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「Arroganz」番外編
森の奥深く、幹の隙間に隠れるように建てられた手狭な家屋にて、幼き淫魔ノウェルズは育った。彼女は物心ついたときから老夫妻との血縁関係のないことを了解していたが、どこでそうと気取ったか、きっかけとなる記憶は見つからない。いうなれば、はじまりから至極当然に、部外者の認識をもって森に住んでいたといえよう。
ノウェルズは淫魔であること、老夫妻には彼女を世話しなければならない理由があること、次第に彼女はおと
「Arroganz」7話
7話/月の眷属 グライブの吸血種は、亜種が増えると統計的に数が減る。淫魔ひとりが生まれた年には不思議に出生率が下がるのだ。亜種に利点を見出し、倫理を度外視に量産したとする。すると吸血種の出生率が下がるのだから種は衰退する。淫魔に繁殖能力は無く、種の存続に支障のあることからグライブでは近親相姦を特に禁じ、不文律を犯す者があれば種族制管理の一環として公爵家指揮の下、貴族が率先して粛正するのであっ
もっとみる「Arroganz」6話
6話/皆既蝕(※こちらは全年齢版です。成人向け版は下記サイトにて公開中)
家族愛か異性愛か、心を置き去りとした肉欲か。答えの出ない問いだ。
カリヴァルドは妹の煩悶に早期から気づいていたが、ノウェルズの態度が頑なさを増すのを親離れと受け止め、距離をとることは成長の証左と解釈した。淫魔の欲情を無いものとして振る舞う妹の姿に、彼もまた親の自覚を強め、揺らぐ己を律したのだ。過干渉となってノウ
「Arroganz」5話
5話/陽の輩 ノウェルズの住まいは地上を離れて三階、集合住宅の一室である。
外観は縦の長方形、外壁は街並みに馴染む白。窓枠を飾る彫り模様が洒落ていて、張り出たバルコニーの鉄柱と、住民が使用する階段のみが黒い。
扉の前に何者かが佇んでいた。黒の外套を着込み、長髪の毛先を肩で一つ結わえにした青年、ユゼリウスである。
「手紙、届けに来たぜ」
ユゼリウスは職人の徒弟として工房を間借りしていたが、
「Arroganz」4話
4話/夜へ 書斎の窓辺に立つカリヴァルドは、背中でノックの音を聞いた。硝子越しに映りこんだ扉が許しを待たずして開く。
入室してきたのは、カッツェ・ロートヒルデ子爵である。暖色系の派手な色で流行の型を着こなすのが彼流の主義で、今夜も黄色のジャケットを羽織っていた。笑顔が第一印象に残る朗らかな男で、カリヴァルドとは学生時代から付き合いがある。
青い火の灯る手燭をカッツェが差し出す。
「君に
「Arroganz」3話
3話/淫魔 カリヴァルドが馬車に乗り込み、遠ざかる車輪の響きが届いたか、リーベン邸内に横たえられたノウェルズは意識を取り戻す。寝台に肘を立てて半身を起こすと、視野の端に控えていた女中が介助しようと女の肩に触れた。
「結構です」
ノウェルズは生来の体質から身体的接触を嫌う。介添えを拒絶された客間女中は背筋を正すも、眼差しは変わらずに優しい。
「承知いたしました。クディッチ様のリボンはこちらに
「Arroganz」2話
2話/合議 柱時計が午後零時を指し、鐘の音が地を這う低さで鳴り響く。
革張りの肘掛け椅子、職人の手になる家具と調度品の数々。壁の柱は深みのある木肌に蜜が如くの艶を流し、長椅子や卓子の脚でさえ経年の光沢を走らせる。
全ては輝くシャンデリアの下。計算尽くしの設計、配置の織り成す美しさによって贅を凝らされた談話室は、入口から奥までを見通せる長方形型の造りをしている。塵ひとつなく整えられた絨毯に乗るの
「Arroganz」1話
あらすじ
厳寒の地、グライブに出現したのは氷の大樹、フリーレン。曇天を裂き、逆さに伸びる枝が地に触れたれば土地は滅ぶという。大樹の手がかりは五枚の石版、解読できるのは言語学者のみ。
災厄により二年の余命宣告を受けた吸血種達の元へ、隣国からの使者が訪れる。
主人公カリヴァルドは種族性管理を担う立場から賓客を遇し、彼の妹ノウェルズは言語学者として古語の解読を急ぐ。国の大事に足並みを揃える兄妹だったが、
ボイス動画を投稿した話
完成した動画がこちら
https://youtu.be/48Bk7rNQG84
前回は女性声優さんに依頼した記事を書きました。ノウェルズを演じてくださった加川らん様との思い出です。
0/キャライメージを伝える今回は男性声優さんに依頼した話+動画の話題です。キャラクターはこちら。
最初にキャラのイメージと締め切りなどをお伝えするのですが、テンプレートが用意されていたので人物像は必要最低限でま
ボイスの有償依頼をした話
六月に依頼して七月に納品して頂き、約一ヶ月にわたり声優さんに役作りをして頂いた記録とめっちゃ楽しかったね、最高~~~!というワクワク日記です。
依頼したキャラクターはノウェルズ・クディッチ。学者で人外という設定。
創作ファンタジー小説の準主人公、もしくはヒロインに位置します。本編小説はR18ですが、依頼したのは全年齢の範疇での台詞8点。それから自己紹介ボイスなど含め文字数は600字前後。
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WORLD/世界観用語集
Arroganzに登場する用語集。五話までを修正中なので、引用文はそちらから(現在、HP未更新状態)
グライブに住まう生物【吸血種】キュウケツシュ
グライブに住まう種族。穏和で長寿。非常に繊細な生態系の上に成り立つ種であり、維持には人為的な管理を必要とする。
真珠色の牙を備えた生き物……吸血種とは、グライブなる地域に住まう単一種族を指す。(略)ヒト種と共に調印した友好条約の下、彼等の厚意によ
兄妹相姦ADV/Arroganz
…を、いつまでたっても完成させられないんだ壁さん。簡単な設定でも書きます。
現在本文は(7月現在)十話まで公開、一章完結済。R18、成人向けです。
ストーリー概要
吸血種が住まうグライブは曇天に覆われた雪深き土地。雲を根とし、空から逆さに生えた氷の大樹、フリーレンが滅びの予兆として出現したことから、主人公カリヴァルドは今後のグライブの行く末を決定づける合議に招集され、彼の妹であるノウェルズもま