7. 幻の月
世界が左右反転している夢を見た。
最初は現実だと思って過ごしていたけど、夢だと気付いた瞬間、早く目覚めなきゃと思った。
夢だからそのままでもいいのに
ここにいてはいけないと思った。
扉をあけ、夢から覚めたら今度は
夜空に薄い雲がかかって、いくつかの月がぼーっと光ってる世界にいた。
月がなぜか複数あったけど、夢だとは思ってなかった。現実だと思ってた。
5、6個の月のうち、本物がどれかはすぐわかった。
私は本物の月を背に、幻の月をずっと見ていた。
夢の中では現実だと思ってて、それが夢であるとは気づかなかったりする。
もしかしたら生まれてから今まで、
途方もなく長い夢を見ていて、
気づかないだけかもしれない。
今までも、これからも、長い夢のような世界の中で、
何度でも目を覚ますのだと思う。
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