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オキーフの雲

昨日の夕方、ちょうど空があいたところで自転車を停めました。南の空に浮かんだ雲に思わず心奪われたからです。
自転車の後ろに乗った息子としばらく眺めてから、二人で1枚ずつ写真を撮りました。

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                     (上:息子 下:母撮影)

うろこ雲みたいだねぇ。
これから梅雨があけて夏本番というのに、ここだけ秋の空みたいだと思ったら、うろこ雲は夏にも見られるみたいでした。秋の季語らしいですけれど。

巻積雲、鱗雲。雨が降る前触れ。
そうかこれから雨が降るのかと、また洗濯物が部屋干しになっちゃうなぁと考えていたら、一夜明けた今日はカンカン照りで晴天の空です。
にわか予報は大外れで、ソファカバーの大物を張り切って洗濯しています。
あれはうろこ雲じゃなかったかのかも。

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目で見たものと写真とではどうしてもズレが出てしまい伝わりにくいですが、うろこがボンっボンっとならんで浮かんでいるのが、何かに似ていると思ったのです。

なんだっけ~、なんだったっけな。

あれから暫く考えていたら、「ああそうだ。オキーフの絵みたいだ」と思いあたったのでした。

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Georgia O'Keeffe (ジョージア オキーフ 1887-1986 )
アメリカを代表する女性画家で、彼女の有名な作品として極端に拡大された花の抽象画をどこかで見た方も多いと思います。
私にとってオキーフ作品は、人生の要所要所でハっと出くわし、その都度心を奪われてきた私の中でとても意味あるアーティストとして大事な位置づけにあります。それぞれに勝手なこじつけでしかないのですが、オキーフ作品との出会いの物語は、静かに胸に刻まれています。
いつか想いを書いてみたいとは思っているのですが、今はまだうまくまとめきれる自信がありません。

話がずれましたね。今回は昨日の空をみて、オキーフが雲を描いた作品を思い浮かべたという話でした。

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私は、彼女の描いたこの時の天気はどうだったんだろうなぁと考えていたのです。

オキーフがアトリエを構えたニューメキシコの気候は日本とはまったく別物なのでしょうが、もしこれがうろこ雲ならば、この後で、この絵の空にも雨が降ったのかしら。と。

想像でここに降る雨は、さやさやと降る優しい雨ではありません。
強風が吹き稲光が轟く中で、アビキューの土壁を激しく叩くような強く力強い雨。厚い土壁の褐色が雨水を吸ってじゅんじゅんと濃くなる。跳ね上がる雨粒と落ちてくる雨粒がぶつかって破裂していく。
息を吸ってみると、鼻腔に肺に、大地の湿り気がはいってくる。

時間にしてほんの少しのその雨が上がったら、また強烈な太陽の光が戻ってきて、大地をまたたくまに干上がらせていく。

まったくの妄想の世界です。

地理と気象に詳しい方からみたら笑っちゃうのかもしれませんね。それでも、昨日うちの近くに浮かんでいたあの雲を見上げていたら、そんなことが浮かんできたのでした。

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ここに貼らせていただいたオキーフの絵と写真は、サンタフェにあるジョージアオキーフ美術館より拝借しました。
死ぬまでに必ず、絶対!訪れたい場所の一つです。

最後に、もうひとつ。
オキーフの生涯が1冊の絵本になっています。訳は長田弘さん。
オキーフが絵に向かう心が詩のように綴られていて、とても大切な1冊です。
この最後にもオキーフの雲、大好きなオキーフの雲。

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