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「砂の城」作成秘話

 この度は拙作の「砂の城」お読み下さりありがとうございました。
 ひたすら長いあとがきですので、本当に読了後の気になる点がある方のみおすすめ致します。

 元々、この作品は6年前にとある読者さんから「葵ちゃんの書く失楽園のような話を読みたい」とリクエストされ、うんうん無い頭を捻りました。
 そもそも、私は小説の相棒(辻村氏)と違い、明らかに読書量が足りません。彼の書くラノベちっくではない表現技法は大好きですが、ふとnoteの創作大賞の兼ね合いでとある方の記事を拝見して、読みやすさの大事さを痛感しました。

 誰も飯食ったり動いてる描写を見たくは無い。
 もっと簡潔でよくね?

 この感想は確かに日常における作品だとそう思う人も多いと思います。日常をメインにする作品はあまりにもワンシーンがくどいと読む気が失せます。
 実際読み手としての私がそうです。手術でドライアイが半端ないのではっきり言ってグダグダ長い作品や1話目でつまんねーなと思ったらそこでやめます。

 何が言いたいのかと言いますと、読者を惹きつけるには最初のスタートから3話目くらいが勝負だと思って書いてます。
 同じ展開が続くなら先を読まれて離れる、とある有名作品のように新しい仲間との出会い、回想、バトル、次のステップへ……だと単調。

 あの作品は昔好きでしたが今は見てもいません。はっきり言って先が読めすぎる展開は飽きる。だからこそ今回トライしたのは(え?この先どうなるの??)といい意味で期待を裏切りたかった。でも結局スキル不足でそれもできなかったなあ。

 今回勝負をかけた3話目までは展開足りなかったな、という反省点もありますが、初期作(失楽園のような話)とは120%変えて自分も6年で成長したなあ。と改めて思いました。
 勿論、誰も褒めるわけないので、自画自賛ですよ笑。多分、これを相棒に見せたらまた突っかかる文章散々ツッコミされるかなあ(怯)

 因みに、初期作はR指定でバリバリ性描写をギリギリまで打ち込み、ノーマルでどこまで受け入れられるか?にトライしました。
 なんと!結果、3回なろう様でアップしては即規約違反だと消されて、ついには葵の垢削除の危険があり投稿を完全にやめました。 
 (垢が消えると唯一バズった妹が可愛い過ぎて困っています(弘樹視点の成長小説)が消されてしまうから。)

 でも、どうしてもこれはムーンライトやノクターンではない。それほどの拘りを持って書いていたので、結果、オフラインという形で頭の中にずっと残してました。いつか、書ける土俵が見つかると思って。

 完全なる改稿

 最初は『高校生』の麻衣が主人公で、いきなり忍とやってるところを大嫌いな母さんに見つかり、それで忍が家から無一文のまま追い出される設定でした。
 多分、そっから2話目の描写がR指定なので消されたのだと思います。
 どうしても書きたい。法律では認められていないけど、この兄妹だけ不毛なバッドエンドで終わるのは切ない……そう思い今回年齢を成年に引き上げ、再度改稿した次第であります。

 表現方法の変更

 今回、三人称視点ではなく、久しぶりに一人称に戻しました。私はファンタジー脳なので、恋愛小説を書くのはすごく苦手です。
 現在もローファンタジーとバリバリハイファンタジー書いてますが、世の中転生が主流なので私のは一切ウケないんです。

 いやあ、一人称クソ難しい。
 何がって、表現がしつこくなるんですよ。
 何回『私は〜した。』という文章になったことか。
 これじゃ昔感じた小学生の作文かよ……と思う事が多々。いや、今の小学生はもっとすげえ文章書くな……と比喩にさえ突っ込む始末。

 日常シーンの簡略化

 性的描写を最低限にした事で、次にトライしたのは日常シーンを必要最低限に持ち込むことです。
 ただ、伝えたいワンシーン部分だけは事細かく書いてます。そうしないと、全部ライトな記載だと読みやすいが故に、何も記憶に残らない。
 文体として突っかかる文章はマイナスだけど、読み手に全然残らない文章もマイナスだと自分では考えております。

 ラストまで完走するに当たり、自分で執筆していて麻衣の気持ちになり泣きながら書いたシーンが2回あります。
 自分の感情が掻きむしられたところが誰か一人でも伝わればいいなあと夢見てましたが、noteという土俵も頑張って“馴れ合い“のファンを増やさない限り見てもらえない。
 きつい言い方ですが、カクヨムもなろうもそうです。結局、固定ファンが居なければ、いくらいい作品を書いても誰にも読まれないわけです。
 そうやって埋もれている作品は星の数ほどありますし、私も実際そう。かと言ってさらっと読まれてフォロワーだけ増やしたって意味がないじゃ無いか。だから私はきちんと読んでくれるフォロワーを大切にしたい。

 あと、私はたとえ誰にもウケなくても、息を吸うように読んだよ〜というマーク?のようにスキを押しまくる人は嫌いです。
 しかもそれであたかもお前の作品読んだから私の作品にもスキ押せよ的な威圧を持った人は尚更嫌いです。

 よく見て見ると自分の作品でも毎日スキを押してくれた人が違います。それが果たしてその話がその方に響いたのか、偶然通りすがりの人が呼吸をするようにただスキを押して去っただけなのか。

 ただ、自分の中で麻衣が忍の残した最後の思い出を捨てられず雪音と泣いているシーンが一番お気に召してもらえたようで、これを絶対に書きたかった私としては非常に嬉しいところです。
 マルボロを実家の兄貴が吸っているのでタバコの画像貰えないかな〜と思ってましたが、残念なことにうちの父が認知症と手術でそれどころではなく。

 どうしても画像を入れたかった。好きな人の最後の思い出を捨てられない麻衣の大事なシーン。   
 結果、素晴らしい画像をフリーで提供して下さった方からお借りしました!

 本当にnoteは作品の幅を広げる魅力がある。
 少なくとも、やはり小説において挿絵はイメージの為に必要と思っている。
 でも今までの作品を置く場所にそのようなものはなかった。pixivなど外部に頼らざるを得なかった。

 なのにnoteは違う。すぐに携帯の画像をアップして反映、それを知らない他人様と共有できる楽しみ。そして画像があるとイメージが膨らみます。

 今回文章だけであればざっと15日くらいで完結させられる予定でしたが、実は途中の展開が書いている間に6回変わりました。

 モブの霧雨荵は出ないつもりでしたが、麻衣を一度忍から離す為に急遽作りました。
 忍を刺した女は当初ミカの予定でしたが、砂の城伏線回収の為に子供を持った元キャバ嬢にしたくて変更。そして佳奈ちゃん。
 あと最初は麻衣が刺されて忍が駆けつける予定でしたが、忍にも彼女を作った事でここも変わりました。なので澤村舞も後から作ったキャラです。

 ラストに突然出てきた彩ちゃんと小野田慎吾は元々私が書いていた小説(最初の作品、詳しくは小説家になろうに置いてます)のモブというか、忍の同級生です。
 あとラストに雪音が赤裸々に麻衣ちゃんのツンデレ具合を語ってますが、これもなろうに置いてます。
 ただ、この麻衣ちゃんを見るとヒロインが嫌われてしまうかも……という不安が!!
 そしてもうひとつ、「雪」「雪音」と所々呼び名が違うのは打ち間違いではなく、雪音は自分のことを「雪」と呼ぶのでみんなからも雪ちゃん、と呼ばれているだけです。真剣なシーンだけ「雪音!」と呼びます。弘樹が笑

 とにかく忍を格好良く

 私は自分の生み出したキャラに対しての愛着が強いです。そりゃあ皆様クリエイターの方々そうだと思います。
 なので、全然思い入れが感じられないキャラをダラダラ出してくる作品はちょっと見直してみては?と言いたくなりますね。
 文字に魂が出るんですよ。全然思い入れのないキャラはすぐ死ぬし、出てきても面白く無い。

 とある方が、『自分の書いた作品は3日以内に見直して、1週間以内に第三者の気持ちで読め』と書いておりました。

 第三者の目線で自分の作品を見たときに、ああやっぱりここはつまんねえな、というシーンは何度も書き直しとなり、結局予定よりも大幅に時間がかかりました。毎日投稿出来てる人は本当にすごい。私は改稿だけで時間が……!!

 さらに今回はAI画像にもトライ。
 元々私は絵が好きで、かなり色々描く人間でしたが、利き腕の粉砕骨折から指先の震えが酷くなりペンタブを諦めました。

 偶然安くAI画像作成ソフトと出会い、これのおかげでAIの無限の可能性に触れ、楽しくキャラを作っていたら更に投稿が遅くなりました。

 勿論自作で絵や曲を作れる人はそれが一番ですし、できる人は羨ましい話です。私も本当なら自分の絵にしたい。
 でも震えは年々悪化。納得のいくものが書けず、後からCGを始めた人にどんどん追い越され、さらに『人を羨むくらいなら手が動かなくても口でだってやる人が居るんだから描けるだろう』と言われてやめました。
 多分、そこまでの思い入れは無かったかな。口で描くにしても、じゃあ手から口にペンを変えた所で一から練習してうまく描けますか?と問いたい。
 AIは私のように自力で納得のいくものが描けなくなった人には良いツールですが、子供の内は無限の可能性に満ち溢れているのでおすすめしません。

 最後に、どうしても二人のウェディングシーンを入れたくて何度も改稿を繰り返しました。
 元々のラストは麻衣がまだキャバ嬢を続けており、死にかけた忍が退院した後に夜の新宿で再会するシーンでした。だから最初の挿絵が夜に手を繋ぎあってるわけです。結局使わなかったな……


 何故これがイラストなのかと言いますと……残念な事にAIが作った忍がイメージと違ったんです(血涙)なんだこのムースで髪の毛固めたオッサンは!!となり、麻衣ももう少し違うんだよな……とこれも毎日1時間ずつプロコトル変更しまくりましたが、結局納得いくものが出来ず採用しました。まだ間に合うのでちょいちょい挿絵が変わるかもしれません☺️

 投稿文字数の制限

 今回は創作大賞に初トライしたわけですが、文字数の制限があるのでこの改稿は私にできる最大限の努力です。

 私が脳内に蓄えていた6年分の兄妹の思い、古くから麻衣を見てくれている方が万が一いらっしゃったら、彼女がどうして忍でないとダメなのか? というのもわかってくださると思います。

 砂の城の回収

 砂は本当に固まるのか?
 答えはイエスです。水分含有量の問題と、なんか色々難しい話になりますが、結論としては固まります。
 麻衣は昔から外堀を固めるタイプ。雪がラストに言っていたこのあたりが砂の城伏線回収にも繋がります。
 本当は砂の家でもよかったんですけど、響きが……微妙!! だから非現実的ですが城にしました。

 あと城という言葉にもきちんと意味があり、田畑兄妹はとても貧乏な暮らしをしており、麻衣は自分の学費を稼ぐ両親に負い目を感じていた。
 対する仲良しの雨宮家は両親共にごく普通の生活。お姫様に憧れていたんです。

   これが今作一番のお気に入り画像です。
 拘りは夜勤明けの忍。ラフなTシャツに少しだけ無精髭。ほんの少しだけこけた頬。ここまで再現してくれたAIに感謝!!
 一方の麻衣はしょうがないな、と言いつつ嬉しそうに微笑む。ここをAIで出すのに約3時間粘りましたwww
 でもね、私の手ではここまでの作品は作れないので、本当に本当にAIさんの無限の可能性には感謝しかない!!

 元々あった忍と麻衣ちゃんのイメージ画像の背景をガンガンいじったやつです。これも変な手が出現したり。忍が小さい肩幅になったり納得いくまで2時間かかってます(吐血)


 この作品においての一番大事なキスシーンの拘り。マルボロの味がしていた忍の舌から、マルボロをやめて甘くなっていく過程。
 このシーンはまだ見直しのレベル。麻衣の手が気に入らない…しかしこれも半日シコシコ作りながらやっとマシなレベル…と妥協しております。何度入力しても二人の出力をするとどちらかが変になって納得できなくなります😭

 あと難しいのが麻衣は金髪なんだけど忍は黒髪という入力。これ、何度やってもどちらかが笑える失敗作になるんで結局肌チラ見せレベルで妥協しております。

 ダラダラと思いの丈を書き殴っておりますが、無事にずっと書きたかったものをこの場を借りて残せたことに感謝しております。
 次回はこの作品のスタートラインである麻衣がツンデレになったルーツの作品をかけたらなと思ってます☺️

 それでは、長文にお付き合い下さり本当にありがとうございました!!

※勢いで書いていたので誤字脱字と追加直しました。ごめんなさい😭🙇‍♀️🙏(修正、2024.6.29)

         2024.6.28   蒼龍 葵

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