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圧倒的強者に蹂躙される快感 | 映画「ゴジラ-1.0」感想

 ⚠️ ふんわりネタバレ気味です

 僕は間違いなくゴジラにわか勢。見たゴジラなんて、「初代ゴジラ」、「シン・ゴジラ」、「ゴジラvsビオランテ」だけだからね。ビオランテは子供の頃に見ただけで、名前と植物だったことぐらいしか覚えてない。とてもじゃないけど、ゴジラについて偉そうなことなんて言えない。でも語りたい。そんな感想文です。

あらすじ

タイトルの「−1.0」の読みは「マイナスワン」。舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。

https://eiga.com/movie/98309/

 あらすじ的なものが公式にもなかったので、映画.comから解説を引用。ほとんど情報がない。あらすじ程度のネタバレすらしたくなかったのかな。最近そういうの多いね。

感想

 本当に面白かった! めちゃくちゃ良かった。間違いなく傑作だと思う。圧倒的な強者である破壊神ゴジラと、ゴジラに酷い目に遭わされ続けひたすら不憫な復讐者敷島(神木隆之介)。この2つのキャラクターが、ゴジラ対日本人と、ゴジラにめちゃくちゃにされる男という二つのストーリーを回していくんだけど、やっぱりゴジラの存在感が凄すぎて、なんかもう他の些細なことなんてどうでも良くなっちゃうんだよね。それぐらいゴジラの映画なんだ。ゴジラだから当然なんだけど。だから、Twitter(現X)でちらっと見かけた、「これはゴジラじゃない」って言ってる人がいるのはよくわからない。何かマニアには許せない何かがあるんだろうか?

パワーアップ前のゴジラ

 いきなりネタバレだけど、ゴジラとの初遭遇は戦時中で太平洋の島なんだよね。この時、出てくるゴジラが比較的小さいサイズで、数メートルぐらいのサイズ感なんだ。せいぜい二階建ての建物を超えるぐらい。だから割と可愛い。今回のゴジラ、これぐらいのサイズ感なら戦後の日本でも割と戦えるんじゃないかと、一瞬思ったんだけど、ゴジラが暴れ始めたらビビった。思ってる以上に凶暴。噛みつき攻撃多用するところは野生生物感もある。銃火器なんて当然効かない。人間じゃ到底敵わない。あっという間に島の防衛隊が蹂躙されてしまった。

生物としての格が違う

 人間なんて所詮、道具を持っただけの弱者だって思い知らされるよね。ゴジラが圧倒的な強者。虫けらと人間の戦いに近い。戦えば虐殺されるだけ。そういう力関係を序盤から見せつけられるいいシーンだと思った。

パワーアップしてしまうゴジラ

 初回遭遇のゴジラは数メートルサイズなので、強い生物だけど、近代兵器の火力なら倒せる。そう思えるレベルのサイズだった。

 だけど、ゴジラと核実験は切っても切り離せない。アメリカのビキニ環礁の核実験でなんかすごいことになって、ゴジラはパワーアップしてしまう。核のパワーなんだろうね。わかんないけど。サイズ感が全然変わってくる。重巡高雄(艦これ知識しかない)が全長200メートル幅20メートルあるらしいんだけど、そんな船と殴り合えるぐらいのサイズになるんだ。最低でも数十メートル以上の大きさになっているはず。歴代のゴジラも大きくて100メートルぐらいらしいので、そんな感じのサイズ感なんだと思う。

 数メートルでさえヤバいのに、それな10倍以上のサイズアップして、さらにゴジラを象徴する攻撃、熱線を吐くようになる。とんでもねえ威力で大爆発を起こす。街中で使えばあらゆるものが消し飛ぶような威力。使われたらおしまい。やべえとしか表現できねえ。やべえ。語彙が消える。

海の戦い

 今作は海がメインステージになる。ゴジラというと、陸でドンパチやったりするイメージが強いけど、それは街を壊した方が絵になるからなんだと思う。人が逃げ惑うのもいいしね。

 海で戦ったからといって、迫力がなくなってるわけでもない。海の表現がすごいと思う。リアル感のある機雷の爆発とか、水飛沫や波の表現、海面から見えるゴジラのバリエーション、そこからわかる巨大さとか、泳ぐゴジラとか、大きい船とゴジラとの対比とか、海特有の表現がいいから海での戦いも映えるんだろうね。もちろん、銀座のシーンの大破壊は分かりやすい見せ場でもあるんだけど。

重巡高雄vsゴジラ

 ゴジラと主人公たちの小舟が命懸けの追いかけっこしているところに救援として現れるのが、重巡高雄。小舟とは比較にならないレベルの巨大な船。そして、めちゃくちゃ強そうな馬鹿でかい大砲がいくつもある。紛れもない軍隊の船。これでゴジラに砲撃を加える。すごい威力だ。ゴジラに効いてる。これで勝てるか。そう思ったら、ゴジラが高雄に体当たり、齧り付き、ぶん殴り、圧倒的なフィジカルで大破させてしまう。これで高雄の負けか。ゴジラヤバすぎる。と思っていたら、ゴジラが海中からビーム(熱線)を発射、高雄を貫き大爆発!

 死体蹴りにも躊躇がないゴジラさん。フィジカルで負けただけなら、「やべえゴジラ強すぎ!」で終わるんだけど、ここまでやられると言葉を失う。もはや力の差とか語れるレベルではなく、大人が全力で幼児を捻り潰すような絶対的な差を見せつけられる。これが絶望の味か。

銀座の虐殺

 ゴジラが日本上陸して向かった先は戦争でも無事だったらしい高い建物が立ち並ぶ銀座。まさに戦後直後にゴジラが壊すべき場所なんだろう。

 ゴジラが現れて逃げ惑うだけの人々。ゴジラが歩くだけで人が踏み潰される。アリを踏む人間の如くゴジラはまるで気にしない。生身の人間などその程度の存在。ゴジラが手や足や尻尾を動かせば建物が崩壊していく。道路が浮き上がりめちゃくちゃになる。口で噛み付いて電車を放り投げる。どんどん人が死ぬ。死んでいるところは出てこないけど死んでいるのはわかる。

 そして、戦車で反撃してきた人間にキレて、ゴジラの必殺技、溜めからの熱線発射! 街中で初めて撃った熱線の威力はとんでもなくて、すげー爆弾を爆発させたような感じで、爆風で全てが吹き飛んでいく。誰も止めることができない。ひたすら壊され逃げるのも間に合わない。蹂躙されるだけ。これが完全なる絶望。

 手も足も出ない。出したところで押し潰される。どうしようもない。どうするんだよこいつ、無理じゃん、降伏するしかないじゃん、でもそんな知性ないじゃん、じゃあもう終わりじゃん、破滅じゃんっていう、手詰まり感、もう終わり感、どうすんだよこいつ感、この絶望を味わえたんだから、それだけでお釣りが来る感じ。この絶望がたまらない。快感を与えてくれる絶望。これがゴジラなんだ。やべえ。

ひたすら虐められる神木隆之介

 なんかゴジラのことばっかり書いてたら、もう一つの軸である神木隆之介、敷島のことはどうでも良くなってきちゃった。

 シン・ゴジラと違ってちゃんとドラマの部分も描かれていたんだ。特攻に失敗して、ゴジラに蹂躙され尽くした敷島の物語も、最終決戦でちゃんと決着ついている。まあ、とにかく神木隆之介が酷い目に遭わされ続けて可哀想になるストーリーなんだよね。でも、やっぱりゴジラの映画だから、まあ、細かいところは語らなくていいか。

最後の決戦

 映画を終わらせるにはゴジラを倒さなければならない。この圧倒的なゴジラをどうやって倒すのか。映画を見る前からそれを考えていた。戦後直後にどうやってゴジラなんて倒すのか。何にも物資もない。本当に倒せるのか? 

 今作は海がメインステージなので、倒す方法も海を使うことになる。映画内で説明された時、僕は主人公と同じく、「本当にその方法でゴジラが倒せるのかあ?」という気持ちでいっぱいだったんだけど、科学的にどうとかいうなら、ゴジラの存在がって話になるだろうし、そこをどうこう言っても仕方ないかとも思った。倒せる方法として定義されたんだから倒せる。そういうものだ。それでいいんじゃないだろうか。

 初代ゴジラだってオキシジェンデストロイヤーってなんか訳わからんやつで倒したし、まあまあ、一般人でも理解できる方法になった分、良心的ではないかとも思った。

 最終決戦は完全に人間が反撃するターンなので、ゴジラの強さの絶望感っていうのはなかった。ゴジラはまんまと人間の作戦にハマってすごい生命力を見せつけるも主人公の最後の一手で倒されてしまった。

 倒せて良かったと思った。いくらゴジラが相手といえど、流石に負けてバッドエンドはダメだからね。

おわりに

 面白いから見よう! 損しないよ! 全く書かなかったけど敷島の物語で、最後にゴジ泣きさせられちゃったしね。

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