アメリカ地獄めぐり | 映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」感想
数ヶ月前にTwitterで予告映像を見てピンときた。これは面白いから絶対に見ようと思っていた。戦争もの好きだしね。アメリカが内戦になってドンパチするって設定も、少なくともボクは見たことがなくて興味をひいた。まあ、一言でいうと金かかってる戦争映画は大好物ってこと。
あらすじ
作品内ではそこまで詳しく説明はされない。アメリカでやべー大統領が誕生したので、色んな州が反旗を翻して内戦に発展した。という話らしい。まあ、細かい設定はあんまり意味はなさそうだ。内戦が起こって、ジャーナリストの主人公たちは大統領が殺される前にインタビューしに行くという話。
感想
IMAXで見たので音がヤバかった。トップガンマーヴェリックの音もヤバかったけど、あれとは種類が少し違う。この映画は銃声がすごかった。一発の銃声がものすごい音で、それが何発何十発何百発も打ち出される音は本当に暴力的で怖かった。砲撃とかの爆発物より、銃声の方が怖かった。一発打ち出されるだけの銃声の方が印象に残ることが多かった。銃は怖いね。たぶん、家であとから見ようと思っても体験できないタイプの映画と思う。
ゾンビ映画的
内戦してるってことは治安が崩壊してるってこと。アメリカのような自由に武装できる国で治安が崩壊すると、本当にやべえやつらが解き放たれるってことなんだろうね。人を殺しても罰せられることがないんだから、銃を持ってるやつが強い。ネジが外れてるやつが強い。先に殺せるやつが強い。この映画はゾンビは出てこないけれど、やべえやつがウヨウヨしているという点でゾンビ映画的だ。
ゾンビ映画でも、平常時には逮捕されそうなやばいやつらが嬉々として躍動する。サイコパスが権力を握って大きな勢力になったり、誰も見ていないのをいいことに殺人を犯しまくってたりする。治安が崩壊するとやばいやつらほど強い。
このやべえやつらにエンカウントするところは本当にホラー映画じみていたと思う。戦争映画なのに別の怖さがあった。日本に生きているとあまり感じないけれど、国家権力によって維持される治安というのは、やべえやつらが出現しないようにしているんだね。治安大事。
戦争取材
この映画はやべーやつらがウロついているアメリカを移動していくロードムービーとしての側面もあるけど、もちろん戦争映画的な部分もある。西部軍と政府軍が戦闘しているところもちゃんと取材している。そこは普通の戦争映画だよね。銃声がすごい戦争映画。ライフルの発射音がでかすぎる。音がすごいから銃弾が怖い。
面白いのは、主人公たちジャーナリストは、戦闘の取材をしている時は命の危険を恐れずイキイキと取材しているけど、やべえやつに出会った時は、命の失うのを恐れるただの個人になっているところだね。戦争取材という仕事中に死ぬのは怖くないが、わけのわからないやつに殺されるのは恐ろしいということだろうか。
戦争映画
この映画で大規模な戦闘は最後のホワイトハウスへの突入シーンまで訪れない。現実にはなかなか起きない大都市のビル街での戦闘。こういう場所の戦闘は映画やゲームの中でしか見れないからいいよね。主人公たちジャーナリストがドンパチリやってる真後ろで撮影してるから迫力がすごい。大金かけた戦争映画を見る醍醐味。このために追加料金払ってIMAXの大画面大音量で見てるんだよね。
何のために取材をしにいったのか
主人公たちジャーナリストは大統領のインタビューを取るために、仲間の犠牲を出しながら、それでも折れずに大統領の元まで向かう。最後の最後でも主役と思っていた人物が犠牲になり、大統領の前に辿り着く。すぐにでも兵士たちが殺そうとするのを止めて、一言だけインタビューをする。
「最後に言い残しすことは?」
「こいつらに殺さないように言ってくれ」
この言葉を最後に大統領は殺される。こんなクソみたいなコメントを引き出すために、何人もの犠牲を出して取材をしたわけだよね。大統領は最後までクソみたいな人間だったという記録にはなるものの、こんな言葉のために犠牲になったものの大きさがまるで釣り合っていない。しょうもない。
でもまあ、報道っていうのは取材し伝えることに意味があるのだろうから、無駄ではないんだけど、なんとも言えない徒労感はあるね。
おわりに
この映画が大統領選が行われる年に出てくるのがアメリカって感じで、それがアメリカの強さなんだろうなあとは思う。アメリカの分断は加速しているようだけど、あんなひどい内戦になることはないんじゃないかなあと楽観視している自分がいる。だって、アメリカがあんな泥沼になったら、日本にいる自分たちも笑えない状況になっているからね。考えたくないよね。
まあ、とにかく映画館でこそ銃声の怖さが体験できる映画だと思うから、見れるうちに映画館で見たほうがいいと思うよ。
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