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私から君へ 1

友よ、お元気か。
私は今、下北沢のマクドナルドでこの手紙を書いている。追伸:私はマクドのポテトはしなしな派である。

長い付き合いになるが、手紙なんて互いに書いたこともないので驚いただろう。ことの発端は君だ。君に勧められた書簡体小説を読んだ。もう3年恋人がいない私だが、次の恋人とは文通で結ばれてみせると本気で誓った一冊であった。馬鹿らしいだろうか。だが、バカとロマンチストは紙一重である。

何でもかんでも便利に、効率的にしてしまうこの令和6年に、手紙なんぞという無駄と待ちが多い手段でコミュニケーションをとるとはなんと贅沢なことだろうか。そんな素敵な感性を持ち合わせている私から、文通相手に選ばれたことを誇りに思うと良い。追伸の正しい使い方はこれから学ばせていただく。

それにしてもハンバーガーとは、パンに野菜に肉と、内容物は特段不健康ではないのに、何故ジャンクフードなどと言われてしまうのか。不思議だ。
あと、以前作家の朝井リョウのラジオを聴いていると、マクドナルドのエピソードが出てきた。彼本人ではなく、彼の友人か誰かが「パンには牛乳。バンズはパン。よってマクドナルドでは牛乳」という三段論法を唱えてマクドナルドでいつも牛乳を注文するらしく、彼は異論を唱えていた。人生には理屈が通っていても人に納得されないものが大変多いな。
君の恋人も、君と長い付き合いになる私の理解から言わせれば大変理に適っていない。いつも君は怒られているし、喧嘩ばかりしているな。でも良い良い。恋なんて理屈では成り立たんものの代表例である。好きなだけすると良い。何かまたトラブルでも惚気でもあったなら聞かせたまえ。

そういえば、元旦の初詣は驚いた。例年通り午前2時ごろに下鴨神社へ足を運ぶと君に会った。いくら同郷でお互い実家から最寄りの神社とはいえ、2年連続で偶然会うとは。美麗の神玉依姫命よ、なんのイタズラでしょうか。それで言うと、2年連続元旦から美麗な私の顔を拝めて君の幸先はさぞ良いことだろう。あの日引いた私のみくじは末吉だった。そして交際の欄には「あなたは気づいていないが、すぐ近くにいる人があなたに関心を持っている」と書いてあった。心当たりないか?私に関心を持っている相手。君のみくじはどうだった。

話は変わるが、君はヒートテックは着るか。私は幼少期から当たり前のように冬場はヒートテックを着ていた。親譲りだ。だがこの前ふと思ったのだ。「我々は騙されているのではないか」問答無用でインナーにヒートテックを着ておけばいいと思って毎年買っていたが、これ本当にただのタイトなTシャツを着るより暖かいのか?大手企業の販売戦略にまんまとしてやられているのではないか?資本主義は怖いぞ。そう思って少し調べたのだが、ヒートテックは吸湿発熱素材というものを使用しているらしい。身体から蒸発した水分を熱に変換してれるのだ。アホである。汗をかいたら暖かくなる。やめろ。汗をかいてない時に暖めろ。そして汗をかいているときは暖かくしてくれるな。
どうだ、一緒に私が今求めている世紀の大発明インナーを開発して、某クロを倒して2人で大富豪となるか。モデルは全て美麗なこの私が努めてやる。考えておけ。

そろそろ待ち合わせている人が来るので、ヒートテックに肌を包まれてマクドナルドを出る。お返事楽しみにしている。では。

未来の大手アパレル社長より。

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