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展覧会『瞬く光の庭』に魅せられて

先日、東京都庭園美術館で開催している蜷川実花さんの展覧会『瞬く光の庭』を観に行きました。"写真をみる"という重くはない気持ちで足を運び、結果想像を超える大きな衝撃を受けました。
今回光彩色と呼ぶ蜷川実花さんの花の作品は、あまりに美しく、いまのわたしには強すぎたけれど、それはそれは脳と心が喜ぶ時間だった…ので、これはnoteに書き残していきたいと思います。むむむ。

本展覧会について

入口のポスター (もっと綺麗に撮ればよかった..!)
撮影OKの展示作品(私が撮るとこういう色になる…/スマホ撮影)

今回の展覧会では、2021年以降に蜷川実花さんが撮影された最新の作品が展示されています。個別のキャプションはなく、複雑な情報もなしに作品をみることができます。アール・デコ様式の建築である美術館の内装と外から聞こえる虫の鳴き声がまた良くって、場所そのものが額縁のようで作品と融合していて…素晴らしいです。先に進むにつれて、(当たり前ながら)作品はただ吊るされているのではなく、考えに考えられて設置されていることに胸が苦しくなってきます。ちょうど展示を観に行った日は雨が降っていて、窓についた水滴とカーテンの弛み、そして花の彩りとのコラボレーションを目の前にして、あまりの尊さに私はその場に倒れ込む寸前でした。ずっと胸に手を当ててました。うむ。

脳と心が喜んだ理由

なにが心を撃ち抜いたかというと、いくつか理由があります。(個人の感想なので色々ご容赦くださいまし…!)

決して自分には視えない色であることと、技術があってもこうは撮れない視点に猛烈にグッときました。自分でも撮ることがあるからこそ、感じた初めての気持ちでした。これまでみてきた展示と違い身近に感じられる花の写真でこの世界観をみせられたら、魅せられてしまうしかない。

あと、衝撃ポイントは他にもあって、これは写真を習っていたら撮れない・表現が難しいというところ。鮮やかな色のだし方、大胆なボケ感、見飽きない構図、まるで絵のような写真。これはほんとうによく静かに鑑賞できたなと自分を褒めてあげたいくらい、刺激的でした。

表現って、自由だよな。正解なんてないよ。自分なりの昇華をする。そこに真の情熱があり、美しさがある。失いかけていた大切なものを、光の庭で、みつけられたような気がします。

(瞬く写真が窓に反射して、美しかったです)

被写体となっている花について


個人的にこの展覧会は前知識があってより楽しめると思うので書きますが、撮影している花は自然に咲いている野花ではなく、人の手が加えられた植物園や庭園で撮られているとのこと。展示の最後に蜷川実花さんのインタビューが聞けるのですが、そこで誰かが誰かを想う気持ちや花を美しく魅せるという人の想いに惹かれて撮っているんだという言葉を聞いてあたたかい愛を感じたのと同時に、またふるえます。そりゃ眩しいなと。

動画の作品もありました

光があるなら影がある

いつも展示を見た後は展示されている作品のなかからポストカードを選ぶのですが、冒頭で書いたとおり、いまのわたしにはとても眩しい作品ばかりで、今回は買えませんでした。代わりに物販に並んでいた、別のポストカードに惹かれ、その作品が含まれている2015年『蜷川実花:
Self-image』展のカタログ集を購入しました。

Mika Ninagawa: Self-image

このカタログ集に載っている写真は、ポップで鮮やかなカラーとは真逆のものでした。こういった内側の部分があってこそ、瞬く光の庭が生まれることが、なにより熱いです(すみません、ここまで書いてきて語彙力もろとも燃え尽きてきました)。

あと、ひとつ不思議な縁を感じたのが、展覧会に行く日の朝にちょうど西洋美術史の本を読んでいて、その中で目に留まった画家に『オディロン・ルドン』がいました。webで調べるなりしていたわけですが、帰宅してこのカタログ集を開いて読んでいたら、蜷川実花さんが敬愛する方としてオディロン・ルドンの名がでてきたんです。そんなことありまっか、となりましたね。直感でも惹かれるものにはやはり理由があるんだなあと思ったり。

展覧会の詳細

展覧会名:蜷川実花「瞬く光の庭」
会期:2022年6月25日(土)-9月4日(日)
会場:東京都庭園美術館(本館+新館)東京都港区白金台5-21-9
休館日:毎週月曜日
開館時間:10:00–18:00(入館は閉館の30分前まで)

東京都庭園美術館HP
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/220625-0904_MikaNinagawa.html

綺麗な写真だけど、綺麗なだけじゃない作品の美しさをぜひこの美術館でより多くの方に見てもらえたらいいなと、思います。(私自身が友人に誘われていなければたぶん行けていないので、行く予定の無かった方に届いたらいいなと思いんちょです)

以上、アオイミヅキの美術鑑賞感想文でした。


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