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ただの晴れ

「不謹慎だけど、おまえの泣き顔を見て、かわいいと思ってしまった」

涙あふれる赤い顔に向かって、彼はそう言ってきた。

この人は、いったい何を言っているんだろう。
あんたが私を泣かしたんだろ。
震える唇に指を添え、睨み返す。


合わさる瞳は、本気の色をしていた。


そうだ。

この人は、私と違う景色を見ている。
忘れていた。


瞳の奥に宿る芯を感じとる人だった。

本気が好きなのだ。
ありのままに惹かれる人なのだ。

例えそれが、悲しみでも喜びでも晴れの日でも雨の日でも。


二人で空を眺めながら、話をした。


朝も昼も夜も、見えかたが違うだけで、同じ空だよね。
曇りの日も雨の日も、その向こうにあるのは、晴れ渡る空だと。


どんなおまえもおまえなんだと。
何も変わらないと。

どんなに着飾ろうと、どんなに覆い隠そうと、その先にあるのは、

ただの晴れ、だと。


大きく息を吸い、頭上に広がる空に大切な人たちを想ってみる。

その人がその人の在りたいように在ってほしいと願う。


あの人の晴れ渡る空は、どんな色なんだろうな。




想像するだけで、楽しくなる💕








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