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媒体。『medium 霊媒探偵城塚翡翠』

※ネタバレしてます。

大人の読書感想文、記念すべき(わたしにとってはね)第一号は相沢沙呼氏著の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』だ。
「メディウム」と読み、この小説は第20回本格ミステリ大賞を受賞している。
「すべてが、伏線。」というミステリ小説では最強の見出しが興味をそそられる。
近々ドラマ化もされるらしい。

読みはじめてまず思ったことは、キャラ設定がすんごい。
というのもタイトルにもなっている登場人物、城塚翡翠(じょうづかひすい)は”美少女”であり”死者が見える霊媒師”、霊媒以外ではおどおどして浮世離れ、アイスクリームひとつですごく喜んでくれる。...こういう女の子好きでしょ?って言われている気がした。

ストーリーとしては、翡翠の元をその推理能力から警察に協力し、秘密裏に事件を暴いてきた推理小説家の香月史郎が尋ね、2人はペアとなり様々な事件を解決していく流れだ。
香月視点で物語は進み、翡翠の能力によって死者や殺人現場から犯人や物証がすでに分かっている状態で、逆説的に事件を解決していくという発想がおもしろい。

間章で謎の連続殺人犯の独白が入り、物語の裏で犯行計画が進められていく。
この連続殺人犯、実は香月が正体であり、物語の終盤には翡翠も捕らえられその毒牙にかかってしまう。
正直、読み進めれば香月だろうという検討がついてしまう。わたしも例に漏れず、このパターンかーとはんばうんざりしたし、「すべてが、伏線。」と謳われているのだからもっと大きなどんでん返しを期待していた。
このまま香月真犯人エンドで終わるものと思っていた。

...違った。結末は伏せるがまったく分からなかった。
というか分かるの無理じゃね?って思ったくらいだった。
とにかくすべてが伏線であったし、ストーリーの結末としては好きだった。
文章も読みやすく、ストーリー展開もさくさくと進んでいくので、小説を読むのが苦手な人にもおすすめしたい。

そしてこのメディウムだが、2巻も発売されている。しかしわたしは読む気になれていない。
なぜならおどおどして浮世離れ、アイスクリームひとつですごく喜んでくれる翡翠ちゃんはもういないからだ。このままわたしの中では1巻で完結させておこうと思う。
どういう意味か興味がある人はぜひ読んで確かめてみて欲しい。

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