5/21 歌集が読めない

岡崎裕美子『歌集 発芽/わたくしが樹木であれば』を読んでいる。この文庫が出るまで単行本が手に入れにくい状態で、雑誌や短歌の本などに載った幾首かを読んで「これはすごい!」と思っていた時期もあったのだが、こうして歌集で続けて読んでいると、何というか、映画のワンシーンとかの方がよほど詩だなぁという気持ちになってしまった(ここで映画が思い浮かぶのは、世に評判の「したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ」を読むと、あたかもいつか見た映画の強烈なカットが思い出されるかのように、歌の喚起するイメージが鮮明な映像となって脳裏によぎるからである)。

しかし、岡崎裕美子が悪いというわけではなく、そもそも私に、歌集というものを読む力が欠けているような気がする。詩集は読める。句集は、やはり読めないから、形式の、あるいはもっとシンプルに、長さの問題なのだろう。楽しみ方がわからないというか……抜き出された歌については、「すごい!」と思うこともあるのだが、並んでいると、何というか、傑作を探してしまって、歌々が背景になってしまうような……。歌集というものは、どう読むものなのだろうなぁ。もしかしたら、一首一首に、もっと時間をかけるものなのかなぁ。

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