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ありがちなホラーだと思いきや……映画「呪われの橋」感想

 ⚠️ネタバレに配慮していません。

 Netflixで鑑賞。理解が薄かったので2回目見た。2回目は1.5倍速で飛ばしながら必要な箇所を鑑賞。

 タイトルのビジュアルを見て日本映画かと思ったら、台湾の映画だった。2020年の映画らしい。序盤で漢字がたくさん出てきたので気がついた。個人的には、最近は日本のホラー映画より台湾のホラー映画の方が期待できる気がする。もちろん、日本に入ってくる台湾映画は厳選されたタイトルだろうから、面白い台湾映画とつまらない日本映画を比べている可能性はあるかもしれないね。

フォントがなんかいいね

 台湾版のタイトルは女鬼橋なのかな? 日本語にすると女霊橋。まんま、女の霊が出るっていう橋が舞台になった映画。女霊橋では日本語タイトルはインパクトもないしわかりにくいから、呪われの橋にしたんだろうね。呪われのっていうのがイマイチ語感がよくない気もするけど、まあそれはいいや。

あらすじ

キャンパス内にある橋で真夜中に出ると噂の女学生の霊。有名な怪談話の真偽を確かめるため、大学生の男女たちが心霊スポットで肝試しをはじめる

Netflix

 これがNetflixのあらすじ。Netflixのあらすじは簡易すぎるので、これとは別に書いてみよう。

 舞台は台湾の大学。東湖大学。国立大学らしい。うるう年の2月29日。学生のグループ男女6人が大学内にある幽霊が出ると噂の女霊橋で、何かのネタのために肝試しを撮影し配信始める。その際に1人が橋に隠して貼り付けてあったお札を見つけて取り除いてしまう。そして肝試しをした6人に女の霊が襲いかかる。

 Netflixの方が簡潔でわかりやすいけど、付け加えたかったのは、うるう年、男女6人グループ、橋に貼り付けてあったお札を取ってしまう。この3点。ここの部分はストーリー的にも意味のある追加だと思う。

感想

 で、感想なんだけど、途中までは「あーよくあるテンプレ的なやつねー」という感じで、あまりテンションが上がらなかった。テンポや恐怖演出や俳優の演技が良かったから、見続けることはできた。ここは明確に褒められる点なんだけどね。だけど、やっぱり物足りないというか、ありきたりで退屈というか、イマイチ自分の中ではノリきれなかった。もちろん怖いんだけど、それは間違いないけど、僕の豆腐メンタルをびんびんに刺激してくれるものがなかった。パンチが弱いというか、ガツンと一撃喰らわしてくれるやつがなかったんだよね。

よくあるやつとは

 よくあるやつというのは、ホラーでありがちな、何かよく分からない、幽霊、怪物、妖怪、宇宙人、悪魔、などに何らかの理由(だいたい自業自得)でつけ狙われて、仲間と分断され、じわじわと一人づつ殺されていく作品のこと。大体はある程度の限られた空間に閉じ込める。この作品の場合は大学内と一部の建物に閉じ込められているってことだね。


妙に違和感のある構成

 この作品、実は学生が肝試しして幽霊に追いかけられるだけの映画ではない。別の時間軸でも話が展開する。学生が幽霊に追いかけられる事件から4年後、女レポーター(画像の1番目立つ美人さん)が事件の謎を追いかけるというシーンが挿入される。

 これよくあるホラー作品の場合だったら明らかにおかしいんだよね。女レポーターのシーンが入るたびにテンポが悪くなるし、恐怖感も薄れてしまう。全てが終わった後にオチをつけるため、数年後のシーンが入るならわかるけど、幽霊に襲われるシーンと並行で展開されるのは意味がわからない。

 そして、重要なのは女レポーターのシーンで、幽霊に追いかけられる学生たち5人は死んでいるとネタバレされるんだよね。

 5人死んでるから事件化するのだろうし、女レポーターも調査するのだろうけど、個人的には「えー、そこネタバレしちゃうのー? じゃあこの学生たちは一人以外全員死ぬんだ」作品内で食らったネタバレのせいで緊張感が失せてしまった。今必死で逃げている可哀想な被害者が高確率で死ぬってわかっていたら、どうせ最終的に死ぬんでしょという冷めた目で見てしまう。

何かよくわからない女幽霊

何かよくわからない女幽霊

 見ている途中思ったのは、そもそもこの女幽霊なんだよ? 何でそんなに殺そうとしてんの? という点だ。ホラー映画では被害者が理不尽に殺される。殺されるのだから殺す側もいる。殺す側は何で殺すのかという理由を要求される。大層なものはなくていいと思うんだけど。殺人鬼だから殺すでもいいし、悪魔だから、サメだから殺すでもいいし。だけど、幽霊だから殺すはないんだよね。なぜなら、幽霊は元人間だから、何も理由もなく人を殺したりはしない。普通の人は理由なく殺さないということになっているからね。

 この映画の敵役は女幽霊。序盤で大学の湖に身投げした女とだけ言われている。その女が出てくる橋で肝試しをするというのがこの映画のストーリー。じゃあ、何で身投げした幽霊が人を襲うの? 肝試しをする学生を殺すほど理由があるの? という疑問は全く深掘りされることなく、解消されることなく話は進んでいく。

 女幽霊がどんな存在なのかが明かされるのは中盤のことで、学生の一人が突然、あれは身投げした女じゃなく5人の男にレイプされた挙句、湖に投げ捨てられ殺された女なんだということを言い出す。そして、学生たちがその事件に関係しているということもない。事件自体が30年も前の話だから、完全に無関係なんだよね。

 幽霊の情報初めに出しておけばよくね? 隠しておくようなことか? という疑問と、肝試しした学生を無差別に殺すのは納得いかないなあ、という感想がわいてくる。

 1番気になっているのは女幽霊女幽霊と呼んでいるが、彼女には名前がない。明確に個体を識別できる名前がない。貞子なり伽耶子なり名前つければいいのに名前がないから、女幽霊と呼ぶしかない。名前がないというのは割と致命的だと思うんだけど、考えなかったのだろうか。

そして明かされる全貌

 結局女幽霊は何なんだ問題と、4年後の女レポーターはどう関係してくるのか。映画の終盤事件の結末と共に明かされる。

 以下は僕の解釈。30年前殺された女は湖に沈められ、長い時間をかけて妖怪や悪魔みたいな存在になった。そして、誰によってだか分からないけどお札で封印されていた。それが肝試しによって封印が解かれてしまった。さあ大変だ。

 自由になった女幽霊のモチベーションはよく分からないけど、長い時間をかけて邪悪な存在になったから、とにかく気に入らない学生どもをぶち殺してやろうと思ったんだろう。長い間熟成されたんだね。悪い感情が。そして、肝試しをして封印を解いたバカ学生の6人中5人を殺したんだ。そして、最後に残った一人が殺さないでくれと懇願してきた。女幽霊は貞子とは違って話のわかる存在だった。言葉を喋ってコミニュケーションが取れる。言葉が通じるって素晴らしい。だけど、悪いやつと通じるとロクでもないってことはお忘れ無く。女幽霊は命を助ける代わりに代償を要求した。実に悪魔的だね。

 実は女幽霊が死んだのはうるう年の2月29日なんだ。だから彼女は4年に一度、自分の命日に5人殺さないといけないらしい。5人というのは、女幽霊を殺した5人に対応している。それぐらい殺さないと気が済まないのかな。不思議な乙女心だね。

 助かった一人、名前を覚えてないからAとするけど、Aは助かった代償として、女幽霊の手伝いをしなければならなくなった。次の命日に新しい犠牲者を連れてきて、殺すためのお膳立てをするんだね。

 生き残ったAは4年後の命日に被害者を集めて、また肝試しをやらせる。そういう手順がないと、女幽霊は殺すことができないらしい。実に不自由な幽霊だね。女幽霊が順調に殺していく。またしても最後に生き残ったBが命乞いをする。すると女幽霊は生き残るには代償が必要だ。今日は5人死ななければいけない。まだ4人しか死んでいないから、生き残るためにはAを殺しさなければいけない。そして、Aの代わりに被害者を集める役割を引き継ぐ必要がある。

 女幽霊はBにAを殺すようにいう。殺さなければ死ぬ。究極の選択を迫る。Aは抵抗しない。生き残るために女幽霊に取り憑かれ誰かの命を生贄に捧げるのは死ぬより苦痛らしい。だから死んだ方がマシなのだ。だから、Bに役割を変わって欲しがっている。

 BはAを殺し生き残った。そして4年後、次のうるう年。女リポーターは真実まで辿り着くが、カメラマンをしていたBに襲われ捕まってしまう。女リポーターは、生贄ではなくBの役割を引き継ぐための代役として選ばれたのだ。

 というところで話が終わる。


ダメだ全然うまく説明できている気がしない

 色々端折ってるからか、そんなに集中して見ていなかったのがダメなのか。圧倒的敗北感。

おわりに

 悪くはなかったと思うんだ。ただの殺人幽霊に殺されるスリルを楽しむホラーかと思ったら、それ以上の展開があって、最後の方はちょっとテンション上がった。怖がらせる演出もいいし、日本のホラーみたいに下手くそなアイドル使ってすげー冷めるような演技とかもなかった。でも、女幽霊の個が薄すぎる。せめて名前つけて! こういう系の敵はもっとキャラを掘ってくれないと、ラストの展開になるまで何か粘着して殺しにくる幽霊でしかないんだよね。見終わった今ですら、結局、あの女幽霊なんなの感はある。何であそこまで熟成された悪意の塊になったんだろうね。そりゃ、レイプられて湖に沈められたら恨むよ。恨むけど、そんな無差別な恨みかなあ。完全に悪魔化してるよね。

 まあ、楽しかったよ。それは間違いない😁

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