官能ショートショート「セカンド・バージン」

よくある話だ。
中年に差し掛かった時の同級会。
昔の彼女と再会。
二次会で飲んで、酔って、いい雰囲気になって、そのままホテルへ。
人生も半ばを過ぎて、酸いも甘いもある程度噛み分けることが出来るようになった自負に、少しの冒険心が混ざると、こんな一線は簡単に越えられる。
部屋に入ってから奈緒は無言だった。
二十数年振りのお互いの身体。
何を話していいかわからなかった。
身体の変化を話せば、野暮になる。
昔話をすれば、こそばゆい。
だから、お互いわざと貪るように、男女の快楽の追求に専念しようとした。
見つめ合いながら奈緒に挿入を始めた。
あの時はお互いが「初めて」の相手だった。
奈緒はあの時と同じ眼差しをしていた。
その顔が、俺のを奥に受け入るごとに、きつく歪む。
「痛いか?」
部屋に入って俺が初めて発した言葉だった。
「うん……少し……こんなこと、久し振りだから……これが本当のセカンド・バージンね……」
俺は結婚もし、子どももいたが、奈緒は独身だと言った。
奈緒の中に俺のがすべて入る。
眉間に深くしわが刻まれ、俺の腕に彼女の指が食い込む。
顔を起こすと俺との結合部を見てから、俺を見た。
恨むような目。
二十数年を経て同じ女とする。
俺は抽送を始めた。
彼女の中を動くたびに、硬く震えていた彼女の中が、俺の存在を確かめるように静かに包み込み始めた。
眉が徐々に緩む。
口からは女の声が漏れ出る。
その口を口で塞いでやる。
奈緒が喘ぎながら必死に舌を絡ませてきた。
いい女になった、と思った。
奈緒も経験を積んでるはずだ。
どんな奴だろう?
奈緒が選んだ男たちは。
若干の嫉妬がよぎる。
それを振り払うようにまた深く、早く奈緒を揺さぶる。
奈緒が俺の名を呼び、しがみつく。
「好きよ! 好きっ!」
その言葉に不意に射精感が込み上げてきた。
俺も久しぶりなのだ。
「奈緒っ!」
「来て! あの時みたいに中に来てっ!」
「いいのか? 奈緒?」
「うん、大丈夫だから、来て!」
若干の躊躇のあとに、彼女の中に直に放った。
昔も、彼女が「大丈夫」と言ったときに、俺は彼女の中に出した。
射精の快感に見え隠れして、そんな記憶が蘇る。
そしてそのあとの言った言葉も……。
結婚しよう……奈緒……。
荒い息が収まると、奈緒が俺の頬を両手で押さえキスしてきた。
「嘘つき……私は約束を守って、誰とも付き合わないで、ずっと待ってたのに……」

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