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ライブで隣にいた人

BUMP OF CHICKENが好きだ。

きっと隣の人もそうなんだろう。

いや隣の人だけじゃない。

この会場5万人を超える人たち全員がそうなんだ。




待ちに待ったライブの日、朝早くに目が覚めて、その勢いのまま会場へ向かった。


初めてのBUMPのライブ。

グッズを買うなら絶対に開始時間より早く並ぶべきだ、との情報を得て、予定より早めに到着。



8時。


仕事に行く時より圧倒的に早く起き、電車に乗り、1日が始まった。


こんなに早朝なのにグッズ列には、既に数え切れないくらいの人、人、人。

長さにしてざっと1キロ以上はある。

数にしたら6千人くらいはいるんじゃないだろうか。




販売開始は8時半。

その頃にはもうドームの外周を埋め尽くすほどの人が並んでいた。


いよいよ物販開始時刻。


開始時刻前に並んだんだ。

きっと無事に買えるだろう。

レジも80台くらいあるらしいし、進みも遅くない。



と、安心していた僕をあざ笑うかのように、

開始わずか30分、9時を過ぎたところで既に売り切れが出始めた。



おいおいそんなバカな。

と、その後また30分。

僕のお目当てのグッズは、瞬く間に売り切れになってしまった。


さすがツアーファイナル。

それまで買えてなかった人や、もっとストックしておきたい人、BUMPのツアーのあまりの素晴らしさに歯止めを失った人などが本気を出してしまったのだ。



最終的に、僕は一番目当てのグッズが買えぬまま、戦いは終わってしまった。

Tシャツや帽子など、ライブに必要最低限なものを購入し、あとは通販があることを祈るばかりだ。




そんな壮絶な戦いを終え、待つこと数時間。

ようやく入場開始の時間がやってきた。



僕はなんだか早く会場の空気を味わいたくて、我先にと会場へ入った。


うわぁ、ここでライブやるんだ。


広い。

広すぎる。


僕はスタンドの上の上の一番上の方だった。


これじゃメンバーの顔も見えないな。


まぁ見れるだけラッキーか。




しばらくすると、隣に明らかなガチ勢がやってきた。


僕が目当てにしていたグッズをフル装備。

過去のグッズだったタトゥーシールなんかも身につけて、ケータイまでもBUMP仕様。


辞書でガチ勢って引いたらこの人が出るんだろうな。




彼も一人だったようなので、思いきって声をかけてみた。


「結構ライブ参戦されてますか?」

「あ、はい、まぁぼちぼちです。今回のツアーは5公演ですね」


5公演って、ぼちぼちじゃないよ。

やっぱガチだこの人。


「僕そのグッズ買えなかったんですよー。何時くらいに並ばれたんですか?」

「えっとそうですね、5時くらいですかね多分」


5時!

まだ暗いじゃないですか。


「すごいですね、ガチですね」

「そうですね。まぁこのために生きてますからね」

「僕ライブ初めてなんですよ」

「あ、そうなんですね。いやぁ、もう抜け出せなくなりますよ」

「めっちゃ楽しみです!でもどうせならもうちょい近くで見てみたかったなーって思いますね」

「たしかにそうかもですね。でもね、後ろからもなかなかいいですよ。光の演出とか全部きれいに見えますからね」


と、お隣のガチさんに色々教えてもらいながら、退屈することなくライブが始まった。




初めてのライブに圧倒され、なんか手拍子だとか拳を突き上げたり、周りを見ながら自分なりにやってみていた。


ふと隣を見ると、彼は腕組みをしてボロボロと泣いていた。


あぁ、大好きな曲を聞けて感激してるんだ。


と思っていたが、そのライブ中、何度見ても彼は腕組みをしてボロボロと泣いていた。


ちょっと変なやつだと思った。

そういう楽しみ方もあるんだなぁ。




そしてライブが終わった後、Twitterをフォローし合い、帰って見てみると、彼も歌だとかそういうのをやっているらしく、そのうち機会があれば一度見に行ってみたいなぁと思う。



かくして、僕の初ライブ参戦は終わった。




第4話〜ライブで隣にいた人〜


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