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随想録

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随想の記録。著者は高波碧/日比野京。
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2023年5月の記事一覧

水の感触とピアノの響き。

水の感触とピアノの響き。

音階もコードも知らないと言っていたのに、なぜか京はピアノが上手だった。京は自分の指の赴くままにピアノに触れ、音調の中でしずかに微笑んみながらピアノの響きに満たされていた。そんな京の表情を見て、ああうらやましい、と僕はよく思った。ある日、京がピアノで何を弾いているのかを知りたくて「何をイメージしているの?」と訊いてみたことがある。すると京は、「私がいつもピアノで弾いているのは水の感触」と答えた。

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