1/6 初恋を引き摺るタイプ/野良猫がかわいい

しばらく会っていなかった生徒が私の指輪を見つけ「結婚したんですか!」と驚いた。初恋を引きずるタイプだと思っていたがうまくやるものだ、というようなことをもう少し丁寧な口調で言っており、笑って済ませたが、私が初恋を引きずるタイプだという当該生徒の鑑識眼の素晴らしさはさておき、私が失いつつあるものは初恋を引きずるというような心性だなと思ったりした。恋を引きずらなければ曲は書けない。

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野良猫が近寄ってくる私と距離を取りながら「なんだこいつ」とでもいうような視線をこちらに向けるのが大変愛おしい。思えばこの街は野良猫が多い。

最近読んでいる小説『パタゴニア』には、子供たちが仔羊をいじめているというくだりがあって心を痛めた。私も世間に数多く存在する動物のいじめられる描写に堪えられない部類の人間なのだが、しかしなぜ人は、動物を愛したりいじめたりするのだろう。高等な哺乳類にもそのようなことがあると聞くが、東浩紀『ゲンロン0』には我が子のような動物を愛するのではなく動物を愛するように我が子を愛するのだというようなことも書いてあったように思うが、自分とは違う種の生物を愛したりいじめたりするというのは、良くも悪くもありえる知性というものの根源に関わる事柄という直観がある(人が己ではないものを愛したりいじめたりするということと、どちらが根源的だろう)。

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