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【小説】ふへらふへら

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クリエイターを目指す女子大生が難渋する話
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#ふへらふへら

ふへらふへら #1【連載小説】

 変わってるねという表現は私にとっては褒め言葉だったのだけれども、どうやらその言葉は相手によっては傷つけたり怒らせたりする失礼な表現にもなるようで、さらにあんたの方が変わってると言われてこっちはふへらと笑みを浮かべてしまったものだから、いよいよバイト先のコンビニで私は疎まれる存在になった。

 そんな話をしたら、「つまり、レイちゃんはマイノリティ」とユキちゃんはパソコンに向かって動画を仕上げながら

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ふへらふへら #2【連載小説】

 大学二年生というのは人生の中で最も閑暇を過ごせる、その時間をどう活用するかで将来が決まると言っても過言ではない、なんて月並みな訓誡で旅行に誘ってきたジロウはいちおう彼氏という体裁だけれども、持て余した性欲を処理したいという腹づもりに応じてやるほどこちらも従順な少女ではないので、面倒になってきたから別れようと告げると、その日からストーカーのようにLINEが送られてくるようになってしまったので未読ス

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ふへらふへら #3【連載小説】

 生まれる時代によって異なる就活。仮に私が七十年代に大学生であればヒッピーに憧れるか学生闘争に参加していただろうし、八十年代であれば銀行に内定して料亭に連れてってもらうような体験ができただろうし、九十年代だったらマスコミか音楽業界に勤めたいってなっただろう。直近は就職氷河期だと騒がれているけれども、結局受かる人は受かるし落ちる人は落ちるし、私がミレニアム前に受験していたら競争率が高すぎてそもそも今

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ふへらふへら #4【連載小説】

 春、出会いと別れの季節というがエバーガーデンも例に漏れず春先は出入りが激しくなる。新しく入居してきたのは今年から上京したという大学生のコヨミちゃんと社会人三年目のワタリ君、そしてベトナムからの留学生ホアンさんの三人で、対するは館の主のように振る舞う三十代後半のオー、毎回この手の場でなんとか女子陣を口説き落とそうとエネルゲイア的な行為を目指しては失敗している二十代半ばのエックス、オーとエックスは最

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ふへらふへら #5【連載小説】

 黒髪が増え始める三年生の新学期。就活解禁は四年生の春からだけれども、実際は早期内定をもらうために水面下の戦いが始まっている。以前のインターンでは本気な子達に圧倒されて気落ちしていた私も、さすがに周囲の焦りが伝播しそろそろ先延ばしもできないかなと思い直してはいるのだけれども、自己分析の段階ですぐに挫折。とりあえず有名企業で、とりあえず何かクリエイティブなことができるところで……といった、とりあえず

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ふへらふへら #6【連載小説】

 ユキちゃんが創作活動を止めて大学院を目指すと告げてから三ヶ月が経過。モラトリアムからの脱出を求めて徒然なるままに日暮らし日記を書き連ねてみるも、元より物事に深くのめり込む気質ではない私は兼好法師のようにゾーンに入ることはできず、後から読み返してみても何の生産性もない日々を過ごしているだけの陳腐な内容に辟易し、せめてインプット量だけでも増やそうと色々と本に手を出すも、目的なき行為に達成感は得られず

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