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ジブリアンチが「君たちはどう生きるか」を見てきた件

件。

結論から言うとさらにアンチになった。終わり。

さて、話をしよう。
私は、ジブリアンチである。なんでアンチかということを説明しておこうと思う。私にとってジブリは「毒を甘いもので包みたがる下手人」であり、「しょっぱい卵焼きが好きな俺に甘い卵焼きを出す」イメージであった。なお偏見100%の食わず嫌いであり、こう思っていないファンの方々が居るのは百も承知である。

本作の感想はといえば。
「毒は入っていないが、ジャム入りの卵焼きが出てきた。」
という感じである。要するに「意味不明」である。

本作に関して言うと、なぜか突然公開前日に明日公開と広報が流れ始めた。それが故にTwitterのトレンド入りし、マーケティングとしては一定の成果を上げていた様子で、私の目にも止まることになった。同じような広報をやったのが最近出た映画版スラムダンクで、あれも映画の内容については極力触れず、あと何日で公開!みたいなことをやっていたように思うので、真似をしたのかあるいは偶然被ったのか。

私はこの広報とタイトルを見て思ったのだ。
「ジブリに対する偏見を捨て」「新たに哲学的な問いを映画館で立てよう」そう訴えているのだと。なにせ宮崎駿が一線を退いていたにも関わらず本作のために復帰したという折り紙付きなのに、それを公開前日まで伏せていたということは、宮崎駿らしさやジブリらしさをある程度捨てていると思ったのだ。つまり私が思っているジブリへのマイナスイメージが消えている可能性が高いと思ったのだ。

そしてタイトルである。なんとも硬派なタイトルであり、最近の異世界転生ブームに沸き立つ界隈が卒倒しそうなタイトルである。正直好きだった。(過去形)

私はノーランの作品が大好きな偏屈オタクであり、勧善懲悪の映画やエログロな映画や爆発するだけの映画よりなんか小難しい話がよく分からないうちに腑に落ちるような映画が好きなのである。だから本作にもそれを期待した。どう生きるか、というのは普遍的な哲学のテーマであり、もしかするととんでもなくQOLが上がるような内容になっている可能性だってある。それが嫌いだったジブリからもたらされるのだとしたらまさに一人文明開化の勢いで見るべき映画になるに違いない。

そう思って公開初日に仕事帰りに映画館に行ってきたのだ。
爆殺されるとも知らずに。

まず開始は戦争絡みである。正直この戦争絡みのスタートは悪くなかったように思う。どう生きるかを論じるときに、死が迫り生が浮き彫りになる戦争というテーマは悪くない。ただまあそれって火垂るの墓でやってるんちゃうの?とは思ったので、火垂るの墓ではやらなかった描き方をするのかな~くらいで見始めた。

開始10分で戦争はおざなりになった。

いやまあ描かれてはいるんだが、正直適当である。戦争による痛み、悲しみ、苦しみ、憎しみ。迫る死などが描かれることはなかった。

集団疎開によって、主人公はイジメにあった。30秒くらいでイジメられた話も終わった。

この辺で私はコメカミのあたりがピクつくのを感じた。何かがおかしい。タイトル的に考えると、この辺はもっとシリアスに描いてもいいはずなのでは・・・おかしい・・・こんなはずではない・・・ここから先でさらなる問いかけがあるのか・・・

なぜか鳥が喋りだし、義母が異世界へ消えた。

この辺で私は悟った。ああ、この映画は考えてみるものではない。感じろ。なるほど確かに描写的にはさすがのスタジオジブリだ。不気味な演出がそこかしこにあり、それでいて美しくまとまっている。アリスインワンダーランドを楽しむように作られているんだ。わかったわかった。脳みそを空っぽにして目と耳の刺激を楽しむ。そうしよう。

いや声さすがに棒すぎんか・・・
現実帰ってきてまうで・・・

まあでもジブリはあえて声優を使わず演技過剰にしないことで世界観を大事に・・・できてないと思いました・・・

ただ私がジブリアンチ故に、ジブリの作品を、文脈を知らなくて楽しめてない可能性があります故に、ここまでコキ下ろしましたが、作品の中には楽しめる要素も沢山あったのかもしれません。私が気づいていないだけで。

ただ本作、タイムトラベル要素がありまして、正直エンドロールが流れ始める前の感じから「お、インセプションみたいな演出で終わってくれるのか?なら+5億点しよう」と思ったんですが、何もなかったので私のアンチが加速しました。終わり。


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