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あおいの自由帳
2021年7月7日 15:20
窓際に立っていたM教授に、完全オリジナルで作ったイヤホンを見せたところ、彼はいかにもつまらなそうに鼻をほじった。「オリジナル、とかいう前置き、いらんで」今度はケツを掻きながら、大きな欠伸をひとつした。「イヤホンでもメガホンでも、それを100に分解できるとして、そのなかの1/100でも、オリジナルってものは存在せんでな」そう言ってこちらを振り向いたM教授の顔は、窓からの逆光で真っ暗だ
2021年7月2日 17:59
とん、チンとカン。魚の群れが、二手に別れ、またその先で合流した。とん、チンとカンカン。着地した流木に、運よくカメが乗っかってて、適当に挨拶をした。「誰も知らねえんだよな」呟いたことばは、幸い無視され、ことばが Blowin' In the Wind。とんとん、チンカン、トン!あらゆる角に端に隙に、無名のキズが、模様をなす。そこまでして見たかった景色は夢は、聴きたかっ
2021年7月3日 12:00
ボックスティッシュは一枚出すと、次の一枚が顔を出す仕組みになっている。ティッシュの口から一枚分の面積の半分ほどが、へなりと出ている、常に。ヘンデルはそれが許せなかった。「くそっ!なんでやねん!」ティッシュをひっぱり出すたびに、次のティッシュを丁寧に箱の中に戻した。そしてヘンデルは考えた。思いついた。作り出した。生み出した!ボックスティッシュのさきっぽが出てこないように制御す
2021年7月2日 09:35
アブラカタブラの隅っこには、宛てのない絵葉書がころがっていた。「ただでさえ忙しいというのに」吐き捨てるように言ったことばは、それほどエキゾチックでもなかった。アブラカタブラらしくない、と、彼はおもった。らしくなくても、自分のほんとうの気持ちを言えたのだから、それでいいじゃないか、とも思った。足を磨き、靴を投げ捨て、頬杖をついたあたりは、耐え難いほどの日陰だった。「耐え難くっ