フリー_青ちょびれ

WORLD/世界観用語集

Arroganzに登場する用語集。五話までを修正中なので、引用文はそちらから(現在、HP未更新状態)

グライブに住まう生物

【吸血種】キュウケツシュ

グライブに住まう種族。穏和で長寿。非常に繊細な生態系の上に成り立つ種であり、維持には人為的な管理を必要とする。

真珠色の牙を備えた生き物……吸血種とは、グライブなる地域に住まう単一種族を指す。(略)ヒト種と共に調印した友好条約の下、彼等の厚意により血液供給の援助を受け続けて暮らし、現在に至る。
(第一話/寸劇より)

【淫魔】インマ

吸血種の亜種。精液を糧に生きる。体臭はシンメルに酷似しており、淡い芳香を纏う

吸血種が二親等内で近親相姦を侵すと、淫魔が生まれる。必ず赤い瞳を備え、銀と赤を発色しない吸血種の中では目立つうえ、銀髪は染料を受け付けない。この種には、成長過程において判定期なる時期があった。(略)愛した唯ひとりに抱かれれば三桁を生きる吸血種と同等の年数を生きるが、判定期を超えて交接が無ければ三十年程度で息絶える(第三話/淫魔)

【シンメル】

植物。吸血種の絶命時には、この花に酷似した芳香が放たれることから、死臭をも意味する。同種の宝としてハルモニと共に尊重される。

眼下に広がるのは中庭一面を埋める白い花。上向きに咲く花弁はヴェールに似て端が波打ち、やや透ける。地に触れる長さの花弁が茎の傍で絡み合い、白のドレスを纏う貴婦人の姿にも、襤褸に脚を取られる痩せた女にも似ていた。あの白を支えるのは、生まれて間もなく殺された淫魔達の遺骸。(第三話/淫魔)

【白蜂】ハルモニ

昆虫。シンメルの送粉者。吸血種からは非常に尊重され、如何なる場所をも自由に出入りする

山形の軌跡を描いて飛ぶのは白い蜂、ハルモニだ。白く豊かな襟巻きで膨らんだ姿は、空飛ぶ毛玉の様である。ハルモニは尻だけが黒く、艶と尖りを帯びているが針はない。(第三話/淫魔より)


土地と文化

【グライブ】

曇天が垂れこめた雪深き土地。吸血種なる種族が住まう。

窓硝子を隔てた先に広がるのは、白で統一されたグライブの街並み。雪深い地であるが為、注ぐ陽射しの弱さを補うべく制定された景観条例に従い、建築物はどれもが白い外壁で築かれる。反射光によって全体を仄かに輝かせる街は潔癖に美しく、民の誇りとして愛されていた。(第二話/合議)

【公爵】コウシャク

公職の一種。他国の貴族制とは異なる。同胞の種族性管理を担う

現在公爵と呼ばれるのはリーベン、クディッチ、キルベンスのみ。爵位のなかでも特殊な分岐を経てこの三家は確立され、政治と密接な繋がりを持ちながら独自の執行機関として機能している。花と蜂の連携は吸血種達の生命線、公爵等はこれを管理、保護する重責を担い、種族性管理という役割として一括りにされていた。(第三話/淫魔より)

【図書館】トショカン

公的施設。グライブ各地に点在し、中央図書館とは区別される。

図書館は各地方に設置され、供血の支給手続きと管理、行政事務を担う。職員として司書が常駐し、公的事務に従事する者ほど地位が高くなる。中央図書館は地図上においては二重丸で表され、実際の形も円を象る。(第四話/夜へより)

【紫書官】シショカン

公職の一種。通常の司書とは異なり、中央にのみ在籍

彼等の仕事は蔵書を離れて多岐に渡り、一部は歴史家としての側面を担う。この性格が特に強く、更に公文書発布などに携わる者を司書の一等、紫書官と呼ぶ。紫書官は首都に置かれた中央図書館にのみ在籍した。(第一話/寸劇より)

【凍気】トウキ

自然現象の一種。グライブ中に遍満する

グライブでは時間帯や気候の変化によって帯状の冷気が生じ、これを凍気と呼ぶ。(第二話/合議より)

【フリーレン】

滅びの予兆とされる現象。本編開始直後、十四日前に突如として中央図書館上空に出現。

垂れこめたる曇天を根として、逆さまの大樹が巨影を浮かびあがらせている。絡み合う枝は微々たる速度で伸び続け、その異容さを遠目から観察するには、逆さの樹とも、氷の血管とも見えるのだった。(第二話/合議より)

【グレンツェ語】

話者の途絶えた死語/祖語。五枚の石板に記されており、中央図書館併設のグレンツェ語研究所が解読・再構中。

凍気の近くでグレンツェ語を発声すると地より氷の棘が生えれば巨大な氷塊が落下するなど、無差別で危険な結果となる。その為、グレンツェ語の取り扱いは慎重を要する。(第二話/合議より)

【凍礼祭】トウレイサイ

祭りの名。雹の注ぐ時期をも指し、炎が青く変色する現象がみられる

地上との気温差の為に不思議な雹が降り注ぎ、普段に比べて寒さが和らぐのはおよそ二週間。この頃になると、凍礼祭と呼ばれる祭りが毎年開催される。(第二話/合議より)室内を暖めていた火が揺らぎ、不意に青く変色する。雹の降り注ぐ頃には、燭台や暖炉の火にこうした現象が多々起こるのだ。(第三話/淫魔より)

【指輪】ユビワ

吸血種が薬指に嵌めている、供血契約中の証。必ず木製であり、ピアノ/ヴァイオリンに用いられる木材と同一。

食事の際、誰もが指輪に口付けてヒト種への感謝を捧げる。(略)火にくべて弔いとするために、指輪は決まって木製である。彼は指輪を外し、暖炉へと投げ入れる。(第六話/月の眷族より)

【スムス】

菓子。グライブの各地域、家庭ごとに細部が異なるが、鹿の砂糖菓子によるまじない、純白の色味は統一されている。

贈り主が白鹿を立て、受け取り手は紐を解く。紐が解けても鹿が立ったままであれば充実した一年を過ごせる、そんな願掛け。カリヴァルドは専用の小さな鋏で箱から鹿を摘みだすと、雪山の頂点に優しく立たせた。(第一話/寸劇より)

【青の幸いがありますように】アオノサイワイ

凍礼祭期間中の文化。そのための台詞

凍礼祭の期間中、寒さは和らぎ雹が降る。火が青く変色する理由は定かではないが、青い火を手燭に移し、親しい者に手渡すというまじないが民の間では主流で、階下の家僕達も楽しんでいた。(第四話/夜へ)

【花影にお隠しを】ハナカゲ

夜の挨拶。シンメルに由来。

シンメルの白い花弁が瞼を覆い、穏やかな眠りに誘うようにと祈りが込められたグライブにおける夜の挨拶。(第六話/陽の輩より)

【輝滴を】キテキ

朝の挨拶。ハルモニに由来。

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【ペルニスイユ】

ヒト種の国名。グライブの隣国であるが、二国間は深い森と厳しい寒気に阻まれる。

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