからだ。
将来の事なんて、本人が一番不安に思っている。
今勉強をしない、学校に行かないことのデメリットを中学生の子供が全くわかっていないことは決して無い。

学校に無理に行かせてはいけない。
休みたいと言い出したら休ませなさい。
勉強は後からでも必ずなんとかなる。
家を居心地良くしてあげて。
ありのままの子を受け入れ、子の良いところを見つけ褒めるようにして。

書いてある事、言われることはそれ程大差は無い。
結論は明白だ。
私は凛花が学校に行かないことを、ただ受け入れれば良いのだ。
そして凛花が自らの力で動き出そうとするまで見守るしかないのだ。いろんな人や本やネット情報は、多分正しいアドバイスなのだ。

それはわかる。
頭で理解しているのに、私はどうしてこうも、学校と勉強にこだわってしまうのか。
明日は学校に行く、来週は行くと言いながら行けない凛花に、心の底から学校に行かなくて良いよと伝えられないのか。

SIDE: 凛花

朝までスマホを見て、YouTubeやゲームをして過ごす。
ママが起きてくる頃には寝る。
そして夕方起きる。

ママの帰宅は遅いから、自分で適当に冷蔵庫の中のものを食べたり、食べたいものがない時は自分で買いに行く。
お金はママがくれる。

ママは最近何も言わない。
たぶん我慢をしているのだと思う。
ママの顔を最近あまり見てない。
ママが私の事で悩んでいることは分かっている。
ママには申し訳ないって思ってるけど、私はこうやって時間を過ごすのが精一杯。

私は何で学校に行けないんだろう。
友達には会いたいと思う。
先生の事も、めちゃくちゃ嫌だというわけでもなかった。

もう少し休んだら、学校に行こうと思えるのかな。
明日は行こう、明日の朝は行こうと何度も思った。
徹夜でそのまま学校に行った事がある。

徹夜して、めちゃくちゃ眠くて、本当に学校行きたくなかったけど、遅刻して無理矢理行った。

行ったけど眠くて、最初から何も聞けなかった。
気分が悪いなら、保健室に行く?
と言われて保健室に行った。
保健室のベッドに横になったら、すぐに眠ってしまった。
お昼に保健室の先生に起こされて、給食を少しでも食べたら?と言われた。

私は眠かったし、気分が悪かったから、給食を心底食べたくなかった。
でも、保健室の先生はとても優しく熱心にすすめて来るから無理矢理食べた。
もっと気持ち悪くなった。

ママが迎えに来て家に帰った。
やっぱり徹夜で学校は無理だった。
もうやりたく無い。

でも夜はどうしても眠れなくて、朝になると眠くなる。
こんなんじゃ絶対ダメなのに。
勉強自体が嫌で仕方ないという訳では無かったはずなのに、勉強をしようという気力も湧かない。

なんとかしたいと思っているのは本当。
でもママにはきっとわからない。

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